5月15~19日の東京株式市場は軟調に推移した。
日経平均株価は、16日の取引時間中に2万円の大台に迫る場面も見られたが、トランプ米大統領によるロシアへの機密漏えいなどの問題が浮上し、投資家心理が後退した。ただ、1万9500円を割り込んだ水準では押し目買いが入り、下値も限定的だった。

東京株式市場は3月期決算の発表がほぼ一巡し、目先的には手掛かり材料難から仕掛けにくい展開となる可能性がある。日経平均株価も方向感の定まらない展開となりそうだ。

「営業利益」上位10社、3業種が傑出

それでは、今回は東証1部の「営業利益」上位10社の顔ぶれをみていこう。

(1)トヨタ自動車 <7203> 1兆9943億7200万円 2017/03
(2)日本電信電話 <9432> 1兆5397億8900万円 2017/03
(3)三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 1兆2079億7400万円 2017/03
(4)三井住友フィナンシャルグループ <8316> 1兆1328億6000万円 2017/03
(5)ソフトバンクグループ <9984> 1兆0259億9900万円 2017/03
(6)NTTドコモ <9437> 9447億3800万円 2017/03
(7)KDDI <9433> 9129億7600万円 2017/03
(8)ホンダ <7267> 8407億1100万円 2017/03
(9)日産自動車 <7201> 7422億2800万円 2017/03
(10)みずほフィナンシャルグループ <8411> 6634億1600万円 2017/03
※銘柄、証券コード、営業利益(連結)、決算期の順。データはヤフーファイナンスに基づく。

2017年3月期決算では、上位5社の連結営業利益が1兆円を超えた。上記ランキングを業種別でみると、情報・通信業が4銘柄、輸送用機器(=自動車)と銀行が各3銘柄となり、この3業種が傑出した収益をあげていることが分かる。

トヨタ自動車、円高や研究開発費の増大が圧迫

今回は上記ランキングから、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンクの3社を取りあげる。

トヨタ自動車は世界首位を争う大手自動車メーカー。

2017年3月期の連結決算は、売上高が前期比2.8%減の27兆5971億円、営業利益は30.1%減の1兆9943億円、純利益(同社株主に帰属する当期純利益)が20.8%減の1兆8311億円と減収減益となった。円高や北米市場の競争激化、研究開発費などで構成する「諸経費」の増加が影響した。2018年3月期も減収減益を見込む。

自動車産業は自動運転やAI(人工知能)など、新しい時代を見据えた投資が増大する傾向にある。増加する研究開発費を負担しながら成長を続けることの難しさを示す決算内容だった。

MUFG、銀行子会社の行名変更を発表

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は国内最大の民間金融グループ。メガバンクの三菱東京UFJ銀行や、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券ホールディングス、三菱UFJニコス、アコムなどを傘下に持つ。

同グループの2017年3月期連結決算は、一般的な事業会社では売上高に相当する経常収益が前期比4.6%増の5兆9795億円、経常利益が11.6%減の1兆3607億円、純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)が2.6%減の9264億円と増収減益になった。日銀のマイナス金利政策による利ざやの縮小、米国の金利上昇に伴う債券関係の利益減少などで減益となった。

なお、同グループは決算にあわせて、2018年4月から三菱東京UFJ銀行の名前を「三菱UFJ銀行」に改めると発表している。

ソフトバンクグループ、設立36年で純利益1兆円超え

ソフトバンクグループは情報通信業大手。日本と米国で携帯電話事業を展開するほか、ヤフー日本法人も傘下に持つ。

同グループの2017年3月期連結決算は、売上高が前期比0.2%増の8兆9010億円、営業利益が12.9%増の1兆0259億円、純利益(親会社の所有者に帰属する当期利益)は前期の約3倍に相当する1兆4263億円となり、増収増益だった。純利益が1兆円を超えたのは旧社名のソフトバンクの時代も含めて初めてのことだ。中国のIT企業阿里巴巴(アリババ)集団の株式の一部や、フィンランドのゲーム大手スーパーセルの売却が主な要因だ。(ZUU online 編集部)

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