前週(7/3〜7/7)の東京為替市場で円は4週続落、7日の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは113円71銭で終え、週間で1円64銭(1.5%)の円安だった。ドル円の高値は113円83銭(7/7)、安値は112円20銭(7/3)だった。
ECBのテーパリングを示唆する発言後、欧米の長期債利回りが上昇しており、日本国債との金利差の拡大から円安が進んでいる。北朝鮮がCBIMを発射するなど地政学リスクが高まったことは有事の円高要因ではあったが、加計学園を巡る疑惑の拡大、東京都議選での自民党の大敗など安倍政権に対する信頼が緩んだことは円安要因ととらえられた。
前週(7/3〜7/7)の振り返り
3日の東京為替市場は続落、17時のインターバンクのドル円レートは112円80銭と先週末比73銭の円安が進んだ。
30日のNY為替市場で111円台後半から112円台後半まで円安が進んだ。米6月シカゴ購買部協会景気指数が3年ぶりの高水準に達し、5月個人所得が予想を上回ったため。東京でも海外での円安の流れを引き継いだ。
4日の東京為替市場は3日続落、17時のインターバンクのドル円レートは113円12銭と前日比32銭の円安。午前中に北朝鮮がCBIMを発射したとの報道があった。CBIMなら、ワシントンが照準の圏内に入る。14時過ぎに「15時30分に北朝鮮が特別重大報道を行う」と伝わったこともあり、株安、円高になり、それまで113円10銭前後で推移していたドル円は一時112円88銭まで下落した。
5日の東京為替市場は4日続落、17時のレートは113円50銭と前日比38銭の円安だった。NY市場が独立記念日で休場なため、模様眺めの展開が予想されたが、北朝鮮が核実験を行う可能性があるとの報道があり、一時112円83銭まで円高になった。もっとも、日銀のETF買いの観測で下げていた日経平均が戻り始めると為替も円安に振れた。
6日の東京為替市場は5日ぶりに反騰、17時のレートは113円34銭と前日比16銭の円高になった。日本株が、政局、地政学リスクに加えて、九州豪雨被害の拡大もあって投資家心理が冷え込み、6月16日以来3週間ぶりに引け値で2万円を割り込んだ。ドル円も一時122円88銭まで円高となったが、7日に始まるG20や8日の日米首脳会談での北朝鮮への対応などを見極めたいとの心理が働き113円台に戻して引けた。
7日の東京為替市場は反落、前日比37銭円安の113円71銭で引けた。世界的な金利上昇による欧米株安は続いており、日本株にも売りが先行、日経平均は一時1万9856円と4日以来の1万9900円割れとなった。
日本国債の金利も上昇したため、10時過ぎに日銀が5カ月ぶりの指し値オペを実施した。日銀の金融緩和継続に対する意思表示であるため、ドル円は一時113円83銭まで売られ、日本株は押し目買いが入り日経平均は下げ幅を縮小した。
先週の海外動向を振り返る
7日発表の6月米雇用統計は雇用増のペースが加速、NYダウは3日ぶりに反発した。米雇用統計を受け、NY為替市場で円は一時114円18銭と5月11日以来、2カ月ぶりの円安水準になった。NY市場の引けは前日比70銭円安の113円95銭。
「7/10〜7/14」の為替展望
今週のドル円のメインシナリオは113円12銭から114円37銭レンジでの展開が想定される。懸念されていた欧州テーパリング懸念による世界的な金利上昇が続く。米長期債利回りは、雇用統計を受けて先週末は一時2.398%と3月以来の水準まで上げた。円安が、欧米の金利上昇で円キャリートレードの積みましによるものならあまりいい円安とは言えない。
金利上昇、米国の景気スローダウン懸念によるリスクオフは先週の雇用統計後の株高で一旦解消された。米経済のスローダウン懸念が解消されるような経済指標が続くなら、米株高のサイクルに戻る可能性はある。一時期よりはポジティブ・サプライズの指標が増えてきているが継続性があるかどうかは、今後の経済指標を見定める必要がありそうだ。
もっとも、欧州景気は予想を上回る改善となっており、ECB理事会の議事録でもテーパリングを考えていることは確認されており、ゆっくりとテーパリングに向かうことは間違いないだろう。円安トレンドはしばらく続く可能性が高い。
日本市場の一番の懸念は政局だ。10日に加計学園問題で国会閉会中審査を実施することになった。2日に行われた東京都議選では自民党は歴史的な敗戦を喫し、小池都知事の都民ファーストが躍進し過半数を占めた。JNNが3日に発表した内閣支持率は43.3%と前月から11ポイント下落した。
内閣支持率が40%を割ると外国人投資家が日本株を売るというアノマリーがある。テクニカルでは、5月17日高値の113円12銭がサポートになる。高値は5月11日の113円37銭がレジスタンスになる。
今週は重要なイベントは、日本では安倍首相がG20から帰国し、10日に前川前文科次官を参考人招致し閉会中審査が予定されている。政権を占う上で重要イベントで、その後の内閣支持率にも注目。14日には時事通信の世論調査が発表予定。12日には、米ベージュブック(地区連銀経済報告)とイエレンFRB議長の下院金融サービス委員会での証言がある。
経済指標は、日本では10日の5月機械受注、5月経常収支、6月銀行貸出、6月景気ウォッチャー指数がある。海外では、11日に米5月の卸売売上、12日に欧州鉱工業生産、13日に米6月生産者物価、14日に米6月消費者物価、小売売上、鉱工業生産、7月ミシガン州立大消費者信頼感指数が注目される。(ZUU online 編集部)
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