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Written by 平田和生 268記事

マーケット・コンパス

アスクルは「大火災の痛手」から立ち直ることができるか?

アスクル <2678> の株価が低迷している。
同社はオフィス用品などのeコマース大手だ。読者のみなさんの職場でもアスクルの事務用品を使われているところが多いのではないだろうか。

株価低迷の原因は火災だ。今年2月16日、埼玉県三芳町にあるアスクルの物流センターで大規模な火災が発生した。報道によると、廃棄用段ボール置き場のフォークリフト作業中に発火した可能性が高いと伝えられている。実に7日間も続いた火災で、焼失面積は4万5000平方メートルと東京ドームに相当する広さに達し、損失額は100億円を超える結果となった。

火災の影響からアスクルの株価は低迷し、4月7日には年初来安値となる2953円を付けている。果たして、アスクルは立ち直ることができるのだろうか?

101億円の損失で29億円の赤字転落

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

4月5日、アスクルは火災後初となる2017年5月期第3四半期(5〜2月)の決算を発表した。それによると、売上は9.6%増の2517億円、本業の利益を示す営業利益は2.0%減の67億円だった。

eコマース事業のうち、オフィス用品を中心としたアスクルサイトなどのBtoB事業の売上は5.6%増の2151億円、成長分野である個人向けの「LOHACO」事業の売上は328億円と39.6%も伸びていた。営業利益についても、期初計画を上回る好決算だった。

問題は火災の影響だ。火災の損失については101億円を特別損失として第3四半期に計上、最終利益は29億円の赤字となった。損失の内訳は、焼けてしまった棚卸資産の損失が25億円、物流センターの固定資産の損失引当金が73億円などとなっている。

通期では、火災による遅配や機会損失の影響を見込み予想売上を3470億円から3350億円へ、営業利益も95億円から80億円へそれぞれ下方修正した。ただ、通期の最終利益に関しては、保険で最大46億円程度カバーされる可能性もあり、情勢は流動的だ。

火災が発生した物流センターは、アスクルの首都圏の物量の22%を占めている。BtoBでは9%に過ぎないため影響は限定的と見られるが、LOHACOでは62%を占める個人向けセンターの主力だった。現在、横浜倉庫などでカバーしているが、いまだに遅配の影響がでているという。

同社は埼玉県日高市にLOHACOをメインとした代替センターを立ち上げ中で、今年9月末には火災前の出荷能力に戻す計画だ。

成長トレンドを取り戻せるか?

ところで、アスクルはもともと事務用品大手プラスの子会社だった。オフィス用品配送で成長し2000年にジャスダックに上場、2004年には東証1部上場となった。

2012年にはYAHOO <4689> が出資を決め、発行済み株数の42.47%を保有する筆頭株主で連結対象となった。アスクルはYAHOOが株主になってから、eコマースの戦略的子会社という位置付けで、個人向けのeコマース事業であるLOHACOをスタートした。今年1〜2月のLOHACO新規会員は従来比で倍増しており、将来的には2020年をめどに利用者1000万人、売上1000億円を目指している。ただ、繰り返しになるが火災の影響がこうした計画にどう作用するのか気になるところだ。

筆者としては、早急な出荷体制の復旧はもちろんのこと、火災の再発防止に向けた高度な安全対策を導入した物流センターを構築し、消費者や投資家に「安心感」を与えることが必要だと考える。それができればYAHOOのサポートもあり、成長トレンドを取り戻すことは可能ではないだろうか。

今後のアスクルの動向から目が離せない。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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