AI(人工知能)は人間を超えるか?
将棋好きの私にとって衝撃的だったのは、佐藤天彦名人とAI・PONANZAが繰り広げた電王戦「二番勝負」である。果たしてAIの前に人間は完膚なきまでに叩きのめされたのだった。

もはや「AIは人間を超えるのか」などといった議論すら時代遅れのように思えてくる。今後はあらゆる分野で加速度的にAIが普及することだろう。銀行の金融商品販売の現場も様変わりしているはずだ。それどころか「AIが人間を支配する」社会が実現しているかも知れない。

近未来の銀行はこうなっている?

ai,投資信託
(写真=Thinkstock/Getty Images)

202X年の銀行窓口ーー10数年前には人でごった返していた銀行ロビーも、いまでは閑散としている。

かつては給料日になるとATMで現金を引き出す預金者の列ができたものだが、電子マネーや仮想通貨の普及でその必要はなくなり、街でATMを探すのもひと苦労だ。かつては紙の伝票がところ狭しと並んでいたカウンターは、電子認証システムが導入され、電子ペンが置かれているだけだ。銀行取引には不可欠だった印鑑すら、この時代は不要なのだ。

銀行員の姿もまばらだ。女性行員に意地悪な質問をして楽しむ客や声を荒らげるクレーマーもいなくなった。なぜなら、顧客対応を行うのはAIを搭載したロボットだからだ。

ロボットに搭載された「顔認証システム」の精度は高く、銀行のドアが開けば瞬時に来店客と顧客データを照合し、誰がどのような要件で来店したのかを予想、適切な対応を行うようになっている。

ほとんどの投資信託が存在価値を失う?

AIの普及による影響を受けるのは、銀行の金融商品販売の現場だけではない。日本には6000を超える投資信託が存在しているが、それらのほとんどが存在価値を失ってしまう可能性も否定できない。

「銀行で勧められる投資信託はまるで儲からない」
「銀行は顧客から高い手数料を取って回転販売を行っている」

実際に投資信託を販売する現場では多くの不満を耳にする。銀行には銀行の言い分があるのだが、少なくとも顧客の理解を得られないビジネスモデルが存続できるとは思えない。銀行員の仕事の多くがAIにとって代わられるように、投資信託もAIの普及によって淘汰されることになるのだろう。

手数料が高い投資信託は売れない。手数料を引き下げるために徹底的なコスト削減が求められる。その結果、人間のファンドマネージャーは次々と職を失うことだって考えられる。ネット上に溢れる企業の開示情報から掲示板の口コミまで、あらゆる情報をAIが収集し、判断する時代が到来する。

そうした中で、わずかに生き残るのは日経平均株価やTOPIXといった指数に連動する投資信託と、それ以外の「AIが運用する投資信託」になるのかも知れない。AIの優劣がそのまま投資信託のパフォーマンスの優劣を決定づける時代を迎えるだろう。

AIは嫉妬しない、AIは弱いものイジメをしない

タクシー会社では、客がいる場所を予測してドライバーに指示を与えるAIが試験的に導入され、実際に成果を上げているという。「AIが人間に指示を与える」「AIが人間を支配する」そんな社会が当たり前になると考えるのは時期尚早だろうか。

だが、たとえそんな時代が現実味を帯びたとしても、悲観的になるのは早計である。考えてみるが良い。いまの日本企業で心の底から尊敬できる上司がどれだけいるだろうか。本当に尊敬できる経営陣がどれほどいるだろうか。

AIは嫉妬することはないし、部下に責任をなすりつけることもない。AIは嘘をつかないし、弱いものイジメをすることもない。嫉妬深く意地の悪い人間の上司の下で働くよりも、ずっと幸せなサラリーマン人生を送れるのではなかろうか。

経営者や政治家の判断を「AIが評価する」社会

東京電力やタカタといった例をあげるまでもなく、企業経営者は致命的な判断ミスを犯すことが珍しくない。様々なしがらみや力関係の中で合理的な判断をすることが難しくなっているのかも知れないが、おかしいと思っていても誰もそれを止めることはできない。企業だけではない。政治や行政だって同じではないのか。

AIは単純労働者の職を奪ってしまう。ある意味においてそれは事実だ。「AIに支配される社会」は不幸だと考える人もいるだろう。しかし、企業経営者や政治家の判断を「AIが評価する」社会であればどうだろうか。経営判断や政策決定の是非がAIによって評価され、それが企業の株価や為替レート等に反映されるとしたら? AIの評価が我々人間に様々な「気づき」を与え、議論を深めるきっかけになるのであれば、まんざら悪いことではない。社会の健全な発展のためにAIが活躍するような環境を整えることは、我々人間にとっても幸せなことではないか。少なくとも私にはそう思えるのだ。(或る銀行員)

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