生命保険,選び方,見直し方
(写真=Thinkstock/Getty Images)

米国第45代大統領に就任したトランプ氏の一挙一動にニュースのネタが尽きない毎日だが、私たち日本のくらしは、総務省統計局「家計調査2016年12月速報」によると昨年比で名目2.2%、実質1.8%の上昇と「収入の増加」が確認できている。

実際に皆さんは「実感」できているだろうか。物価上昇率年間目標が2%の今日における生命保険の加入について、30代子育て世代に向けて同じ境遇である10年目FPの筆者が解説しよう。

物価上昇とマイナス金利

総務省統計局「家計調査」によると、2016年12月速報の報告で、同月の二人以上世帯のうち、勤労者世帯の収入額は平均92万4920円。臨時収入及び賞与の38万5443円を差し引くと、通常月の月収は53万9477円となる。

つまり、独身以外の有職者平均世帯年収は、賞与年2回で換算すると、約730万円という事になる。世帯主収入は、昨年比で名目2.2%、実質1.8%の上昇という結果だ。

それに対して日銀の政策金利はマイナス状態。銀行の普通預金の金利を語るのは、読者の皆さんも、もうウンザリだろう。この「金利と物価の逆行」時代、果たして保険の加入状況をそのままにしていてよいのだろうか? また、新規に加入する場合は今までの「常識」にとらわれていていいのだろうか?

世帯モデルの変化と、住宅ローンの名義割合

共働きがもはや常識となりつつある今、一昔前に比べ、夫婦間での「収入格差」が均等化している。

例えば以前は、

◯ 夫:サラリーマン 年収430万円
◯ 妻:パート 年収120万円

このようなモデルケースが多くご相談で見受けられた。そしてこのモデルの場合、その大半は、住宅ローンを組む際に「夫」が名義人となり、夫が死亡した際の住宅ローンが相殺になる「団体信用生命保険(団信)」は、当然「夫」が被保険者となっていた。

一方、今では、

◯ 夫:サラリーマン 年収430万円
◯ 妻:サラリーマン 年収300万円

このようなモデルがもはや常識となっているのではないだろうか。夫と妻の収入格差は各段に少なくなって、妻が夫の収入を上回る家庭も珍しくない。

そしてこのモデルの場合、住宅ローンの組み方はもっぱら「共同名義」が主流となりつつある、と言いたいのだが、頭金は妻が出して、ローンは夫が組む、といったケースもある。つまり、必ずしも収入に比例した団信の組み方にはなっていないケースも多い。

「ママは医療保険だけ」はリスクが高い!

保険で新たに「誰に」「どのくらい(金額)」保障を掛けるのかは、「その人に必要な保障額ーすでに持っている他の資産や保険=保険設計上の保障額」で算出する。

前項で、世帯収入の均等化や、団信の組み方が多様化したことから分かるように、次の点を実際の状況に照らし合わせた設計が必要になる。

① 必要保障額そのものが均等化(夫だけが大きな保障を持つのは昔の話で、妻も収入に応じた保障が必要)
② 住宅ローン名義の多様化(団信の被保険者が誰か、またその割合によって、差し引く保障額を考慮)

こうなると、夫には5000万円の定期死亡・収入保障保険がかかっているが、妻には葬儀代もしくは積立も兼ねての終身保険200万円、もしくは医療保険だけ、という「よくお目にかかるプラン」は、算式に当てはまらず、全く根拠の無い設計となってしまう。

また、夫婦どちらかの収入が途絶えたときに、相手方配偶者が介護状態になっているなど、仕事ができずに存命であるという状況下での生活も想定しなければいけない。

死亡時ではなく、「就労不能になったとき」を考える

ほかにも各実家の資産状況や、預金・不動産・株式の保有資産額に応じて必要な保障額は変わるので、残念ながら「保障額は、30代でお子さん一人なら、○○万円でいいですよ」とは言えない。

ただ、試算方法としては、最終設計に入る次の段階は「ライフイベントの作成」になる。ここで一番大きな出費となるのが、子供の教育費だ。

毎月の家計には含まれない、「その年だけ必要になる支出」は、高等教育の学校入学金などの教育費に続いて、自家用車の買い替え、子供の結婚資金などが王道だ。これまでは終身保険や学資保険で積み立てを行うのが主流だったが、この金利状況では正直なところ「保険で積立検討できる商品は、外貨建の変額保険」ぐらいだ。ただし、為替リスクや運用リスクがつくため、学資積み立てには不向きである。

さて、ほぼ確定された「支出」を試算し、もし万一のことがあった場合の「必要保障額」とすり合わせて保険の種類を組み合わせる。ここでいう「万一」は、イコール「死亡」では無いことを覚えておいてほしい。

死亡した場合は、その人ひとり分の生活費が不要になり、もし団信に加入していた被保険者であれば、住宅ローンの支払いが免除になり、その分だけ住宅費の支出も減る。つまり、まともな保険設計をしていれば、「生活が行き詰まる」という事は、この時代では考えられない(実際筆者は、見たことがない)。

ただし、普通の資産・収入世帯で、「生存しているが、就労不能の状況」に陥った場合、「生活水準が著しく低下する」ことが考えられる。事故や疾病で仕事ができない、できても収入が激減し、本人の身の回りの出費が逆に増えるといった状況では、収支のバランスが逆になることが考えられるからだ。

朗報?悲報? 保険の加入・見直しは2017年3月中に!

具体的な保障額を挙げることができずに、読者の方からは、いささか不満の声が聞こえてきそうだ。最後まで読んでいただいたお礼に、ここで少し耳より情報。

保険加入や見直しを考えているひとは、2017年3月までに行動をすること。残り2か月弱ではもう遅すぎるかもしれないが、2017年4月から「大幅な料率改定」を行う保険会社が多い。

読者のみなさんが支払う、保険料が実質値上がりするのだ。すでに加入済みの保険は対象外だが、一部10年や15年などの「更新型」に加入している人は要注意だ。契約時の設計書に記載されている更新後保険料は、あくまでも「目安」でしかなく、予定利率の変更に伴って変わる可能性も否めないからだ。

保険設計は人それぞれ。だからこそ、自己のライフプランと見合っているか、このタイミングで再度確認をしてほしい。

佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー (AFP)、証券外務員Ⅱ種
国内外の保険会社で8年以上営業を経験、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。証券IFAを経て、FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。FP Cafe 登録FP

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