※2018年3月配信記事を再編集したものです。
政策金利引き上げの影響がクレジットカード利用者に
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は3月21日、政策(FF)金利を0.25ポイント引き上げて、年1.50%~1.75%とすることを決定した。
これによって、直接の影響を受けるのが、クレジットカードのリボ払いを使ってお金を借りている、多くの米消費者だ。政策金利が上がると、クレカの年率利息も連動して上昇し、毎月の返済額が徐々に増えてゆく。「0.25ポイントも積もれば山となる」のだ。
こうした中長期的な出費増に対し、米消費者はどのような生活の知恵を使って対応しているのだろうか。また、米国の利上げの傾向や消費者の防衛策から、日本のクレジットカード利用者が学べることは何か、考えてみたい。
じわじわ増えるクレカ返済額
クレジットカードの便利なところは、今ほしいモノやサービスへの支払いを、リボ機能を使って先に延ばせることだ。返済額が能力を上回らないよう計画的に利用すれば、豊かな生活が楽しめる。
特に2008年の金融危機後の超低金利環境の米国においては、信用度の高いクレジットカード利用者は利息の年率が一桁台という好条件で、買い物を楽しむことができた。
だが、FRBは2015年12月から0.25ポイントの利上げをすでに6回実施してきた。全体で1.5ポイントであり、毎月のクレジットカード負債の返済額の利息分はバカにならない額となっている。
あなたが年率(APR)15%のクレカを使って買い物を続け、リボ払いの残高が15000ドル(約157万円)あると仮定しよう。あなたは毎月200ドル(約21000円)を返済に充てている。利息が政策金利と連動して15.25%になれば、0.25ポイントの上昇だけで完済までに支払う利子が189ドル(約19800円)分増える。
したがって、これまでの6回の利上げで完済に至る利息は10万円分以上高くなっているのだ。しかも、利上げは年内2回〜3回が予想されており、2019年にはさらにペースが加速するとされる。これはしんどい。
昨年12月末の段階で、米国人のクレカ負債は1兆ドル(約104兆7120億円)以上にも達している。年率はカードの種類や信用度により異なるが、だいたい15%から25%の間である。数万ドルの負債を年率22%や25%のカードで返済する保有者たちにとって、FRBの利上げはたとえ1回0.25ポイントであっても結構な負担であり、加えて利上げが加速することによる苦しさがお分かりいただけると思う。