シンカー:求職者比率を考えると、日本の失業率の低下はまだ限界に達していないと考える。日本は完全雇用であるから財政による景気下支えは必要ないという議論がある。日本より完全雇用に近いと考えられる米国でも、財政拡大の期待が景気心理を押し上げている。まだ完全雇用に到達しておらず、デフレ心理を払拭しなければならない日本の方が、デフレ完全脱却のために財政拡大が必要であると考えられる。
12月の失業率は3.1%と、11月から変化がなかった。
年末商戦では、消費喚起のため、企業は様々な販売促進策を試み、雇用の増加につながったとみられる。
12月の就業者は前月比で31万人増加している。
一方、労働条件の著しい改善により新たに労働市場に出てきた労働者が多く、非労働力人口が35万人減少したで、失業率には変化はなかった。
有効求人倍率は12月は1.43倍と、11月の1.41倍から更に上昇し、1991月7以来の高水準になり、労働市場は改善を続けている。
新規求人倍率は、12月は2.18倍と、11月の2.11倍から更に大きく上昇した。
日本の失業率の低下はまだ限界に達していないと考える。
求職者は大きく減少してきたが、生産年齢人口比率では2010年4月の3.5%からまだ2.5%程度までしか低下していない。
1990年前後のバブル期の1.5%程度まで低下することは困難であろうが、2.0%前後までまだ0.5ppt程度低下することは可能であろう。
2018年までには失業率は2.5%前後まで低下し、賃金上昇がパートから正社員に明確に波及し、賃金上昇が加速する局面に入っていくと考える。
そして、内需の回復が物価を緩やかに押し上げる形になると考える。
日本は完全雇用であるから財政による景気下支えは必要ないという議論がある。
日本より完全雇用に近いと考えられる米国でも、財政拡大の期待が景気心理を押し上げている。
まだ完全雇用に到達しておらず、デフレ心理を払拭しなければならない日本の方が、デフレ完全脱却のために財政拡大が必要であると考えられる。
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司
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