1月10~13日の東京株式市場は弱含みとなった。11日のトランプ次期米大統領の記者会見は中国やメキシコ、日本との貿易問題、対ロシア外交などが話題の中心となり、財政政策等に関する具体的な言及が見られず、マーケットは調整ムードを強める結果となった。昨年末からのトランプ・ラリーに沸いた株式市場であるが、11日の会見内容は多くの投資家にとって「期待外れ」となった印象は否めない。

今週は20日の米大統領就任式での演説が注目される。とはいえ、株式市場はすでに「期待先行」で買われた経緯があるだけに、調整ムードを払拭できるかは微妙な情勢だ。

「週間出来高ランキング」上位10社の顔ぶれ

それでは今回は東証1部の「週間出来高ランキング」上位10社の顔ぶれを見ていこう。

(1)東芝 <6502> 5億3470万0000株
(2)みずほフィナンシャルグループ <8411> 4億8078万2300株
(3)日本カーボン <5302> 2億7872万9000株
(4)三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 2億5822万0600株
(5)宇部興産 <4208> 1億2484万7000株
(6)キムラタン <8107> 1億18万5000株
(7)ティアック <6803> 9168万0000株
(8)野村ホールディングス <8604> 8582万7200株
(9)ユニチカ <3103> 7522万4000株
(10)JXホールディングス <5020> 7412万4800株
※銘柄、証券コード、出来高の順。

ランキングは、売買代金でも上位につける優良株と、株価が1~2ケタ台の低位株が混在している。今回は、東芝が新たな損失拡大の可能性を公表したことで商いも膨らみ、首位となった。

東芝、銀行支援を背景に買い戻しの動きも

今回は「出来高上位10社」からトップの東芝と日本カーボン、JXホールディングスを取り上げたい。

東芝は日本の大手電機メーカーで、半導体最大手。パソコン事業や原子力事業などで不正な会計処理が発覚し、経営トップが交代した。

昨年12月下旬には、2015年に買収した米原発建設会社について数千億円規模の損失を計上する可能性があると発表し、株価が急落した。2015年から続いていた会計不正問題の影響が一巡してきた中で、新たに損失が膨らむ要因が出たことにより投資家の失望を招き、一時は株が投げ売りされる状態に陥った。

その後は、三井住友銀行などの取引銀行が東芝を支援する方針と伝えられたことにより、株価は下げ一服の状態にある。前述の損失が報じられた12月下旬には一時232円台まで下落したが、1月10~13日の週は280~300円台で推移しており、今後の経営再建に向けた動きが注目されるところだ。

日本カーボン、航空機エンジンのSiC繊維導入の期待高まる

3位の日本カーボンは炭素繊維大手で、電炉向け電極などを手掛ける。

米GE(ゼネラル・エレクトリック)が 次世代航空機のエンジン基幹部品に軽量で高い耐熱性を持つSiC(炭化ケイ素)繊維を導入するとのニュースが材料視された。日本経済新聞が11日に報じたもので、SiC繊維を製造できるのは日本カーボンと宇部興産の2社のみだという。

航空業界では、国際民間航空機関が国際線で二酸化炭素の排出量の規制を決める(2021年以降となる見通し)など、燃費改善が急務となっている。そうした中で、航空機へのSiC繊維の採用が加速するとの期待が高まっているようだ。ちなみに、5位の宇部興産も同じ材料で出来高が膨らんでいる。

JXホールディングス、原油高を好感

JXホールディングスは石油元売り国内最大手。4月に東燃ゼネラルと経営統合し「JXTGホールディングス」となる。

原油価格の上昇傾向を背景に出来高が膨らんだ。大和証券が、統合効果とマージン改善による利益水準の向上への期待から、投資判断や目標株価を引き上げたことも手掛かりとなったようだ。市場では銅の国際価格の回復により、傘下の非鉄会社JX金属の業績改善につながるとの観測もでている。(ZUU online 編集部)

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