12月5日、完全無人スーパー「Amazon Go」をシアトルにオープンさせたAmazonが、同日UKでも商標登録を行っていたことが複数の英メディアに報じられた。

英上陸を視野にいれた動きであることは明白だが、その英国でも小売店の無人化を目指す様々な開発が進んでおり、「ロボット化がリテール産業の未来になる」と予想されている。その一方でロボットの進出に懸念を抱くイングランド中央銀行(BoE)などから、警告が発せられている。

「人間とロボットが共存できる環境創り」が今後の重要課題

AI(人工知能)を利用した業務の効率化・コスト削減に、多くの大手企業が多額の投資を行っている。「Amazon Go」以外の最新情報では、米大手DIYチェーン、Lowe'sが「LoweBot」という複数の言語を難なくこなすサービスロボットを11店舗でテスト中であるほか、スターバックスもチャットボット注文アプリ「マイ・スターバックス・バリスタ」の導入を来年予定している。

ロボットが進出し始めているのは小売店や飲食店だけではない。日本でも「銀行員ロボ」などがお馴染みとなっている。また一部の米ショッピングモールでは、ロボット警備員も活躍している。

英国での一例としては、ケンブリッジのスタートアップ、Metailが、3Dバーチャル試着を可能にする革命的な技術を開発中だ。この技術を利用すれば、ウェブサイト上で自分が試着したイメージを視覚化できる。つまり「試着のために実店舗を訪れる必要がなくなる」ことになる。

しかし企業にとって大幅なコスト削減につながる小売店などの完全無人化が、「店員やカスタマーサービスという職業が不要になる」ことを意味するのは言うまでもない。

AIの将来的な労働市場への影響について調査したBoEチーフ・エコノミスト、アンディー・ホールデン氏は、昨年の時点で「英国で1500万人がAIに職を奪われる」との懸念を示していた。この数字は英国の総労働力3008万人の約半分に値する。

「Amazon Go」の上陸や3Dバーチャル試着、ロボット定員、警備員などが続々登場すれば、BoEの懸念が現実化してもけっしておかしくはない。しかし悲観的な面にだけ目を向けるのではなく、BoEが提案しているように、失われる職業をロボット化によって需要が高まる新たな職業と入れ替え、テクノロジーの恩恵を労働市場に反映することも可能である。「人間とロボットが絶妙なバランスで共存していける環境創り」が、英国だけではなく世界中で必要となるだろう。(ZUU online 編集部)

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