自民党農林部会長の小泉進次郎衆議院議員が2月20日、都内で開かれたセミナーで「農政新時代と日本のゆくえ」と題して講演。「農協は大きくなりすぎている。これからは協同組合という原点に戻る(べき)。売り上げ5兆円は伊藤忠商事とほぼ同じ、職員は8000人いるが、三菱商事は6000人だ」と指摘した上で、「今までの日本の農政は、農協含めて政治団体、農業団体の組織力維持強化型だった。これを農業の競争力強化型にしたい。農協を守るのではなく、農家を守る。農家を守れば農協も豊かになる。その順番を間違えてはいけない。農協の組合員を増やすことに意味はない。農業経営者を増やすことに意味がある」と訴えた。その上で、「私は農協に厳しいといわれるが、がんばっている農協もあること、チカラがあることも知っている。農協のチカラはネットワークであり、結集力だ」と話した。
さらに国際認証取得の重要性を強調。その理由として、「もっとも持続可能な農業改革は農協改革ではない。最大、不可逆的な改革は、やらなければいけないのは、農業者の改革。現場の改革だ。そのためには意識改革、発想の転換。有益でタイミングもいい。そのツールになるものこそが国際認証」と話した。(取材=濱田 優/ZUU online編集長)
トランプ大統領のTwitterが意味するもの
セミナーは、エネルギー、食糧、水、環境を確保し、人類が100億人になっても、世界に行き渡せられる、共存共栄できる平和の経済システムの確立を目指す一般社団法人太陽経済の会が開催したもの。
冒頭、山崎養世代表が会について、「エネルギーも水も食も環境も太陽経済である。地方がこれから日本をひっぱる時代にならなければいけない。太陽のチカラによって100億人になってもいきわたる経済をつくろうと考え出したのが太陽経済だ」と説明。「農業の問題は生産者の問題でも消費者のそれでもない。その間をつなぐ農協、サービスセクターの問題だ。そこに革命が起こせるのではないか。真正面から取り組んできた、農協は大きく生まれ変われると私は思う」と述べた。そのほか、自民党農林部会で副部会長を務める上月良祐参議院議員もあいさつした。
小泉議員は冒頭、トランプ大統領の話を引き合いに出し、「トランプ大統領で印象的なのはTwitterだ。この関係は一言で表すと、中抜き時代への突入だ。何を中抜きするかというと、メディアだ」と話した。従来は大統領がプレスリリースを出し、プレスからメッセージが伝わっていたが、今は大統領の言葉が直接伝わるようになったと説明した。
そのうえで、「この中抜きを言葉を替えていうと、一人ひとりがつながる時代。第四時産業革命といわれるが、私の認識では、IoT、AI、ロボット、そしてスマホをふくめて、一人ひとりがあらゆるものとつながる時代だ」として、「これと無関係ではないのが農業」と述べた。
青森県の高校を視察、全国の農業高校での取得も後押しへ
国際認証の取得については、GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)の認証を日本で唯一、高校で受けている青森県県立五所川原農林高校の視察をしたことを紹介。注目した理由として、2020年の東京五輪、パラリンピックを挙げ、「2020年、東京五輪のころには1500万食を提供しなければいけないが、すべてを国産では無理。そこに国際認証が必要になる。国際認証を取得していないと出せなくなる」と主張した。
日本の認証制度でははJGAP(ジェイギャップ)がある。これは農場や農協などの生産者団体が活用する農場管理の基準で、BASICとADVANCEがある。このうち後者のアドバンスが、世界的な認証制度GFSIの「ガイダンスドキュメントレベルのより広範囲にわたる食の安全に関するリスク管理や、労働者の雇用条件の確認等の追加要求に対応」したものだという。
小泉議員は、「日本の農家でこれを取っている農家は1%もいない。国産は安心、安全と日本の消費者は思っているが、海外から『なぜ?』と問われたら、証明しなければいけない。でないと東京五輪で来日する外国人に国産農産物が提供されない事態になりかねない。いかに日本が世界からどう見られるかを考えてこなかったかということだ」という危機感を表明した。
さらに「全国に農業高校が300以上あるが、このすべてでグローバルギャップの取得を後押ししたい。文科省からも前向きな答えをもらっている。新しく日本の農業に入ってくる人材にとって、高校生のときからそれが当たり前になれば、歯車がまわっていくように(日本の農業が)変わっていく。これこそ、ゆるぎない、後戻りのない農業改革となる」と話した。
このほか、「全農が取り組んでいる改革はとっくにやっている」という福井県のJA越前たけふの先駆的な取り組みも紹介した。
東芝もホリエモンも同じなのに日本はエスタブリッシュメントに甘い
また東芝の不正会計に関する一連のニュースをみていて、頭に浮かんだこととして「ホリエモンショック」として、「堀江氏は粉飾で逮捕され、実刑を受けた。東芝は不正会計。不正にかわりはないと思う。日本という国は、エスタブリッシュメントに非常に甘い。チャレンジャーに厳しい。その既存のシステムをつくりあげた人には甘く挑戦しようとする人には厳しい」と喝破。その例として、「米国の企業時価総額ランキングは10年前と一変しているが、日本はほとんどかわらない。新陳代謝の弱い国にイノベーションは生まれない」と鋭く指摘した。
【編集部のオススメ記事】
・「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
・資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
・会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
・年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
・元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)