米著名ヘッジファンド・マネージャー、スタンリー・ドラッケンミラー氏が、米大統領選挙の開票作業が進行していた10月8日の夜、所有していた金をすべて売却していたことを、米CNBCのインタビューで明らかにした。
ドナルド次期大統領の誕生でインフレが急激に加速すると予想されている中、ドラッケンミラー氏が安全資産であるはずの金を手放した背後には、ドナルド・トランプ氏率いる新政権による経済成長への多大なる期待があるという。
トランプ氏就任後に実施予定の「経済再生100日計画」は絶好のチャンス?
ドラッケンミラー氏の予想どおり、トランプ氏の勝利は一時的に買いを誘ったものの、翌日には1オンス1265.38ドル/約13万5091円(前日終値比23.52ドル/約2511円安)と反落。「金や債権などの安全資産を保有しておく理由がなくなった」というドラッケンミラー氏の言葉を裏づける動きだ。
世界的に長引いていた低金利傾向にしびれをきらしたドラッケンミラー氏が、ほかの多くの著名投資家同様、金に重点を置いた投資に切り替えたのは昨年夏のこと。今年5月に出席したカンファレンスでも、「株式の強気相場は終わったので金の配分を高くしている」とのスピーチをしていた姿が記憶に新しい。
しかし米国の新たな歴史の1ページとともに、ドラッケンミラー氏の態度も一転。「トランプ氏もクリントン氏も支持していなかった」と前置きした後、トランプ氏の大胆な経済政策と規制緩和が効果をあげると確信していることを明らかにした。
ドラッケンミラー氏の見解が、ほかの投資家や市場の予測と180度異なる点が非常に興味深い。また「(トランプ氏)はロナルド・レーガン大統領とは違う」という発言の裏には、単に同じ共和党出身の大統領といった意味合い以上のニュアンスが含まれているのだろう。
再燃中の追加利上げの可能性については、十分あり得るが「世間で憶測されているようなFRB(連邦準備銀行)のジャネット・イエレン議長辞任騒ぎには発展しない」と予想。これについては10日、トランプ氏の経済政策顧問からも辞任圧力を否定する正式なコメントが発表されている。
「不安材料はいくつかあるものの、大規模な税制改革を実施する絶好のチャンスだ」と、ドラッケンミラー氏は驚くぐらい前向きにとらえている。財政赤字拡大は避けられないだろうが「成長加速の見通しが債券投資に反映している」とし、米、英、独、伊債をショートにし、特に対ユーロドルを買いいれているそうだ。
伝説のヘッジファンド・マネージャーの楽観的憶測とは裏腹に、市場の反応は複雑だ。新政権によるインフラ投資、大幅減税などの景気刺激策に好感触を得ているが、インフレへの懸念は勿論、財政悪化への懸念はぬぐえない。来年1月のトランプ氏就任後に実施が予定されている「経済再生100日計画」。その行方を世界中がかたずを飲んで見守っている。(ZUU online 編集部)
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