米コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーの「国際高級市場レポート」から、米国および日本以外のアジア地域で、昨年の高級品の売上が各3%伸びたことなどが判明した。

中国人観光客による「爆買い」は健在。海外商品の持ちこみに対する関税の引きあげも、わずか1%程度の効果しかあげていない。総体的には旅行や外食といったサービス分野は急成長を遂げているが、高級車以外の「商品」は需要が鈍っている。

消費者の嗜好が高級品からカジュアルに移行 デニムが3605億円市場に

2016年の国際高級市場は小売値で1兆800億ユーロ(約129兆8502億円/前年比4%増)。最も順調に売上を伸ばしたのは高級車、サービス(旅行、外食など)、ワイン、スピリッツ(度数の高い蒸溜酒)。ヨットや自家用ジェット機の需要は落ちこんだ。

需要の傾向は「商品」から「経験」に移行しており、為替レートの変動による影響を除外した場合、高級商品市場自体は約1%縮小。2016年は2490億ユーロ(約28兆8785億円)と2015年より20億ユーロ(約2403億1831万円)減っている。

レポートによると高級商品市場の低迷は2014年から続いており、最早高級ブランドという響きだけで消費者が飛びつく時代ではないことがわかる。またBrexit、米大統領選、テロリズムといった不安材料も、消費意欲の喪失に多大な影響をおよぼしている要因のひとつだろう。

しかし欧州では高級品の消費が1%後退したのに対し、米国やアジア(日本除く)では3%伸びている。特に中国人による高級品の消費は国際市場の30%を独占。中国では国内消費促進対策として昨年4月以降、海外で購入した商品の持ちこみにかかる関税が、最高50%から60%に引きあげられたにも関わらず、前年比1%減にとどまった。

消費者の嗜好は高級品からカジュアルなスタイルに変化。この傾向は特にアパレル関連に強く見られ、例えばデニムやスニーカーが30億ユーロ(約3604億7747万円)市場に成長を遂げた一方で、高級ジュエリーや時計の売上は5%落ちこんだ。

昨年の名目成長が為替変動に起因するところが大きい点も、レポートで指摘されている。2015年はユーロが弱かったが、2016年はポンド(10%減)を筆頭に、ルーブル(11%減)、リアル(7%減)、人民元(6%減)などが軒並み暴落した。

各高級ブランドが過敏になっているディスカウント小売店の影響も、今後さらに拡大するものと思われる。(ZUU online 編集部)

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