最近目にするようになってきた言葉「不動産テック」をご存じだろうか? 「不動産」と「テクノロジー」を合わせた造語であり、ITを利用して不動産関連の業務やサービスを革新させるものである。Real Estate Tech(リアルエステートテック)やReTechと呼ばれることもある。ITテクノロジーを利用することで、ネットを使った不動産の検索や仲介、物件管理、賃貸管理、物件の評価や分析、バーチャルによる内覧、マーケティングなど、非常に多岐に渡る革新が期待されている。
不動産テックにより、物件管理や評価、分析、マーケティングなど、今まで不動産会社がマンパワーに頼っていた業務が効率化されることが期待される。一方、利用者にとっても、物件の購入や賃貸などで、今まで得られなかった情報をネットで得ることができるようになり、仲介手数料の低減など、数多くのメリットが得られるであろう。また、不動産の管理や売買のみならず、物件にIoT(モノのインターネット)を組み込むことで、居住者や物件オーナーの利便性を向上する取り組みが行われている。
Vivint Smart Home(ビビント・スマート・ホーム)は、不動産テックの中でもIoTに関連した企業である。同社は、ファスト・カンパニー(Fast Company)誌の「2017年の最も革新的な企業(2017 50 Most Innovative Companies) 」の22位にランクされた。このランキングは、数千の企業を調査し、優れた革新性とビジネスを持つ企業を表彰している。
家のあらゆる場所のIoT
Vivintは、オートメーション(自動化)と使いやすさに重点を置いたスマートホーム(または、「コネクテッドホーム」とも言う)のパッケージを販売、設置、メンテナンスしている企業である。 スマートホームとは、家にIoTを取り入れ、家の内外の様々な機器をネットワークで接続し、機器を自動制御し、スマートフォンなどから遠隔操作を行うことができるシステムを表す。対象となる機器は、空調システム、照明機器、監視カメラ、玄関の鍵、車庫のシャッターなど様々な物がある。
Vivintの前身は、1999年に設立されたAPX Alarm Security Solutions (APXアラーム・セキュリティ・ソリューション)であり、サードパーティーのセキュリティシステムを販売、設置する会社であった。2011年に、事業内容についてスマートホームのソリューションへと舵を切った。太陽光発電の会社であるVivint Solar(ビビント・ソーラー)もVivint Smart Homeの一事業として立ち上げられ、後にスピンオフされている。現在、Vivint Smart Homeは、スマートホーム事業に注力している。
Airbnbとも提携
Vivintのシステムには、煙、ガラス破損、一酸化炭素、洪水の検知のための多様なオプションに加え、スマートロック、サーモスタット、ドアベルカム(doorbell camera)などを組み込むことができる。「スマートロック」とは、スマートフォンで家の鍵の開閉をコントロールできるシステムである。「サーモスタット」とは、室温を自動的に調節する装置だ。「ドアベルカメラ」とは、外出時でもスマートフォンにて、家の訪問者の確認と会話ができるシステムである。更に、防犯カメラの録画を行うサービスもあり、全体として安心できる防犯システムとして利用できる。Vivintのシステムには、24時間年中無休のサポートが付いており、メンテナンスや修理のためにエンジニアの派遣も可能だ。
2017年から機器の金額を無利子で毎月支払うことができるようになった。2017年1月、同社はSky(スカイ)と呼ばれる人工知能(AI)を搭載したホームコントロールの仕組みを発表した。Vivintのシステムをコントロールするには、アプリ(Vivint Sky App)、専用のコントロールパネルであるSkyControl Panel 、Amazonの人口知能スピーカーAmazon Echo(エコー)を使い、声でコントロールする方法と3つある。
同社は、Airbnbと提携。Airbnbのホストは、ドアベルカメラを介して、離れている場所からゲストとコミュニケーションできるようになった。
Vivintはスマートホームをリードする企業である。同社は、アメリカとカナダの100万人以上の顧客へ、ホームセキュリティ、電力管理、ホームオートメーション、ローカルクラウドストレージ、高速インターネットを提供している。スマートホームの行きつく先として、利用者の時間とお金をセーブし、生活を極めてシンプルにすることを目指している。
スマートホームに似た「スマートハウス」とは?
参考となるが、スマートホームに似た言葉に「スマートハウス」がある。スマートハウスは、年代や各国により様々な解釈がされているが、近年の日本では、太陽光発電や家庭用蓄電池などの電力管理を主とした仕組みとして使われている。HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を導入した戸建て住宅をスマートハウスと呼ぶ。
太陽光発電や家庭用蓄電池を核とし、発電量と消費電力を計測し、ホームセキュリティシステムと連携する。つまり、「スマートハウス」は電力管理による省エネを目的としているのに対し、「スマートホーム」は省エネにプラスして、家の機器をコントロールし快適な生活を提供することを目的としているのである。(松本雄一、ビジネス・金融アドバイザー)
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