経団連は11月6日、「2017年末賞与・一時金大手企業業種別妥結状況(加重平均)」の第1回集計結果を発表した。調査の対象となったのは、原則として東証第一部上場の従業員500人以上、主要21業種に属する大手251社だ。このうち妥結に至っているのは13業種の111社だが、37社は平均額が明らかでないため集計からは外されている。
総平均は91万6396円
製造業72社の平均は92万1907円で、同じ対象企業の2016年実績と比較すると1.22%のマイナスだった。また非製造業2社の平均は66万7858円で、2016年比0.73%減となっている。これら74社の総平均は91万6396円で、2016年の92万7420円から1.19%減少したことになる。
業種別に妥結額を見ると、前年を上回ったのは「食品」と「非鉄・金属」、「硫安を含む化学」の3業種だった。「食品」3社の加重平均妥結額は91万6256円で、2016年の87万7678円を4.40%上回り、全業種の中で伸び率トップとなった。
また、「非鉄・金属」8社は76万3468円で、2016年の73万6072円を3.72%上回る金額となった。そして「硫安を含む化学」では、化学10社が91万8789円で2016年の89万8638円の2.24%増、硫安3社が78万8677円で2016年の76万4489円比3.16%増、両者を合わせた13社の加重平均妥結額は88万8951円で、2016年の86万8846円から2.31%の増加となっている。
妥結額トップの業種は「自動車」
妥結額が最も高かった業種は「自動車」で、19社の加重平均妥結額は97万1070円だったのだが、2016年の99万266円と比べると1.94%の減少になっている。そして2位と3位には、前項に掲げた「食品」と、「硫安を含む化学」がこれに続くことになる。
妥結額の4位は「電機」だった。7社の加重平均妥結額は85万2098円で、2016年の85万5014円からは0.34%の減少となっている。これに次ぐ5位は「造船」で、10社の加重平均妥結額は81万4747円で、2016年の82万7994円から1.60%の減少だった。以下、2016年比1.09%減の76万6601円だった「セメント」、前出の「非鉄・金属」、1.52%減の68万7197円だった「紙・パルプ」などとなっている。
中小企業は人手不足感から増額へ
一方、みずほ総合研究所が発表した2017年冬季ボーナス予測によると、2017年冬の民間企業の1人当たりボーナス支給額は37万4,350円と、3年ぶりの増加となる前年比1.1%増と予想されている。こうした支給総額の伸びは、2014年の冬以来のこととなる。
雇用契約に基づいて決まって支給される定期給与のうち、残業などの時間外労働に対する給与である「所定外給与」を除いた金額を「所定内給与」と呼んでいるが、人手不足感が根強い中小企業では、この所定内給与が小幅ながらも増加する見通しとなっている。
また同研究所は、「支給月数と連動する傾向にある売上高経常利益率は、海外経済の回復や内需の堅調さを受けて改善している」との分析を背景に、支給月数については、前年比0.01カ月増の1.1カ月と予測している。
支給対象者に関しても、人材を確保するために正社員化や非正社員の待遇改善といった施策がとられており、今後も増加が続く見通しだ。2017年に入ってからも正社員化の動きが顕著であることから、結果として民間企業の支給総額の予想値は、前年比3.6%増の16兆490億円という大幅に伸長した数値になっている。
この予測では、国と地方を包括した公務員のボーナス支給額は、前年比3.5%増の78万9334円になるという。国家公務員の支給額が増加したのは、2017年度の人事院勧告で月例給が前年比0.15%の増額となったことに加え、ボーナスの年間支給月数が前年の4.30月から4.40月に引き上げられたことが起因している。
さらに地方公務員についても、「国家公務員に準じて給与を決定する自治体が多いため、月例給・ボーナス支給月数ともに増加する見通し」なのだという。
民間企業と公務員を合わせた冬季ボーナスの支給総額は、前年比3.6%増の18兆4270億円で、前年が2.1%の伸びであったのに比較すると大幅な伸びが見込まれている。みずほ総合研究所の分析は「冬としては2014年以来の伸びとなり、当面の個人消費を下支えする」というものだという。(ZUU online 編集部)
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