ふるさと納税は応援したい都道府県や市区町村への「寄附」ができ、その寄附金額の一部が所得税と住民税から控除される制度だ。総務省の発表によれば、2016年度の実績は約2844億円(前年比約1.7倍)、約1271万件(前年比約1.8倍)であった。 利用者は年々、増えている。ふるさと納税に関連する書籍を11冊選んでみた。

ふるさと納税
(画像=Webサイトより)

ふるさと納税の基本を知りたい方から制度のバックボーンを学びたい方まで、幅広い層の知識を満足できる参考本になれば幸いである(人物名は敬称略、出版社はAmazonの表記に準拠、価格は紙版の税込)。

3つの税制優遇措置がわかる入門書

『やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方』
(頼藤太希・高山一恵、きんざい、500円)

やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方
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この本ではふるさと納税だけでなく、個人型確定拠出年金(iDeCo)とNISを合わせた3つの税制優遇について書かれている。具体的な事例が多く、お金の話が苦手な人にもわかりやすい。筆者は、これからの資産運用法を「税制優遇措置の徹底活用」だと言い切っている。資産運用を考えているが、先行きのわからない現状に二の足をふんでいた人にもオススメできるだろう。税制優遇を知る入門書として、性別や年代に関係なく幅広い層に受け入れられる内容だ。

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ふるさと納税、初の実践書

『ふるさと納税と地域経営 〜制度の現状と地方自治体の活用事例〜(地方創生シリーズ)』
(高松俊和・事業構想大学院大学ふるさと納税・地方創生研究会 編集、宣伝会議、1944円)

ふるさと納税と地域経営
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本書は、ふるさと納税によって地域の活性化をどのようにしていくべきか?という視点で構成されている。ふるさと納税を実務する側からの視点で構成されている。第1章ではふるさと納税に関わるデータを、第2部では具体的な事例(阿波市、宮古市、鈴鹿市、安平町、沖縄市)を提示している。ふるさと納税を多角的な視野で考えさせてくれる良書だ。地域活性化を専門とする有識者、具体例として挙げられている市の首長、ふるさと納税の担当者が語る言葉は説得力がある。「初の実践書」として価値ある1冊だ。

地方創生シリーズの姉妹本

『ふるさと納税の理論と実践 (地方創生シリーズ)』
(保田隆明・保井俊之 、宣伝会議、1944円)

ふるさと納税の理論と実践
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「ふるさと納税と地域経営 〜制度の現状と地方自治体の活用事例〜」の姉妹本である。ふるさと納税という制度には賛否両論あるのが現状だ。この本では「東京の自治体、税収は減るばかり?」「採算度外視の返礼品作戦は続かない」「ふるさと納税、理論的には正しいか?」などの問題に対して2人の学者が解説をしている。

統計やデータが多く扱われているが、具体的で身近な話題の論点はとてもわかりやすい。ふるさと納税を活用する地方自治体の関係者でなくとも「これからのふるさと納税をどうすればよいか」を考えさせられる内容だ。「ふるさと納税と地域経営 〜制度の現状と地方自治体の活用事例〜」と合わせて読むと、さらに理解が深まるだろう。

あなたは税金を払いすぎていませんか?

『早わかり! 知れば知るほど得する税金の本 (知的生きかた文庫)』
(出口秀樹、三笠書房、832円)

早わかり! 知れば知るほど得する税金の本
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ふるさと納税を利用する方にとって興味があるのは「節税」である。誰もが「もしかすると税金を払いすぎているかも?」という疑問を持ったことがあるはずだ。この本で扱われているのはふるさと納税を含めて、医療費控除や配偶者控除、相続税などの税金である。筆者は「あなたは税金を払いすぎていませんか?」と読者に問いかけ、今は「自助節税」の時代だと提言している。

サラリーマンだけでなく、これから社会に出ていく学生、主婦や自営業の方まで、年齢に関係なく多くの層に合わせた話題が続く。増税時代を考えるための知恵が詰まっている。確定申告に向けた節税対策にもオススメの本だ。

ふるさと納税の達人が監修した最強ガイド

『100%得する [ふるさと納税] 最強ガイド (扶桑社ムック)』
(金森重樹、扶桑社、810円)

100%得する[ふるさと納税]最強ガイド
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ふるさと納税の達人としてメディアでの露出が増えているビジネスプロデューサー、金森重樹が監修したガイドブックである。全国各地のふるさと納税による返礼品300選を通販カタログのように紹介している。これから利用してみようと考えている方に分かりやすい誌面だ。情報量が多く、お目当ての特産品もすぐに見つかるだろう。「年収別オススメの組み合わせ」といった章で、それぞれの家庭にあった例を挙げているあたりは他のガイドブックにない親切さが伺える。何よりも、名のある専門家が全面監修していることで初心者には安心感がある。

約14億円を集めた平戸市の市長が語る地方創生のアイデア

『平戸市はなぜ、ふるさと納税で日本一になれたのか? 』
(黒田成彦、KADOKAWA、690円)

平戸市はなぜ、ふるさと納税で日本一になれたのか?
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ふるさと納税が始まったのは2007年。現在では多くの市町村が創意工夫を重ね、全国からの寄附を集めている。平戸市は、2014年度にふるさと納税の寄付額で日本一となった。平戸市は、決して恵まれた産業があるとはいえない地方都市だ。本書は平戸市の市長が、どうやって約14億円もの寄附を集めたのかを綴ったドキュメントである。この本に書かれた数々のアイデアと、それを実行する組織のあり方は地方創生に限らず、あらゆるシチュエーションに応用できるはずだ。

「ふるさと納税」制度の発案者が語る理念と戦略

『「ふるさと」の発想—地方の力を活かす(岩波新書)』
(西川一誠、岩波書店、778円)

「ふるさと」の発想―地方の力を活かす
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筆者は福井県知事の西川一誠氏である。「ふるさと納税」制度の発案者として知られている。2007年、総務省の「ふるさと納税研究会」委員に都道府県知事を代表して選ばれた。本書は2009年に発刊された新書であるが、筆者の「新しいふるさと」に対する熱い思いが込められた良書だ。地方の大きな問題である過疎や高齢化、地域産業の衰退など、どのように立て直していくかを論じている。「ふるさと納税とは何か?」。その根本にある筆者の信念を知ることができるだろう。

FPが「おトクな制度」を実際にやってみた体験記

『おトクな制度をやってみた』
(藤原久敏 、彩図社、1296円)

おトクな制度をやってみた
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ファイナンシャルプランナーである筆者がうまいやり方をすれば確実に得する制度に挑戦した体験記である。本書で挙げている「おトクな制度」とはふるさと納税、金利キャンペーン、株主優待、確定拠出年金制度、NISAだ。よくありがちな成功体験記ではない。失敗談も混じえている点はその道のプロである筆者に対して親近感がわく。読んでいるだけで「おトクな制度」の概要や、ノウハウなどを自然に知ることができる。よくある入門書やノウハウ本にはない視点に読者も親近感がわくはずだ。

ふるさと納税 No.1サイト社長の仕事術

『1000億円のブームを生んだ 考えぬく力』
(須永珠代、日経BP社、1728円)

1000億円のブームを生んだ 考えぬく力
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筆者はふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を立ち上げた女性社長である。「ふるさとチョイス」は現在、全国の特産品を15万品以上を紹介し、ふるさと納税市場を年間寄付額1000億円以上の規模にまで成長する一因となった。本書で書かれている内容は、ふるさと納税そのものや、制度が成り立った背景などとは無関係かもしれない。ただ、地方創生と起業を組み合わせた「考えぬく力」の発想はビジネスマンにとって興味を惹くはずだ。

「税」に焦点をあてた日本経済の問題点

『税金格差』
(梶原一義、クロスメディア・パブリッシング、1382円)

税金格差
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本書では「税」の問題を「格差」や「不公平」というキーワードを元に指摘している。戦前から現在までの「税が歪められてきた歴史」を語る視点は新鮮だ。法人税や相続税だけでなく、所得税や消費税、ふるさと納税など、一般の庶民に身近な「税」を取り扱っている点は庶民にも身近に感じる提言が並んでいる。「なぜこの国は 正直者がバカを見る仕組みなのか?」というサブタイトルは少々過激に思えるかもしれないが、日本の「税」の問題を考える重要な1冊として挙げられるだろう。

本当に有効な地方創生を提言した28の方法

『地方創生大全』
(木下斉、東洋経済新報社、1620円)

地方創生大全
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本書では、ゆるキャラからプレミアム商品券、道の駅、移住促進など、多岐にわたる地方の問題を挙げている。ふるさと納税もそのひとつだ。問題の構造を指摘しているだけではない。それぞれの問題に対して再生の方法を提示している。筆者はこれまでも「稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則」「まちで闘う方法論:自己成長なくして、地域再生なし」などの著作を発表してきた。実際に地域再生で「まちづくり」してきた視点は厳しい現実を浮き彫りにしている。

ふるさと納税は「地方創生」に貢献できる制度

ふるさと納税は納税という言葉がついているが、市町村を応援する「寄附」である。利用者の立場としては「節税」としての控除や納税した土地からの返礼品にどうしても目がいく。自治体によっては寄附金の使い道を、ふるさと納税した方が「どのようなこと」に使用するか選択できる場合もある。ふるさと納税は「地方創生」に貢献できる制度だ。11冊には、ふるさと納税だけでなく、地方の問題に言及した本や注目すべき人物の書籍を挙げてみた。賢明な納税者として、地方を応援する制度の基本を忘れないようにしたいところである。(吉川敦、フリーライター)

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