前週(7/10〜7/14)の日本株は3週間ぶりに反発、2週間ぶりに2万円台で商いを終えた。日経平均の週間の引け値は2万0118円86銭と前週末比189円77銭(1.0%)高だった。週間高値は2万0200円88銭(7/11)、安値は1万9856円65銭(7月10日)。
7日の米雇用統計が予想を大幅に上回るポジティブサプライズとなり、不透明感が増していた米景気に対する強気が戻ってきた。雇用統計を受けて、ドル円は一時5月11日以来の114円台を回復、日本株は2週間の下げから戻りを試す相場となった。
12日に、米FRBイエレン議長の議会証言で年内あと1回の値上げと9月からのバランスシートの縮小(テーパリング=量的緩和の終焉)を示唆する発言をした。世界の株式市場は利上げペースの緩和を好感、NYダウが急騰し史上最高値を更新するなどリスクオンの展開となった。日本市場も海外株高を受けて、もう一段の株高となった。
前週(7/10〜7/14)の振り返り
10日の日経平均は3営業日ぶりに反発。前週末比151円89銭(0.8%)高の2万0080円98銭と3営業日ぶりに引け値で2万円台を回復。
7日発表の米6月雇用統計で非農業部門雇用者数が22万2000人増と市場予想の18万人増を大幅に上回り、米金利上昇とともに円安が進み2ヶ月ぶりの114円台をつけた。電機や自動車など円安感応度の高いセクターを中心に買いが入った。
11日の日経平均は続伸、前日比114円50銭(0.6%)高の2万0195円48銭で終えた。
午後に入って円は114円40銭台までが下落幅を拡大、円安感応度の高いセクター中心に業績回復期待が高まり幅広い銘柄に買いが入り日経平均も一段高となった。
12日の日経平均は反落し、前日比97円10銭(0.5%)安の2万0098円38銭だった。
日本時間12日夜に今週の注目イベントであるイエレンFRB議長の米下院議会証言が控えており、7日の雇用統計後の金融政策へのスタンスをみたいことから、一旦ドルに利益確定売りが拡がった。円高が113円30銭台まで進むと、日本株にも今週の上げを主導していた円安感応度の高いセクターに利益確定の売りが広まった。イベント待ちから、東証1部の売買代金は6月26日以来の2兆円割れとなった。
13日の日経平均は小幅反発、前日比1円43銭(0.0%)高の2万0099円81銭で終えた。
注目の米FRBイエレン議長発言は、年内あと1回の値上げと利上げペースの緩和と9月からのバランスシートの縮小(テーパリング=量的緩和の終焉)を示唆するものだった。世界の株式市場は利上げペースの緩和を好感、NYダウが123ドル高と急騰し史上最高値を更新、リスクオンの展開となった。日本市場も海外株高を受けてしっかりはじまったが、ドル円が利上げペースの緩和から日米金利差の縮小懸念で一時112円台の円高になったことで、上げ幅を縮小して引けた。東証1部の売買代金は連日の2兆円割れと夏枯れ相場の色彩が強くなってきた。
14日の日経平均は続伸、前日比19円05銭(0.1%)高の2万0118円86銭だった。
13日の米国市場でも前日のイエレン発言を好感した強気相場が継続し、史上最高値を連日で更新した。日本株もギャップアップしてはじまったが、3連休を控え高値を買う投資家も限定的。上げ幅を縮小して引けた。膠着感が強く、日経平均の一日のレンジは62円。特に後場は25円の値幅しかなかった。ミニSQで商いが上乗せされているにもかかわらず、東証1部の売買代金は3日連続で活況の目安となる2兆円を下回った。
先週の海外動向を振り返る
14日のNYダウは4日続伸し、84ドル高の2万1637ドルで引け4日連続で史上最高値更新となった。米6月の消費者物価指数(CPI)など経済指標の悪化にもかかわらず上げた。週間では138ドル高と3週間ぶりに反発。ダウは景気成長と金融政策がちょうどいい適温であるゴルディロックス相場とみた買いが継続している。
株と為替に温度差がでている。NYダウは続伸したもののドルは売られた。米6月の消費者物価指数(CPI)、6月小売売上高がともに市場予想を下回り、景気に対する不透明感からドルが売られ円高が進行し、ドル円は一時112円26銭と3日以来の水準をつけた。CPIの発表前の113円11銭から円は急騰している。
雇用統計、イエレン発言で楽観的になっていた景気見通しに再び懸念が拡がってきた。この日の経済指標の悪化を受けて、米アトランタ連銀のGDPナウが4−6月期のGDP見通しを引き下げ、複数の米金融機関が米GDP見通しを下方修正した。NY株の高さには違和感が残る展開だった。
円高を嫌気して、日経平均先物の夜間取引は2万0020円と先週末の大阪先物引けの2万0110円から90円下げている。
「7/17〜7/21」の株式展望
今週の日経平均のメインシナリオは、1万9850円から2万300円のレンジを想定している。
東京市場は連休明けで営業日が少ないため夏枯れ相場となる可能性が強く、海外動向と為替次第の展開となるだろう。欧米の金融政策が今のテーマであり、20日のECB定例理事会とドラギ総裁の会見というイベント待ちとなりそうだ。
国内では加計学園問題と内閣改造の展開待ち、ファンダメンタルズでは17年4−6月期の決算発表が19日の安川情報システム <2354> からはじまるため、本格化する来週以降の決算動向待ちで個別銘柄中心の物色動向になりそうだ。
米国でも先週末の主要銀行の決算発表から4−6月期の決算発表が始まった。JPモルガン・チェース、シティグループなど大手銀行の決算は市場予想を上回ったが、経済指標悪化による米長期金利の低下から株価は売られている。4−6月の決算では特にIT系のハイテク企業の決算が注目される。ハイテク株が決算後、再び上値追いになるのか調整局面を迎えるかで、今年下期の株式市場の動向が決まると言ってもいいだろう。
懸念していた政治不信による外国人の日本株売りは踏みとどまっているようだ。外国人は内閣支持率低下を嫌い過去も支持率40%割れで売りに回ったアノマリーが存在する。ただ今回に関しては、トランプ大統領のロシアゲートと同様に、マスコミや野党は騒ぐけれども、証拠があって致命傷となることはないとの見方が広まり、いきなり日本株のウェイトを下げず様子見にしたようだ。先週発表された7月1週の東証の外国人動向は2週ぶりに売り越しとなったが、15億円の小幅売り越しだった。
テクニカルでは、日経平均は先週の戻しで25日移動平均である2万0063円を回復した。当面は25日移動平均線を中心にしたレンジでの展開になりそうだ。もっとも先週末の円高で海外の日経平均先物の夜間取引は2万円手前まで売られている。2万円を割り込むことになれば7月7日の1万9856円がサポート。これを割り込めば6月15日安値の1万9755円が次のサポートとなる。上値は6月20日の年初来高値の2万0239円がレジスタンス。抜ければ心理的抵抗線の2万0500円が次のターゲットだろうか。
今週の重要なイベントは、日本では19ー20日の日銀決定会合。政策は現状維持がコンセンサスだが、「日銀展望レポート」で景況感が上方修正されるという見方が強い。20日の黒田総裁会見にも注目。海外で最大の注目は20日のECBの定例理事会とドラギ総裁の会見だ。欧州のテーパリングが為替や債券市場を動かしただけに注意しておきたい。
米国4−6月決算が本格化する。17日がFANG銘柄第一段のネットフリックス。18日が金融大手ゴールドマン・サックス、19日の通信半導体大手のクアルコム、20日がIT大手のマイクロソフト、21日の重電のGEなどが日本企業への影響が大きいため注目される。
経済指標は、日本では18日に5月の建設総合統計、19日に訪日外客数、ロイター短観、20日に6月貿易統計がある。海外では、17日に中国の6月小売売上、6月都市部固定資産投資、6月鉱工業生産、4−6月GDP、米国では7月連銀製造業景況感指数、19日に米6月住宅着工、20日に米7月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、6月CB景気先行総合指数などが注目される。(ZUU online 編集部)
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