(本記事は、横山 光昭の著書『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)
毎月の赤字をボーナスで埋めていませんか?
キャッシュレス化により、毎月自分がいくら使っているのかわからなくなった、という声をよく聞きます。請求の明細を見て、「こんなに使っていたのか」と、驚く人も多いようです。
それなのに、危機感が薄いのはなぜでしょうか?
原因の一つは、「ボーナス」にあると思います。
ボーナスは毎月の生活費にしなくてもよい、まとまった収入です。
2019年にリサーチ会社マクロミルが行った民間企業に勤める正社員へのアンケートでは、ボーナスが支給される予定と答えた人が全体の84%を占めました。ではその使いみちはどうなっているでしょうか。
同様のアンケート調査では、ボーナスの使いみちの第1位は、「貯蓄」です。しかし、その一方で「ボーナスはいつの間にかなくなっている」という人も少なくありません。
実際、赤字家計に悩み、私のところに家計相談にやってくる人の多くが、いつの間にかボーナスがなくなる派です。
その原因は2つあります。1つは、ボーナスの使いみちが決まりすぎていること。
例えば、住宅ローンのボーナス加算額の支払いで10万円。
自動車ローンのボーナス払いで5万円。
クレジットカードのボーナス払いが8万円。
こんな調子で過去に購入した物の支払いのため、現在、そして未来のボーナスが消えていくわけです。
もう1つの原因は、日々の支出がルーズになっていることです。
例えば、収入が平均よりも多い人で貯金ができない人には、少しだけいいものを購入する傾向があります。
食材は必ず国産、シャンプーはノンシリコン、ファストファッションはNGなど、普通よりちょっと価格が高めのものを購入することが習慣化しているのです。そして、払えてしまうからムダ遣いをしている意識は希薄です。
表面上、毎月の家計は赤字にならず収まっています。
しかし、実際はクレジットカードのボーナス払いを利用しているなど、ボーナスで赤字家計を補っている状態。だから、ボーナスが入った途端、右から左へと流出し、消えていってしまうのです。このように、ボーナスの減り具合から家計の健全度(良好度)がわかります。
とはいえ、ひとまず支払うことができたので、冒頭であげたように、危機感は薄いままこの悪癖をくり返しているのではないでしょうか。
計画的か、刹那的か...?ボーナスの使い方でわかる
一方、お金が貯まる人は、ボーナスの使いみちをよく考え、自分や家族のために有意義に使っています。
例えば、資格取得でのスキルアップといった自己投資、日々がんばっている自分や家族へのご褒美としての旅行や食事など、明日以降の充実した暮らしのために活かしているのです。
つまり、ボーナスの使い方には、その人の将来設計度(ライフプラン)が表れると言っていいと思います。
「10年後にマイホームを持ちたい」、「5年後に大学受験を控える子どもの教育費を貯めておきたい」、「1年後の結婚式までに100万円貯金したい」、「キャリアチェンジのため、海外留学を挟んでの転職を考えている」など、人生に明確な目標や目的があると、それはボーナスの使い方に表れます。
「将来の自分や家族のために貯蓄しなくては......」
「転職に備えて学びへの自己投資とその資金を貯めなくては......」
そんなふうに使い方に将来設計度(ライフプラン)が反映されるわけです。
逆にボーナスがすぐになくなってしまう人は、ライフプランが明確でない可能性があります。だから、いま欲しいと思ったものを次々に買い、支出が増えてしまっているのです。
もし、不景気でボーナスカットという事態になると、一気に家計が破綻してしまう恐れもあるでしょう。
日々のお金の使い方がルーズなままだと、じわじわ家計の体力が奪われ、ボーナスはカンフル剤のように使われ、何も残らないという残念な状態に......。
まずは日々の支出を「視える化」すること。その上で将来設計度(ライフプラン)のあるボーナスの使いみちを立てること。この2つを心がけることで、年間の貯金額は確実に増えていきます。
入ったとたんに消えてなくなるボーナスの使い方はやめよう
株式会社マイエフピー代表、家計再生コンサルタント。
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。
これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆講演も多数。
著書は60万部突破の『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は120冊、累計330万部となる。
個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。
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