1月30日~2月3日の東京株式市場は軟調だった。トランプ米大統領が打ち出した移民・入国管理政策に加えて、中国と同列に日本の為替政策を批判したことも投資家心理の後退を招いた。
3日公表の米雇用統計では非農業部門雇用者数が22万7000人増と予想から大きく上振れしたことを受け、再び円高が進んだ。10日の日米首脳会談を控え様子見気分が広がれば、東京市場はしばらく上値が重くなる可能性もある。
「1月の月間値下がり率」上位10社の顔ぶれ
今回の東証1部 株式ランキングは「1月の月間値下がり率」上位10社の顔ぶれをみていこう。
(1)日立工機 <6581> 867 -41.10%
(2)タカタ <7312> 535 -37.57%
(3)オルトプラス <3672> 599 -32.16%
(4)安永 <7271> 1610 -22.15%
(5)フォスター電機 <6794> 1771 -19.97%
(6)ティアック <6803> 46 -17.86%
(7)日本アジア投資 <8518> 457 -16.45%
(8)日本航空電子工業 <6807> 1382 -16.04%
(9)NEC <6701> 261 -15.81%
(10)いちご <2337> 367 -15.24%
※銘柄、証券コード、株価(1月31日終値)、下落率の順
ランキングの上位は、個別に下げ材料が出た銘柄が並んでいる。業種別でみると電気機器や輸送用機器などの製造業が7銘柄、非製造業が3銘柄となっている。
日立工機、月間値下がり率で40%を超える
それでは、今回は値下がり率上位10社の中から日立工機、タカタ、安永の3銘柄を取りあげたい。
日立工機は電動工具と、ライフサイエンス機器を手掛ける機械メーカーである。
米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツがTOB(株式公開買い付け)により日立工機を子会社化する方針を発表した。親会社である日立製作所もTOBに賛同した。
日立工機はTOBに合わせ、既存株主に剰余金を分配する目的で、1株580円の特別配当の実施を決めた。これは直近の半期配当(12円)の48倍に相当する。しかし、特別配当基準日は1月29日だったため、この日を過ぎると株価は権利落ち相当分が急落した。株価の月間値下がり率は40%を超え、TOB価格(870円)付近に収斂している。
タカタ、再建めぐり経営陣と債権者が対立
タカタはシートベルトやエアバッグなどを製造する自動車安全部品大手。米国のエアバッグのリコール問題を巡る動きで不安定な展開が続いている。
リコール問題の発生以降、タカタの大口債権者である自動車メーカーは、スポンサー企業の選定に合わせてタカタに法的整理を求める方針と伝えられた。この報道をきっかけに、タカタ株を売る動きが続いている。
タカタは1月24日、「当社の再建に関する一部報道について」という声明文を発表。この中で「法的手段による再建を選択することは当社として想定しておりません」とコメントしたことから、翌25日と26日には買い戻しでストップ高となった。しかし、この経営陣の意向は、債権者である自動車メーカーとは相容れないようだ。
日本経済新聞は2月4日朝刊で、タカタ経営陣から委託を受けて再建計画を策定している外部専門家委員会が、スポンサー候補として中国の寧波均勝傘下の米KSS(キー・セイフティー・システムズ)を選定したと報じた。同時に、自動車メーカーが日本での法的整理を条件にKSSを支持すると伝えている。
報道によるとタカタ経営陣は、米子会社については法的整理、日本の本体は裁判所が関与しない私的整理を希望してきたと解説している。最終的な再建策決定まで、タカタ経営陣と債権者である自動車メーカーの対立が続くことになりそうだ。
安永、リチウムイオン電池の寿命向上技術の買いは一巡
安永はエンジン部品や工作機械などを手掛ける自動車部品メーカーである。
同社は2016年11月下旬、リチウムイオン電池の寿命を向上させる技術を発表。株式市場ではこれを評価した買いが殺到し、12月5日には年初来高値3750円をつけた。しかし、その後に新たな材料が続かず、高値づかみした投資家の見切り売りが続き、株価は1600円台まで下落している。
年明け1月24日には2017年3月期通期の業績予想を上方修正した。エンジン部品や機械装置の両事業で利益率が好転し、海外子会社の外貨建て借入金の為替評価損も減少したためとしている。ただ、上方修正の発表直後は買いも入ったが、一方で戻り売りも出ていて、上値が重い状況に変化はない。(ZUU online 編集部)
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