昨日の海外時間には、米長期金利が反発したことからドル円は上昇しました。一方ユーロは、独政権の連立協議を巡る報道で一旦反発しましたが、その後は全般的なドル高などで再び下落しました。

昨日の海外市場

(写真=PIXTA)

欧州時間序盤、独ビルト紙(大衆紙)が「メルケル首相が少数与党による政権を樹立すればFDPは支える」と報じたことからユーロが急速に買い戻され、ユーロドルは1.1800台まで、ユーロ円は132.40円台まで上昇しました。この間ドル円はユーロ円の買いにつられ112.20円台まで小幅に上昇しています。

その後NY時間にかけて、米長期金利が上昇すると全般的にドル買いが優勢となって、ドル円は112.40円台まで上昇し、ユーロドルは1.1740台まで下落しました。

NY時間午後にはいっても米長期金利の上昇とドル買いは続き、ドル円は112.70円台まで上昇し、ユーロドルは1.1720台まで下落しました。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%で変わらず、2018年6月の2回目の利上げの織り込みは約75%でほぼ変わらずでした。

今日の予定

今日の海外時間には米・10月中古住宅販売件数の発表があるほか、クーレ・ECB理事の講演が予定されています。

今後の見通し

昨日の朝に独連立政権協議が不調に終わった、と報じられてユーロが売られましたが欧州時間にはビルト紙の報道でユーロは買い戻されました。一方メルケル首相は「少数与党での政権樹立はしない。再選挙の方が良い道だと確信している」と述べたことでユーロ売りを招いたほか「再度の大連立樹立にはオープン」とも述べています。またシュタインマイヤー独大統領は「政党は再度有権者に決定を委ねるべきではない」「選挙において政治的責任を担いたいとして訴えていた政党が、それを手中にしているのに逃げ出すようなことは許されない」と述べていることから、再選挙ではなく再びCDUとSPDの大連立の可能性が出てきています。もしSPDが連立に前向きな姿勢を示せばユーロ買いが強まると考えられます。

一方、イエレンFRB議長が来年2月の議長退任後に理事の任期(2024年1月末まで)を残して理事職も退任すると報じられています。FRB理事の定員は7人ですが、これで4人が空席となる異例の事態です。本来トランプ大統領にとっては、自分の望む委員を過半数送り込むチャンスのはずですが、まだ指名を行っておらず、承認まで時間がかかることを考えると、今後のFOMCの決定にも影響がでるかもしれません。現状のままなら、来年のFOMCでは投票権を持つ地区連銀総裁の影響が大きくなって、パウエル議長の指導力に問題が出てくる可能性があるとともに、タカ派的な委員が増えて利上げペースが加速する可能性もあります。昨日の米長期金利の上昇はそのことを織り込もうとしている可能性もあるため今後の動きに注目です。

安値更新なら打診買い

明後日に日米の休日を控えて、報道に一喜一憂する相場となっています。ドル円相場は10月安値を考えるとやや中途半端な下げから反発していることから、もう一度安値を試す可能性が残っています。今晩再び111円台を試して戻すようなら一旦は下値を確信したとみることができそうですので、昨日の安値割れの111.70円付近で打診買いをしたいと思います。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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