2月6~10日の東京株式市場は為替動向をにらんだ展開となった。日経平均株価は週初に円高を受けて軟化したものの、10日に円安に戻したのを機に反発し、1万9300円台で取引を終えた。
週末の日米首脳会談は友好ムードの中で終わり、トランプ大統領が日本に対し通貨安誘導を批判することはなかった。目先的には米国の今後の利上げペースを占う上で、14~15日のイエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長の議会証言が注目されそうだ。
東証1部の「高PER」上位10社の顔ぶれ
それでは、今回は東証1部の「高PER(株価収益率)」の上位10社をみていこう。
(1)エコナックホールディングス <3521> 51 (連)5100.00
(2)わかもと製薬 <4512> 253 (単)4216.67
(3)デクセリアルズ <4980> 1259 (連)3815.15
(4)北陸電気工業 <6989> 141 (連)1175.00
(5)大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> 1882 (単)691.91
(6)木曽路 <8160> 2376 (単)682.76
(7)チタン工業 <4098> 191 (単)578.79
(8)日本電子 <6951> 572 (連)555.34
(9)ボルテージ <3639> 1013 (連)516.84
(10)小森コーポレーション <6349> 1517 (連)461.09
※銘柄、証券コード、株価、予想PERの順。(連)は連結、(単)は単体。データはヤフーファイナンスに基づく。
PERは、現在の株価が1株当たりEPS(純利益)の何年分に相当するかを示している。東証1部全体の予想PERは16.6倍程度だが、上位10社は461~5100倍と極端に大きい。期待含みでPERが高止まりする場合もあるが、何らかの理由によりEPSが低下し、PERが膨らむケースも見られる。
大阪チタニウム、米大統領の航空インフラに関する提案への期待高まる
今回は上記ランキングから、大阪チタニウムテクノロジーズ、ボルテージ、小森コーポレーションの3社を取り上げたい。
大阪チタニウムテクノロジーズは兵庫県尼崎市に本社を置き、チタンとシリコンの素材加工を得意とする世界有数の非鉄金属メーカーである。
チタンは航空機などの素材に使用されており、世界の空運市場の拡大が経営面でも追い風となる。2月9日には、米トランプ大統領が税制改革とともに航空インフラに関して今後数週間以内に「驚くべき」提案を発表すると報じられ、同社の株価にはプラスに作用するとの観測もある。
同社のPERは約691倍と高いが、2015年に3790円の高値をつけており、株価は割安感や先行きの期待感で戻している面もあるようだ。
ボルテージ、ゲーム新作が伸びず業績下方修正
ボルテージは音楽ソフトやインターネットコンテンツの企画制作を行うソフトウエア企業。「天下統一恋の乱 Love Ballad」「花より男子~F4とファーストキス~」など、スマートフォン用に配信する女性向け恋愛アプリなどがある。
2月8日、同社は業績予想を下方修正した。2017年6月期の営業利益は従来予想6億円から1億5000万円となり、1株当たり利益も従来予想の66円61銭から1円96銭に大幅減となる。下方修正の理由については、新シリーズ・実験作と位置づけている「パズルアクションゲームシリーズ」「シークシリーズ」が想定を大幅に下回ったことが指摘される。同社は今後も新シリーズ・実験作の早期収益化を図っていくものの、急激な好転を期待するのは難しいとの見方もある。
小森コーポレーション、印刷機の受注が低迷
小森コーポレーションは印刷機専門の機械メーカー。オフセット印刷機や紙幣印刷機などを手掛ける。2017年3月期から、新規事業として取り組んできたデジタル印刷機「Impremia IS29」の販売を日本、北米、欧州、中華圏で開始した。
1月30日、同社が発表した2016年4~12月期の連結決算は、営業損益、経常損益、純損益のいずれも赤字。欧州を除いた日本、北米、中華圏で販売が不調で、円高進行も逆風となり売上高が目減りした影響が出ている。受注状況も、特に中華圏や日本が前年比で落ちている。ただ、会社側は2017年3月期通期では黒字になるとの見通しを維持している。通期の1株当たり利益予想は3円43銭である。
同社の株価は2016年12月にかけて回復歩調にあったが、年明け以降は上値の重い展開となっている。(ZUU online 編集部)
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