平成27年に行われた国勢調査によると50歳まで一度も結婚したことのない「生涯未婚率」が平成22年の調査に比べ男性が3.23%上昇の23.37%、女性が3.45%上昇の14.06%となっている。これは、ひとり暮らしの高齢者が今後益々増加することを示唆している。

老後、介護が必要になった時に公的介護保険だけで足りるのかなど、介護のお金について考えていこう。

要介護認定者は増えている

要介護認定者数(要支援含む)は厚生労働省の資料によると平成26年4月現在で598万人となり、平成18年から約2.7倍に増加している。年代別にみても75歳以上では3人に1人、85歳以上では5人に1人が要介護認定(要支援含む)されている。また、平成24年の生命保険文化センターの調査によると要介護者の介護期間は平均すると56.5カ月で4年以上が46.4%と増加傾向である。

このようなデータを見ると介護は他人ごとではない。いつか自分にも起きる問題として何らかの対処方法を考えなくてはならないのだ。

公的介護保険からどんなサービスが受けられるのか

公的介護保険制度は、要介護認定を受けた人が、公的介護保険が指定する介護サービスを利用限度額内で1割(所得の高い人は2割)の自己負担で受けられる制度だ。

利用限度額は介護を必要とする度合いに応じ「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階に分けられている。サービスを受けられる限度額は要介護1の場合月額16万6920円、自己負担額は1割負担で1万6692円。要介護5の場合の限度額は月額36万650円、自己負担額は1割負担で3万6065円である。

ここで、ポイントになるのが支給限度額以上のサービスを望めば受けられるがそこは全額自己負担になるという事である。

介護保険,高齢者.老後
(画像=筆者作成)

要介護度が進むと、公的介護保険制度だけでは足りない

介護になった時に介護サービスをどのように受けるかの相談を受けケアプランをたててくれるのがケアマネージャーである。もちろん、公的介護保険制度の限度額以内で介護プランをたててくれる。しかし、限度額以内という事は自分が求める介護サービスとかけ離れる事もあるのだ。更なる快適な介護環境を求めれば公的介護保険制度の範囲を超えてサービスを受けることも可能だという事だ。

もし、高齢で介護認定を受けたがひとり暮らしだった場合、軽度であれば公的介護サービスを利用しながらひとり暮らしを続けることも可能ではあるが、要介護度が増し重度化するとひとり暮らしは難しくなるのではなかろうか? 特に「認知症」の場合判断能力が鈍り近隣に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれない。そうなると生活の環境を変えて施設入所などを考えなくてはならないが同時に費用の工面も必要だ。

介護には公的介護保険制度だけでは賄えない見えない費用がかかってくるのである。実際に介護を経験した方のアンケート調査(生命保険文化センター「生命保険に関する全国事態調査」/平成27年度)から見ると介護費用の平均は約79000円×約4年11か月=約467万円と高額になる。

民間の介護保険はいろいろ

そこで介護時の資金不足に陥らないようにするため、介護費用の平均分を民間の介護保険で検討する必要があるが、民間の介護保険には様々なタイプがある。

保険期間は終身もあれば定期もあるし、給付タイプが年金タイプもあれば一時金もある。

また、給付要件が例えば要介護3以上に認定され、かつその状態が180日間を越えて継続した場合に保険金を給付というような保険会社独自の基準を設けている商品もあれば、公的介護保険の認定に連動しているものもある。なかには介護か死亡のどちらかでもらえるものもある。

つまり公的介護保険と違い自分が選ぶ保険によって介護時に使えるタイミングが違うのだ。加入の際にはどのような状態になったらどのような形でもらえるのかの確認も必要である。

現役時代から介護の準備を

快適な介護サービスを受けようとすればその分費用がかさむ。将来自分が介護認定を受けた時にどのようなところで誰にサポートしてもらってどのくらいの介護サービスを受けたいかをライフプランの一部として考える時代がやってきたといっても過言ではない。豊かな介護を望むのも自由なのだ。

こんなはずじゃなかったのにと後悔する前に介護の実態や費用の認識や、介護に備える準備はまだ早いと思わず現役時代から必要なのではないか?

廣木智代 ファイナンシャルプランナー(CFP)
結婚後、家業のスナックで手伝いをしていたが母の引退と共に廃業。家計の苦しさを埋めるための我が家の保険の見直しをきっかけに、お金に賢くなるお手伝いをするべくCFP資格を取得。心と体とお金の健康バランスを軸に、個別相談、セミナー、執筆を展開中。 FP Cafe 登録パートナー。

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)