コスト削減とアジア地域の収益低下を理由に、欧米金融機関によるウェルス・マネージメント事業売却が相次いでいる。

現在売却検討中と報じられているカナダロイヤル銀行(RBC)の収益は、2014年から2016年にかけて2億9200万加ドル(171億1985万円)の減少を見せるなど、先行きに不透明感が漂っている。

国際ウェルス・マネージメント低迷のRBS 対照的にDBSは拡大

RBCのアジア投資市場は100億ドル(約1兆1207億円)と比較的小規模だ。「RBCにとっては十分な利益創出につながらない」と、内部の事情に詳しい複数の関係者はロイターに語った。

アジア地域を含むRBCの国際ウェルス・マネージメントの収益は年々低下。2014年には7億2200万加ドル(約617億9984万円)であったのに対し、2016年は4億3000万加ドル(約368億600万円)にとどまった。アジア地域に絞った数字は公表されていないものの、米国の収益が41億2000万ドル(約3526億5286万円)、カナダが24億5000万ドル(約2097億862万円)と比較すると、アジア地域のウェルス事業が頭打ちしていることは明白だ。

事業見直しが必ずしも売却という結果を招くわけではないが、なんらかの対策が投じられるとの見方が強い。例えばアジア地域では最も市場規模の大きい香港とシンガポールを除き、事業整理を行う可能性も考えられるのではないだろうか。RBCは売却の可能性について沈黙を守っている。

RBCの売却報道はすでにアジア部門の縮小や売却を行った、欧米ウェルス・マネージメント企業に続く動きだ。

最も最近の例では昨年12月、蘭金融機関、ABNアムロ・グループがアジア・中近東地域のプライベート・バンキング事業を西欧州リヒテンシュタイン公国に本拠を置くLGT銀行に売却。英バークレイズも香港およびシンガポールのウェルス・マネージメント事業を、オーバーシー・チャイニーズ銀行に売却した。

その一方でウェルス・マネージメント事業拡大の機会を、アジア地域に求める企業も多い。2014年に仏ソシエテ・ジェネラルのアジア・プライベート・バンキング事業を買収したDBSなども、さらなる拡大を狙っている。(ZUU online 編集部)

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