4月10~14日の東京株式市場は軟調となった。
シリアや朝鮮半島の情勢が緊迫化し、市場参加者の投資意欲が後退した。また、トランプ米大統領の「ドルが強くなり過ぎた」との発言で円相場が1ドル=108円台まで上昇したことも、日本株の上値を重くした。日経平均株価は10日こそ上昇したが、11日から4日続落となった。
シリアや朝鮮半島での軍事的緊張や、フランスの大統領選挙もあり、しばらくは模様眺めムードが続きそうな雲行きだ。
「時価総額の下位」は経営環境の厳しい企業が目立つ
それでは今回はいつもと趣向を変えて、東証1部の「時価総額 下位ランキング」10社の顔ぶれを見ていこう。
(1)ダイトウボウ <3202> 68円 3000万株 20億4000万円
(2)中国工業 <5974> 694円 342万株 23億7300万円
(3)エスケイジャパン <7608> 281円 849万0103株 23億8600万円
(4)小林洋行 <8742> 272円 1009万4644株 27億4600万円
(5)秀英予備校 <4678> 437円 671万株 29億3200万円
(6)ミサワ <3169> 413円 710万9400株 29億3600万円
(7)サンリツ <9366> 497円 600万6373株 29億8500万円
(8)田谷 <4679> 635円 510万株 32億3900万円
(9)シー・ヴイ・エス・ベイエリア <2687> 665円 506万4000株 33億6800万円
(10)一六堂 <3366> 375円 955万株 35億8100万円
※銘柄、証券コード、株価、発行済み株式数、時価総額の順。
東証は1部上場銘柄について、時価総額が20億円未満である場合、9カ月(※所定の書面を3カ月以内に提出しない場合は「3カ月」)以内に20億円以上とならないときは2部に指定替えするという基準を設定している。
つまり、20億円を割り込んだ状態が続けば2部に降格され、TOPIX連動型で資産運用する投資家から機械的に売られることにもなる。「時価総額 下位ランキング」は業績向上により株価を回復させたいと考える企業が並んでいるという見方もできるだろう。
ダイトウボウ、中国の合弁縫製会社の株売却、譲渡損失発生
今回は上記ランキングの中から、ダイトウボウ、秀英予備校、シー・ヴイ・エス・ベイエリアの3社を取りあげる。
ダイトウボウは昨年8月まで大東紡織という社名だった。業種は繊維製品だが、静岡県駿東郡清水町の工場跡地に運営するショッピングセンター「サントムーン柿田川」の賃貸事業が収益の柱の一つとなっている。
3月下旬、同社は2017年3月期の連結業績予想を修正した。営業利益と経常利益は販売管理費の縮小などで上方修正したが、一方で純利益は下方修正となった。中国の合弁縫製会社の株売却により譲渡損失が発生したことが理由。純利益予想の減少や相場全般の軟化を背景に、株価はじり安歩調をたどっている。
ダイトウボウは、2015年末に時価総額が20億円未満となり2部への指定替えの猶予期間に入ったが、2016年9月に対象外となった経緯がある。今回、再び20億円を割り込む可能性が高まっている。
秀英予備校、不採算校舎の閉鎖後も業績はテコ入れできず
秀英予備校は静岡を地盤とし、中学生向けを主力とする学習塾を運営する会社だ。
学習塾は少子高齢化が進む中で生徒の奪い合いが起きており、企業間の優勝劣敗が目につくようになっている。秀英予備校は業績の悪化により、不採算校舎の閉鎖を実施した。
2月8日に公表した2016年4~12月期連結業績は減収、各利益項目は赤字という厳しい内容だった。小中学部、高学部ともに計画を下回る売上高にとどまったほか、閉鎖校舎の減損損失計上も響いた。
通期の業績予想は、2016年5月に公表した黒字予想を据え置いているが、赤字転落を回避するためのテコ入れ策が見当たらず、下方修正やむなしとなりそうだ。
シー・ヴイ・エス・ベイエリア、コンビニ事業振るわず
シー・ヴイ・エス・ベイエリアは千葉や東京でコンビニエンスストア「ローソン」の店舗を運営するFC(フランチャイズ)会社。マンション管理やクリーニングサービスも手掛ける。
4月10日、同社は2017年2月期通期の連結営業損益が3300万円の赤字(従来予想は2800万円の赤字)、純利益が9400万円(従来1億1000万円)とする業績予想を公表した。「コンビニエンス・ストア事業及びホテル事業において、想定したほどの売上総利益を確保出来なかった」ためとしている。
従来予想からの下振れ幅は大きくなかったが、ローソンは店舗数で首位のセブンイレブン・ジャパンや2位のファミリーマートに引き離されている。各社は都市部で出店競争を繰り広げており、既存店舗を運営するFC側の苦境がにじみ出ている。(ZUU online 編集部)
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