11月13日、中国共産党中央委員会の機関紙、グローバルタイムズ(環球時報)紙は、次期米大統領、ドナルド・トランプ氏の高輸入関税公約に対し、「iPhoneや自動車、航空機などの売上をリスクにかける価値があるのか」との疑問を投げかけた。
また米政府の輸入関税に関する権限が通常最長150日、最高15%とされており、国家の緊急事態でないかぎり特例が認められていない点を考慮し、非現実的であるとの見解を述べた。
中国側は「選挙運動上の巧言」と冷静な構え
選挙運動中にトランプ氏が掲げていた数々の政策の中でも、中国・メキシコに対する輸入関税は世界中が注目している公約のひとつだ。トランプ氏自身は選挙後、日本・韓国への核武装容認発言を含め、軌道修正を図る動きを見せている。
グローバルタイムズ紙も、45%の高関税が実施された場合、両国の通商関係を著しく緊迫させる懸念を示す一方で、「選挙運動上の巧言だったのではないか」と、現実のものとなる可能性が低いと見ている。
前回米国が大規模な高関税を適用したのは2002年。鉄鋼産業を保護する目的で、ジョージ・ブッシュ第43代米大統領が中国、日本、韓国、EU圏などから輸入される鋼鉄製品に、最高30%の関税を課した際だ。その後2009年には国内メーカーや労働者の保護対策とし、バラク・オバマ大統領が3年間にわたる最高35%の中国製タイヤの追加関税を発表。
米国側の緊急輸入制限発令に対して、中国側は反ダンピング関税と称し、米国からの鶏肉製品と自動車の高関税を課すという反逆にでた。その結果、米国の中国への輸入が9割弱落ちむなど、両国ともに製造業や雇用市場が脅かされる泥沼の展開となった。
トランプ政権が高関税に踏みきれば、そうした両国にとってマイナスに働く争いの火ぶたが再び切り落とされることになる。中国政府はほかにも、トウモロコシ・大豆といった食料品や米国への留学生に規制をかけるとグローバルタイムズ紙は警告している。
トランプ氏の米・中間の関税にまつわる不満は、中国政府が自国メーカー保護と称して、米国製の自動車に20%の関税を課している事実に起因する。選挙運動中には声を荒げ、「米国の要求をのむよう、世界貿易機関(WTO)にも直訴する」と発言し、世論を喚起した。
しかしグローバルタイムズ紙も指摘しているように、ビジネスに長けているはずのトランプ氏が、わざわざ自国にとって不利な強硬手段にでるとは想像しがたい。それでも騒ぎのおさまらない輸入関税紛争について、「結局はトランプ氏を失脚させようと目論む、メディアが仕掛けた茶番劇なのではないか」と冷静に見ているようだ。(ZUU online 編集部)
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