昨日の海外時間には、米長期金利が低下してドル売りが優勢となりました。公表された米FOMC議事録では12月の利上げが示唆されましたが、一方でインフレ率低下の長期化が懸念されていたことから米長期金利が一段と低下しドルも売られました。

(写真=PIXTA)

昨日の海外市場

欧州時間序盤、特段の材料はありませんでしたが、ドル売りが優勢となってドル円は111.90円台まで下落し、ユーロドルは1.1770台まで上昇しました。しかし米長期金利が上昇したことからこのドル売りは続かず、NY時間序盤にかけてドル円は112.10円台まで反発し、ユーロドルは1.1730台まで下落しました。

その後発表された米・10月耐久財受注が予想に反して前月比マイナスとなったことから米長期金利が低下を始め、NYダウも下落する中ドル売りが優勢になりました。続いて発表された米・11月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は予想よりもやや良い結果でしたが、米長期金利の低下が続いたことからドル売りも続き、ドル円は111.50円付近まで下落し、ユーロドルは1.1790台まで上昇しました。

NY時間午後にFOMC議事録が公表されましたが、多くの参加者が「中期的な見通しがおおむね変わらなければ、FF金利誘導目標レンジのもう一段の引き上げが近い将来に正当化される可能性が高い」とされ12月の利上げが示唆された一方、多くの参加者が低インフレについて「一過性の要因だけでなく、より持続性のある状況の影響を反映している可能性がある」と懸念を示しました。議事録を受けて米長期金利が一段と低下するとドルも売られ、ドル円は111.10円台まで下落し、ユーロドルは1.1820台まで上昇しました。

FF金利先物市場の年内のFOMC追加利上げ織り込み度合いは100%で変わらず、2018年6月の2回目の利上げの織り込みは約74%でほぼ変わらずでした。

今日の予定

今日の海外時間には独・第3四半期GDP、独/ユーロ圏・11月製造業/サービス業PMI、英・第3四半期GDPの発表があるほか、クーレ・ECB理事の講演が予定されています。またアメリカは感謝祭の休日のため、株式債券などは休場です。

今後の見通し

ドル円は、日米の休日前で薄商いの中10月の安値を一気に割り込んで9月18日以来の水準まで下落しました。111円付近は7月以降何回か止まった水準であると同時に週足一目均衡表の基準線が位置していますので、この水準を割り込むかというのは重要なポイントです。同時に米長期金利も11月後半以降の最低水準まで低下していて、やはりここから一段と低下するかは今後しばらくの相場の状況を左右する可能性があります。ただ、今日は米市場が休場のため、米長期金利の取引がないことから、為替市場も大きな動きにはなりにくいと考えられます。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。

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