2019年5月16日(木)Market Talkの内容

●株高を支えてきた3つの要因に変化

株高を支えてきた3つの要因に変化が起きている。

①米中の通商協議が順調に進んでいるという期待が一転して失望や不安に転じた

②世界のファンダメンタルズが改善 - 一時世界景気の減速懸念が伝えられていたがそれを打ち消すような強い経済指標が出てきて世界景気についての安心感があったが、それが足元、日米中の経済指標で悪い数字が出てきて、そんなに簡単には良くならないという感じになった。そして米中貿易戦争でさらに下押しされるのではという不安と相まって、これまで過度な景気後退懸念が和らいでいたのがおかしくなってしまった。

③米国の金融政策に対する安心感 - Fedが利上げを停止したという安心感が株価を支えてきたが、現在マーケットは利下げ期待みたいなものを織り込み始めてしまっている。今までFedは市場の期待どおり利上げを停止して不確実なものが何もない状況で皆が安心できたが、今後マーケットが利下げ期待に傾いていくなかで、Fedの政策の不透明感とマーケットの期待とのギャップが出始めている。

以上この3つの要因の変化で不安定にならざるをえない。この状況は6月末のG20まで続くのではないか。G20のときに米中首脳会談がおそらく開かれるだろう。貿易に関してはなんとか合意が結ばれるのではないか。合意となればここからやり直しとなるだろう。

●銀行株の見通し

銀行の決算が出揃ったが、内容はよろしくないわけで当分厳しいだろう。フィンテック等色々なことをやっているが金利が上がらない限り無理だろう。そして、その金利は当面上がるフシがないので当面は厳しいと思う。 わずかな希望としては、年後半の景気回復シナリオがこれまでのところ想定どおりなので、今後シナリオどおりに年前半で底を打って、年後半から持ち直し、それに伴って金利が上がり始めれば、これだけ安いところにいるのだからメガバンクにも買いが入るのではないか。

●日経平均の下値目途は?

日経平均の下値予想は20,000円だが、20,000円割れは一瞬あるかもしれない。しかしそれは瞬間風速で長く留まるものではない。根拠は日経平均の1株当たり純資産が19,600円まで来ているから。20,000円を割る場面というとPBRが限りなく1倍に近いという世界で、それ以下というのは考えにくい。今PBR1倍割れの上場企業は半数ぐらいあるが、日経225のような日本の優良企業225社のパッケージが1倍を割るというのはそう考えられない。なのでそこにあたる20,000円あたりがボトムと考えてよいのではないか。

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広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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