5月8〜12日の東京株式市場は週初に一段高で始まり、その後も高値圏でもみ合う展開となった。フランス大統領選挙の決選投票で中道系のマクロン氏が勝利し、親EU(欧州連合)路線の継続が決まったことや、米雇用統計を受けて米株高・円安となったことが好感された。

日経平均株価は年初来高値を更新した。ただ、その後は上値を試す動きと利益確定の売りがせめぎあい、2万円の大台を回復するには至らなかった。

相場の世界では、株は5月に売れという意味の「Sell in May」という格言がある。日経平均株価で2万円付近が今年の高値となるのか、それとも同水準を回復後もさらなる上値を追うのか気になるところだ。

6銘柄が「25日移動平均かい離率」で+30%超える

それでは今回は、25日移動平均からの「プラス方向のかい離率」上位10社の顔ぶれをみていこう。

(1)アイ・エス・ビー <9702> 1387円 +46.46%
(2)大林道路 <1896> 939円 +42.71%
(3)KLab <3656> 1085円 +39.50%
(4)レック <7874> 3065円 +34.67%
(5)IDEC <6652> 1572円 +31.64%
(6)大紀アルミニウム工業所 <5702> 650円 +30.93%
(7)東京機械製作所 <6335> 80円 +29.70%
(8)ダイワボウホールディングス <3107> 431円 +28.40%
(9)バリューコマース <2491> 624円 +28.25%
(10)アイフィスジャパン <7833> 549円 +27.94%
※銘柄、証券コード、12日終値、かい離率の順

上記ランキングが示す通り、実に6銘柄がかい離率で+30%を超えている。新年度入りで強気の通期業績予想を公表した企業など、好材料に後押しされた銘柄が大半を占めている。

業種別でみると、情報通信業が2銘柄。他は建設、化学、電気機器、非鉄金属、機械、卸売業、サービス、その他製品が各1銘柄となっている。

アイ・エス・ビーが「5営業日続伸」で1位に

今回は上記ランキングから、アイ・エス・ビー、大林道路、レックの3銘柄を取りあげる。

アイ・エス・ビーは通信制御ソフトを主力とするソフトウェア会社。1990年に店頭公開し、東証2部を経て2015年に東証1部に移行した。

5月2日発表の2017年1~3月期の連結業績は、売上高が前年同期比28.6%増の44億円、同じく営業利益が約3.8倍の3億5200万円だった。情報サービス事業は「携帯端末」「組込み」「モバイルインフラ」が好調。一方、セキュリティシステム事業も入退室管理システム等が順調だった。

1~3月期の営業利益が、既に6月中間予想(2億6000万円)を上回っており、今後の業績予想の上方修正への期待が高まった。決算内容を評価した買いが続き、5月10日まで5営業日続伸した。

大林道路、大林組のTOBで「完全子会社化」へ

大林道路は、その名の通り大林組傘下の道路大手。舗装工事や土木工事を手掛ける。

5月10日、大林組は大林道路のTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した。大林組によると、同社は既に大林道路株の41.67%を保有しているが、今回のTOBでは上限を設けずに株式を買い付けるという。買い付け価格は1株あたり940円。翌11日、大林道路株はTOB価格にさや寄せする形でストップ高となった。

大林組は完全子会社化を決めた理由について「民間分野の営業強化」や「路面温度の上昇を抑制する環境型舗装などの技術開発の促進」「人手不足に対応するためのICT施工機械の導入開発などを進める上で、経営資源やノウハウの相互活用などの一体経営が必要になる」ためと説明している。

レック、好業績と増配が評価されて上昇

レックは家庭日用品の製造、販売ならびに輸出入を行うメーカー。清掃関係の「激落ちくんシリーズ」が主力商品である。

5月8日、同社発表の2017年3月期の連結純利益は最高益となった。同時に2018年3月期の連結業績についても増収増益を目指すことを明らかにしている。営業利益予想は前期比3.4%増の38億円。アンパンマンなどのキャラクター製品やアイデア製品の投入を続け、成長を目指す。

年間配当は1株につき27円。1対2の株式分割を考慮すると、前期(年49円)から増配になる。好業績と増配が評価され、9日にストップ高となるなど人気を集めた。(ZUU online 編集部)

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