(本記事は、西田 健の著書『コイツらのゼニ儲け2 無慈悲で、ヤクザで、めっちゃ怖い』秀和システムの中から一部を抜粋・編集しています)

日本マクドナルド【サラ・カサノバCEO】

日本マクドナルドの創業者である藤田田は、そのへんを理解していましたので「豚の餌を人間に売りつける」のではなく、「人間の食べ物を人間に買ってもらう」という、ごくまっとうなビジネスを選んできました。

藤田時代の日本のマックは「カタログ写真と同じ商品が出てくる世界で唯一のマック」と世界的に有名でした。ともかく「マックとは思えないほど」店員のサービスがよく、店が清潔で、美味しいことで知られていました。社員の給料も良かったですしね。

そもそも日本人は新しいもの好き、かつ選ぶのが大好き。マックのない街に出店すれば、住人たちは両手を挙げて歓迎してくれます。ほどほどに成功するだけなら、日本という国、けっこう、チョロい市場なんですよ。

その反面、日本は似たようなライバルチェーンがひしめいてますんで、質が少しでも落ちると客足も一気に落ちていきます。藤田時代の日本マクドナルドが、いくら本部から上納金を増やせとせっつかれても無視してきたのは、サービスと質を向上させていかないと自滅するからですね。

その意味で藤田時代のマックは、儲けの大半が客に還元されており、アメリカ企業とは思えないほど良心的なチェーン店だったんです。

それが成功してきた理由なんですから、アメリカ本部も日本のやり方のまま放っておけばよかったんですよ。上納金は少なくても、日本におけるブランドイメージは良く、アメリカに次ぐ3300店という成功を収めていたんですから。それをビッグマックでは満足できない「メガマックを出せ」という強欲さで身を滅ぼしたわけで、太りすぎて早死にするようなもんです。

そのギガマックを開発したカサノバ女史、今後は「お店も、ご一緒にいかがですか」と、店ごと投げ売りすることになりそうです。

カサノバ店長の「スマイルはゼロ」。ま、笑えないでしょうなあ。 (2015年5月号)

コイツらのゼニ儲け2 無慈悲で、ヤクザで、めっちゃ怖い
西田 健(にしだ・けん)
1968年広島県生まれ。下関市立大学卒業後、男性週刊誌の記者や『噂の真相』などを経てフリーライターに。書籍、雑誌を中心に活動する。
現在、『紙の爆弾』(鹿砦社)で「コイツらのゼニ儲け」を連載中。

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