フォーブスが「影響力がある人々」を5月上旬に発表し、習近平中国共産党中央委員会総書記がウラジーミル・プーチン露大統領から首位を奪い初の1位となった。ドナルド・トランプ米大統領とアンゲラ・メルケル独首相、テリーザ・メイ首相はそれぞれ1つランクを下げ、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子兼第一副首相兼国防大臣、エマニュエル・マクロン仏大統領がトップ20入り。

日本からは29位にトヨタ自動車の豊田章男社長、38位に安倍晋三首相、48位に黒田東彦日銀総裁、55位に孫正義氏がランクインした。米朝首脳会談に関する話題で国際社会から注目される金正恩党委員長は36位に選ばれた 。

このランキングは、地球の人口約75億人の中から、世界を動かす力をもった人物75人を選んだものだ。2018年度の結果は、少数のエリートが権力を強化している世界情勢が反映している。

世界で最も影響力がある20人

有名人,習近平,ランキング
(画像=Kaliva/Shutterstock.com)

20位(2016年順位17位)  カルロス・スリム・ヘル(メキシコ)
19位(19位) ジェームズ・ダイモン(米国)
18位(11位) マリオ・ドラギ(イタリア)
17位(18位) アリー・ハーメネイー(イラン)
16位(15位) ウォーレン・バフェット(米国)
15位(12位) 李克強(中国)
14位(13位) テリーザ・メイ(英国)
13位(10位) マーク・ザッカーバーグ(米国)
12位(初登場) エマニュエル・マクロン(フランス)
11位(初登場) ジェローム・パウエル(米国)

10位(8位) ラリー・ペイジ(米国)
9位(9位) ナレンドラ・モディ(インド)
8位(初登場) ムハンマド・ビン・サルマーン(サウジアラビア)
7位(7位) ビル・ゲイツ(米国)
6位(5位) フランシスコ(アルゼンチン)
5位(14位) ジェフ・ベゾス(米国)
4位(3位) アンゲラ・メルケル(ドイツ)
3位(2位) ドナルド・トランプ(米国)
2位(1位) ウラジーミル・プーチン(ロシア)
1位(4位) 習近平(中国)

トップ3は中・露・米の最高指導者

首位の習近平国家主席を筆頭に、トップ3は中国・ロシア・米国の最高指導者が独占。3月に実施された憲法改正は、習近平国家主席の影響力を拡大するとともに、2期10年に制限 されていた国家主席および国家副主席の任期を撤廃した。

4年連続で首位を維持していたプーチン大統領は2位に後退。2000年にロシアの最高指導者に就任した同氏は、2018年、通算4期目の政権を発足させた。ソビエト連邦崩壊以来、同国指導者としては過去最高のほぼ77%の得票率を得た。

就任から1年が経過したトランプ大統領も1ランクダウン。共和党が議会の多数を占めているにもかかわらず、自身の政策推進に苦戦しているほか、複数の捜査機関の捜査対象となるなど自身を取りまくスキャンダルが絶えない。しかし世界一の経済・軍事大国の指導者である事実は変わらない。

「世界で最も影響力のある女性」の前に立ち込める暗雲?

欧州の事実上のリーダーであるメルケル首相はトップ3入りを逃したが、「世界で最も影響力のある女性」の座は維持。習近平国家主席がトップに踊り出たため、プーチン大統領やトランプ大統領とともに必然的に順位を下げたとも考えられるが、かつての勢いを失速させる要因が続々と生まれている。

2017年の総選挙では極右AfD(ドイツのための選択肢)が勢力を拡大し、初の議席を獲得したほか、EU(欧州連合)の歴史を変えるBrexitという嵐が待ちうけている。メルケル首相にとっては平たんな道のりではないだろう。

世界第2の影響力のある女性、テリーザ・メイ首相もランクダウン。離脱交渉中のEUだけではなく自国の深い分断も埋めきれず、2017年6月の選挙では自党が下院過半数を失った。英国はBrexitに加え、深刻な住宅費高騰やNHS(国民医療制度)存続の危機など、解決すべき問題が山積みだ。メイ首相の強いリーダーとしての素質が問われている。

若い最高指導者2名が初登場、日本の指導者の評価は--?

初のトップ20入りを果たしたのは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子兼第一副首相兼国防大臣とフランスのマクロン大統領だ。サルマーン皇太子兼第一副首相兼国防大臣は31歳、マクロン大統領は40歳と非常に若い。

サウジアラビアの最高指導者は父親であるサルマン国王だが、2017年に副皇太子から皇太子に昇格し、第1の王位継承者となったサルマーン皇太子兼第一副首相兼国防大臣は、着実に実権を手中におさめつつある。

マクロン大統領は神経科医兼大学教授の父の元に生まれ、フランスの名門パリ政治学院と国立行政学院に進学。投資銀行に勤めた後、オランド政権下で大統領府副事務総長に抜擢されるなど、絵に描いたようなエリート街道を歩んできた人物だ。2018年1月の米国訪問ではトランプ政権下で初めて国賓として迎えられた国外指導者となった(テレグラフ2018年1月23日付記事)。

日本の政界からは安倍首相が1つ順位を下げ て38位に。トップ20以下にはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が26位、ジャン・クロード・ユンケル欧州委員会委員長が33位、金正恩党委員長が36位に選ばれている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

【関連記事】
世界の生計費ランキング!日本人が海外で暮らす際の注意点は?
中国の五大富豪の職業は何?4位は女性、1位は極貧からの不動産王
中国の富豪ランキング、10の視点から読み解く「中国の大金持ち」像
中国上場企業の給与トップ100調査、大学院卒はもはや出世に必須?
中国で学歴詐称した政治家やタレントが袋叩きにされない理由