前週(8/28〜9/1)の東京為替市場では、地政学リスクの高まりで29日にはドルが急落する場面があったが、米経済指標の改善を好感して29日をボトムにドルの買い戻しが入り始め、週間では2週連続の円安となった。

週末の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは110円19銭で終え、週間で51銭(0.5%)の円安だった。円は29日に108円33銭の上ひげをつけた後、31日には110円62銭まで売られた。トレンド変換を示唆するような上ひげの長い陰線となった。ドル円は、3月以降の108円と114円のボックスの下限で切り返した。

今週は、7日のECB理事会で欧州のテーパリングのロードマップが公表される見通しで、その結果待ちとなるだろう。ただ、為替、債券、株とも同じ日に節目をつけて切り返して始めただけにトレンドが変換した可能性が高いと見ている。

前週(8/28〜9/1)の振り返り

為替展望
(写真=PIXTA)

28日の東京為替市場で円は反騰、17時の東京インターバンクのレートは109円16銭と前週末比52銭の円高となった。

週末の26日に北朝鮮がミサイルを発射、地政学リスクの上昇から円高が進んだ。ただ、日本株の下落は2円安程度と株式市場ではさほど材料視されなかったことで、ドル円も109円10銭台でのもみ合いとなった。

29日の東京為替市場で円は続伸、17時のレートは前日比65銭円高の109円16銭だった。

北朝鮮が日本の領空を通過するミサイルを発射、地政学リスクの高まりで日経平均は一時170円安の1万9280円まで下落、ドル円は一時108円33銭まで売られた。

海外市場でもリスクオンが加速、29日のNYダウは一時134ドル安、米長期債利回りは一時2.08%とトランプラリー以来の最低水準まで下げた。ドルは売られ、ユーロドルは15年1月以来3年7ヶ月ぶりの一時1.20ドル、ドル円も4月17日の108円14銭以来となる一時108円28銭をつけた。

ただ、同日に発表された米8月の消費者信頼感指数が予想を上回り、米景気の底堅さが確認されると株、債券、ドルに買い戻しが入り始めた。

30日の東京為替市場で円は大幅反落、17時のレートは前日比1円51銭安の110円02銭だった。

海外でのドルのショートカバーの流れを受けて、東京市場でも円は109円台後半で始まり、110円台まで売られた。日経平均が3日ぶりに反発し、143円高で1万9500円を回復したことが、相場のセンチメントを改善させた。

31日の東京為替市場で円は2日続落、17時のレートは110円50銭と前日比48銭の円安だった。

米4〜6月期のGDP改定値、8月のADP雇用統計など米経済指標が軒並み市場予想を上回り、リスクオフの買い戻しが継続した。日経平均は2日続伸で139円高の1万9646円まで戻し、東京市場でドル円は110円台半ばでの動きだった。

1日の東京為替市場で円は反騰、17時のレートは前日比31銭円高の110円19銭だった。

米雇用統計、NY市場の3連休、来週7日のECB定例理事会を控え、ドルのショートカバーは一服し、模様眺め気分が強くなった。日中のドル円のレンジは27円と小動きだった。

先週の海外動向を振り返る

注目の米8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は前月比15万6000人増、失業率は4.4%とともにコンセンサスに届かなかった。発表直後は一瞬だけ、ドル安・円高が進んだがすぐに戻り、株式市場や為替市場では特に悪材料視はされなかった。

むしろ、ISM製造業景況指数が予想を上回り、11年4月以来の高水準だったことで、ドル、株、債券買い戻しのトレンドが継続した。NYダウは39ドル高と4日続伸、一時は2万2000ドルを回復し2万1987ドルで引けた。ドル円のNY市場での引け値は110円30銭。東京市場での引けの110円19銭からは小幅ながら円安が進んだ。

「9/4〜9/8」の為替展望

今週のドル円のメインシナリオは、108円28銭から111円33銭のレンジを想定している。

先週は、世界的に株安、債券安、ドル安が反転した。主要アセットが同日に大きく反転することは相場の潮の変わり目で起きやすいこと。地政学リスクやECB理事会の内容次第では市場のリスクオフが再燃する可能性はあるものの、円高トレンドが転換した可能性がある。今週はそれを確認する週だろう。

7日のECB定例理事会では、ドラギ総裁がテーパリングに関するロードマップを公表する見込みだ。その時期やスピードによってはユーロが大きく動く可能性があり、ユーロ高ならクロスレートで円高、ユーロ安なら円安となる可能性が高い。

9月9日に北朝鮮の建国記念日を控えており、地政学リスクは意識せざるを得ない。5日に予定されていた麻生・米ペンス副大統領の会談は地政学リスクの高まりから中止になった。

米国の経済指標に予想を上回るものが増えてきたが、FRBが重視する雇用統計は予想を下回り、PCEデフレーターはFRBが目標とする2%を大幅に下回っている。すでにFRBが利上げする確率は9月のFOMCではゼロ、12月でも3割程度まで低下しており、年内の利上げは見送りとなる見方が主流だ。

テクニカルでは、ドル円のサポートは8月29日安値の108円28銭。サポートは90日移動平均の111円33銭がめどだ。

今週の重要なイベントは、5日に予定されていた麻生・米ペンス副大統領の会談は地政学リスクの高まりから中止になった。

海外では、4日は米レーバーデーで米国市場は休場、4日〜10日ASEAN経済大臣会議@フィリピン、5日から米議会再開、6日にロシアの東方経済フォーラム@ウラジオストク、7日にECB定例理事会、9日は北朝鮮の建国記念日、10日にはRCEP閣僚会合@フィリピン、9月24日がドイツ総選挙がある。

経済指標は、日本では6日に7月の毎月勤労統計、7日に7月の景気一致CI指数、景気先行CI指数、8日に4〜6月GDP2次速報、7月の経常収支、8月の景気ウォッチャー調査がある。海外では5日の米7月耐久財受注、ユーロ圏4〜6月GDP、6日の米ISM非製造業景況指数、ベージュブック、9日に中国8月のCPIなどが注目だ。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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