日本人的な「気づかい」を外国人にも求めてはいけない

――最近ではインバウンドの増加もあり、日本国内でも外国人と関わる機会が増えています。海外の人に対する「伝える力」を磨くコツはありますか。

「日本人同士なら通じる『阿吽の呼吸』が、外国人には通じない。まずは、それを認識すべきだと思います。

レジで支払いをする際、後ろに人が並んでいたら、日本人なら『本当はカードで支払いたいけれど、後ろの人を待たせたら悪いからやめておこう』などと自然と気配りしますよね。

でも、海外の人にそんな気配りは期待できません。日本人はそうした気配りを海外の人にも求めてしまうから、『観光客のマナーがなっていない』などとイライラしがちなのです」

今後、重要になるのは「思いを伝える力」?

――最後に「伝える力」をさらに磨いていくためのアドバイスをお願いします。

「一つ、重要だと思うのは『思いを伝える』ということ。営業マンが商品を売り込む際なら、単に『買ってください』と頼み込むのではなく、『この商品を買うことで、こんなに素晴らしいことがある』というように、自身の思いを伝えることが大事になると思います」

――では、続編の『伝える力3』のテーマはぜひ『思いを伝える力』でお願いします。

「なるほど。では、それは皆さんの『思いを伝える力』次第ということで(笑)」

(本インタビュー完全版は3月28日発売『THE21特別増刊号「伝える力」の磨き方』にてお読みいただけます)

池上彰(いけがみあきら)
ジャーナリスト
1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、73年NHK入局。報道記者として、松江放送局、呉通信部を経て東京の報道局社会部へ。警視庁、気象庁、文部省、宮内庁などを担当。94年より11年間NHK『週刊こどもニュース』でお父さん役を務める。05年3月にNHKを退社し、現在はフリージャーナリストとして多方面で活躍。著書に『そうだったのか!現代史』(集英社)、『相手に「伝わる」話し方』(講談社現代新書)、『ニッポン、ほんとに格差社会?』(小学館)など多数。(『THE21オンライン』2019年04月03日 公開)

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