「扶養枠内に収めて働くことにした」52.0%、「扶養枠を外して働くことにした」14.3%———。

社会保険の適用拡大から約1年が経ち、主婦の働き方に関するアンケートが行われた。主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関しゅふJOB総研の調査。調査対象は406人。

扶養枠内が5割を超えるも前年からはマイナス

働き方改革,社会進出,主婦,共働き
(写真=PIXTA)

2016年10月から短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がった。2017年4月からは従業員500人以下の会社も対象となるなど、働く主婦たちを中心に大きな影響をもたらしている。

アンケート調査では、在職中の主婦733人のうち「今は働いていない」「もともと扶養枠を外しているので変わらない」と答えた人を除く406人の回答を集計している。

「社会保険適用拡大から1年近くが経過したが、どのような働き方を選んだか」という質問では「扶養枠内に収めて働くことにした」が52.0%、「扶養枠を外して働くことにした」が14.3%、「意識していなかったのでわからない」が27.1%という回答結果を得た。

しゅふJOB総研では、同じ内容のアンケート調査を2016年10月にも行っている。約1年前の回答結果では「扶養枠内に収めて働くことにした」が62.5%、「扶養枠を外して働くことにした」が8.7%、「意識していなかったのでわからない」が19.8%となっていた。

2017年と2016年の集計結果を比較すると、1年前に比べて「扶養枠内に収めて働くことにした」は10.5ポイント減り、「扶養枠を外して働くことにした」は5.6ポイント増えたことになる。

不公平感や不安の声も上がる

データからは、「扶養枠内に収めた」とした人が5割を超えているものの1年前に比べて約10ポイント減少していることが分かった。では働く主婦たちは社会保険の適用拡大に対してどのような意見や感想をもっているのだろうか。アンケート調査のフリーコメントに寄せられた生の声を見てみよう。

「扶養枠内に収めた」と回答した主婦のコメントでは、「扶養内で働きたいので収入が減って困っている(40代、パート/アルバイト)」、「昨年度前に戻して欲しい。おかげで働く時間を抑えることになった(30代、派遣社員)」、「少ない賃金から社会保険料や税金を引かれるとなると打撃が大きい(50代、パート/アルバイト)」など、制度によって困惑している様子の意見が目立つ。

「扶養枠を外して働く」と回答した主婦のコメントでは、「時給単価が高い人には嬉しい(40代、派遣社員)」、「保険に入ることができれば将来の年金も助かる(40代、パート/アルバイト)」、「加入は将来に備え大きなメリットになる。適用範囲拡大になりよかった(50代、派遣社員)」と、適用拡大を歓迎する声もある。

しかし一方で、「払う人だけに負担がかかるのは不公平感がある(40代、パート/アルバイト)」、「人手不足のためできる限り勤務しようとすると保険の適用となるが、手取り額が減ることがとても嫌(30代、パート/アルバイト)」、「厚生年金をもらうころに良かったと思えるのか疑問だ(30代、パート/アルバイト)」など、負担が増えることへの不満や将来への不安を訴える人も多い。

将来的にはさらに適用拡大の見込み

最後に、社会保険に加入できる短時間労働者の要件を確認すると、以下のとおりである。

1、所定労働時間が週20時間以上
2、1カ月の所定内賃金が8万8000円(年収106万円)以上
3、雇用期間の見込みが1年以上
4、学生ではない
5、従業員数501人以上の会社に勤務、もしくは500人以下の会社に勤務し社会保険加入について労使で合意済

平成30年分からは、配偶者控除の上限金額が年103万円から年150万円に引き上げられることが決まっている。これまで「103万円の壁」を意識しながら働いていた主婦たちにとっては朗報と言えるが、そうなると一層、社会保険の「106万円の壁」が立ちはだかることになる。

厚い保障が受けられるなどのメリットがある反面、不公平さや将来への不安の声も上がっている社会保険の適用拡大。将来的にはさらに加入対象の拡大が行われる方針となっており、主婦たちの働き方にますます影響を与えそうだ。(渡邊祐子、フリーライター)

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