住まいを探す上で「コスパがよい」とは、都心や観光地へのアクセスが便利にもかかわらず、家賃が安く飲食店や商店街などが充実していて住みやすい地域であるということ。地価はマンション価格と密接な関係があるため、その最新価格は住まいを探している人にとっては気になるところだ。

国土交通省により発表された「東京圏の沿線別駅周辺の住宅地の公示価格例」(2017年1月1日の駅から1㎞程度にある標準値1㎡当たりの価格)やリクルート住まいカンパニーが3月7日に公表した「SUUMO住みたい街ランキング2017関東版」のうち「穴場だと思う街(駅)ランキング(上位20位)」(以降、SUUMOランキング)などを参考に、「家を購入するのにコスパがよい沿線」ベスト5を独自に探ってみた。

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(写真=PIXTA)

  1. 東武東上線

SUUMOランキングで9位、埼玉県内では1位となった「和光市」(21万円)が大注目。「これから人気が出そうな郊外の街(駅)」ランキングでも堂々2位にランクインした。東京メトロ有楽町線、副都心線の始発駅で、池袋、新宿、渋谷、永田町、有楽町などに乗り換えなしでいけることも大きい。

ただ、「栄えているのは駅の南側のみ」との指摘もあるので、住まいを選ぶ際には注意が必要かもしれない。隣の「成増」もSUUMOランキングで前年31位から16位へと上昇、穴場認知が進んだ。

もう少し先にある「志木」(24万3000円)は逆に「和光市」より高く、「川越」(208,000円)は観光地としての人気が高まったせいか「和光市」より値下がり幅が小さい。

  • 京浜東北線
  • SUUMOランキングでは繁華街、特に居酒屋がひしめくエリアとして人気が上昇しているほか、駅ナカも充実しているとして堂々2位の「赤羽」がある京浜東北線。赤羽はその手前の「王子」は37万2000円と周辺の「駒込」(75万8000円)の半値になっていることがコスパよしの理由だ。

    浦和(34万3000円)は都心からの距離の割に地価が高いが最近、駅ナカが充実してきた。古くから文教地区としても知られ、住民の意識も高い。終点の大宮(24万6000円)は新幹線も止まり、新宿湘南ライン、高崎線、東北本線も乗り入れる巨大駅で「住みたい街」としての人気も安定している。

  • JR常磐線
  • 公示地価例には出ていないが、SUUMOランキングで堂々1位、「この2~3年で人気が高まったと思う街(駅)」でも3位となった「北千住」があるJR常磐線。「北千住」が人気の理由はJR常磐線に加え、東京メトロ千代田線、日比谷線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレス線も通るという、アクセスの便利さ。さらに、駅ビルが充実し、古い街並みがリノベーションされてきたことが挙げられる。

    「北千住」の隣、「綾瀬」(38万7000円)は、先述の「和光市」と並びSUUMOランキングで9位。「北千住」と同じく東京メトロ千代田線も走る。テレビで「激安の街」と紹介されることもあるほど物価が安く、生活に優しいことで知られる。その3つ先の「松戸」は22万3000円で、東京駅から20㎞圏内の駅の中では安い方だ。

  • JR中央線
  • SUUMOランキングで20位に入った「中野」(56万2000円)があるJR中央線。「中野」は総武線のほか東京メトロ東西線乗り入れ新宿から都心への直行が可能だ。歓楽街が豊富でや中野ブロードウェーなどのディープスポットもある。

    このほか注目なのが、少し先になるが「立川」(27万1000円)だ。「住みたい街ランキング」では前年の29位から急上昇して20位になった。駅前の「伊勢丹」や「高島屋」などの商業施設に加え、近年では「IKEA」や「ららぽーと」など大型商業施設が相次いで開業。

    さらに2016年8月には駅直結32階建ての再開発ビル「立川タクロス」が誕生し、東京西部で一人勝ちの状態だ。「住みたい街ランキング」で1位に返り咲いた「吉祥寺」(57万5000円)へも楽に行けるが、地下は半値以下となっている。

  • JR山手線
  • 公示地価例には1カ所、「駒込」しか出ていなかったが、「SUUMOランキング」上位20位の中で8駅も占めていたのが意外にも山手線だった。3位に「池袋」「大塚」、5位が75万8000円の「駒込」と続き、6位に「巣鴨」、7位に「田端」と山手線北側の駅がトップ10の半数を占めた。

    「池袋」はJR(山手線・埼京線・湘南新宿ライン)、東武(東上本線)、西武(池袋線)、東京メトロ(丸ノ内線・有楽町線・副都心線)が乗り入れるターミナル駅。どこに移動するにも便利なうえ、飲食店や商業施設が充実し、東京芸術劇場など文化施設もあることが人気の理由。

    公示地価例に出ている「駒込」は東京メトロ南北線も乗り入れている。治安がよく、昔懐かしい雰囲気漂う「霜降銀座商店街」には安価な食料品店や飲食店、歯科医院や美容院などが充実している。

    「巣鴨」は高齢者が集う街だけあって商店街が近く、飲食店も豊富。京浜東北線も乗り入れている「田端」はこれといった繁華街があるわけではないが駅ビルに「アトレヴィ田端」がある。いずれも新宿、渋谷に出るのに20分程度というのは大きい。(フリーライター 飛鳥一咲)

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