前週(6/12~6/16)の日本株は、FOMCを控えて方向感に欠ける中、米ハイテク株安、日本の政局混迷などを嫌気し2週連続の下落となった。FOMCを通過後16日には一時2万円を回復する局面もあったが、引け値では3週間ぶりの2万円割れとなった。

週間の日経平均は、70円(0.6%)安の1万9943円26銭で終え、週間高値は2万15円16銭(6/16)、安値は1万9755円34銭(6/15)だった。

もっとも、FOMCを通過後の16日に円安に転換し、日本株も上げた。日本株は一旦底値を確認した可能性が高く、上値トライが期待される。仮に、日経平均がボックス圏内の動きでも、個別銘柄の循環物色が賑わいそうだ。

前週(6/12~6/16)の振り返り

株式見通し
(写真=PIXTA)

12日の日経平均は反落、前週末比104円68銭(0.5%)安の1万9908円58銭と2万円割れで引けた。

週末9日の米株式市場では、今まで相場の上げを牽引してきたフェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグルの頭文字を取った「FAANG」が大幅安となった。日本市場でも上げを牽引していたIT系の銘柄や半導体関連銘柄に利益確定の売りが広まった。

13日の日経平均は小幅続落、前日比9円83銭(0.1%)安の1万9898円75銭で引けた。

前日に引き続き米株式市場でハイテク株が下落し、日本でも値がさハイテク株に売りが広まった。もっとも、資源株や不動産株といった出遅れ銘柄に買いが入り日経平均の下値は限定的だった。

14日の日経平均は3日続落し、前日比15円23銭(0.1%)安の1万9883円52銭で終えた。

13日の米株式市場、特に注目のハイテク株が反発したため、朝方は日本株にも押し目買い意欲が広まった。取引時間中としては3日ぶりに2万円を付ける場面もあった。しかし、大きなイベントである米FOMCを当日に控え積極的にポジションを拡げる投資家も少なく引けではマイナスに転じた。

15日の日経平均は4日続落、前日比51円70銭(0.3%)安の1万9831円82銭で引けた。

注目のFOMCで、FRBは大方の予想通り政策レートであるFF金利を25bps利上げした。年内の利上げはあと一回だが、量的質的緩和で拡大したFRBのバランスシートを縮小に着手することを公言した。

NY為替市場では、FOMCに先だって発表された米5月消費者物価指数や小売売上が予想を下回ったため、米景気のスローダウン懸念から一時108円84銭までの円高に振れていた。逆にFOMC後は、利上げとバランスシートの縮小というイエレン議長のタカ派的な発言を受け円は反落、110円台までの円安となった。

東京市場では、円安転換を好感して日経平均は朝方一時80円高まで上げていた。しかし、加計学園問題で文科省と内閣府のやりとりの文書の存在が明らかとなり、政局の混迷が混迷するとの見方から日経平均は下げに転じた。

16日の日経平均は5日ぶりに反発、前日比111円44銭(0.6%)高の1万9943円26銭で引けた。

FOMC通過後、海外為替市場ではさらに円安が進み6月2日以来2週間ぶりの111円台をつけた。日本株にも買い安心感が広がり、日経平均は12時半頃に一時2万円を回復する局面もあったが、週末を控え上げ幅を縮小して引けた。日銀は当日の決定会合で金融緩和策の現状維持を決めたが反応は限定的だった。

日経平均が伸び悩む中、個人を中心に物色対象は新興市場となり、東証マザーズ指数は4日続伸し、16年6月10日以来およそ1年ぶりの高値を更新した。

先週の海外動向を振り返る

16日の米国市場で、NYダウは小幅反騰し24ドル(0.1%)高と2日ぶりに過去最高値を更新した。一方、主力ハイテク株が売られて世界的に注目を浴びたナスダック総合指数は13ドル(0.2%)安と3日続落となった。主力ハイテク株は引き続き売り圧力が強いが、アマゾン、マイクロソフトなど主力株の一部は上げている。

週間のNYダウは112ドル(0.5%)の上昇で4週連続高となった。ナスダック指数は週間で56ドル(0.9%)と2週続落だった。NYダウとハイテク比率の高いナスダックの跛行が目立った。

円は対ドルで東京時間からは円高が進み110円90銭でNY市場を終えている。黒田日銀総裁が政策会合後に金融緩和の「具体的な出口を示すことは難しい」と述べたことで、日本の量的質的緩和の出口は遠いとみて、ドル円は朝方一時111円39銭まで下落した。

その後、米5月住宅着工と6月ミシガン大の米消費者態度指数が予想を下回ると、米景気スローダウン懸念からドルが売られ、円は一時110円65銭まで上昇している。

「6/18~6/23」の株式展望

今週の東京市場のメインシナリオは、1万9800円から2万200円のレンジを想定している。

米国の経済指標が市場予想を下回るものが増えてきており、景況感の分かれ目になっているのに対して、日本のマクロの経済指標は今のところ好調だ。企業業績のミクロでも今のところ不安はすくない。日経平均のPERは、14.1倍と過去の中心レンジである14倍から16倍の下限にある。いつ外国人や国内機関投資家の買いが入ってもおかしくない状況だ。

懸念があるとすれば、6月1週(6月5日~9日)の投資主体別売買動向で、外国人が354億円の売り越しに転じたこと。売り越しは3月最終週以来10週ぶり。ただ6月1週はメジャーSQ週でもあり、まだトレンドは読みにくい。

アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック、ネットフリックスといった今まで相場の上げを牽引してきた米IT関連銘柄の変調も気懸かり。市場では、ゴールドマン・サックスなど一部の大手証券会社がハイテク売りを推奨するレポートをだしたため、大口の投資家がセクターローテーションをしたとの指摘が多い。2000年のITバブル時にも、一時的にテクノロジー株が調整することは何度もあったがそのたびに戻すことも多かった。今後のハイテク株の動向に注目があつまる。

5月~6月は米ロシアゲート事件、欧州総選挙、テロ、FOMCなど、金融市場で重要なイベントが多かったため、ポジションを押さえていた機関投資家が多かった。一連のイベントを無事通過し、リスクオンで株も債券も買われる金融バブル的な状況になっている。NYダウが新高値をつける一方で、債券利回りも3月のトランプ政権後の最高水準である2.6%台から6月FOMC前には2.1%まで下落していた。

6月14日のFOMCの利上げで米長期利回りは反転の兆しがでており、ドル円は買われ始めたようにも見える。16日の東京市場では円安、株高が進んだ。過去にもFOMCで株、債券、為替のトレンドが変わったことは多い。今週以降の為替と債券のトレンドには特に注目しておきたい。

日本株は、5月以降明らかに為替離れをしつつある。とは言っても感応度が下がっているだけであり、円安が進めば外国人の日本株買いのサポート材料になることは間違いないだろう。

テクニカルでは下値不安は少ない。5月下旬、先週ともに日経平均の下値は25日移動平均でサポートされた。日足チャートはきれいに下値を切り上げてきている。特別な悪材料でも出ない限り現在の25日移動平均の1万9834円ではサポートされそうだ。上値は6月9日高値の2万96円。これを抜けば6月2日の年初来高値の2万239円にチャレンジすることだろう。

今週のイベントは、日本では21日に4月の日銀決定会合議事録、23日に東京都議会選挙告示(7/2投票日)、海外では20日に米ジョージア下院補選、21日G7運輸相会合、22にEU首脳会談、ECB拡大理事会、23日BREXIT1周年、25日にイスラム圏ラマダン明けがある。また20日には、MSCIが中国A株のMSCI新興国株式指数に採用の可否を発表予定。

経済指標では、日本では19日に5月の貿易統計、20日に5月の百貨店、コンビニ、スーパー売上高、21日に訪日外客数。海外では、20日に米1~3月経常収支、21日に米5月中古住宅販売件数、22日に米5月CB景気先行総合指数、23日に米5月新築住宅販売件数がある。(ZUU online 編集部)

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