(本記事は、横山 光昭の著書『キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)

1か月にいくら使っているか、把握していますか?

退職金
(画像=PIXTA)

あなたは、家計簿をつけていますか?

支出を「視える化」し、お金をやりくりするのに最も適した方法が、家計簿です。そう聞くと、「結局、家計簿か......。つけ始めたことはあるけど、何度、挫折したことか」とうんざりされてしまうかもしれません。

この「家計簿をつけるのは面倒......」という声には、私も全面的に賛成です。

食費、被服費、通信費など、複数の費目があり、1円単位まで書き込める欄があり、毎日の細かい支出を記録する一般的な家計簿を続けられる人は、ある種、特別な忍耐力を持った人かもしれません。

しかし、ここまでくり返してきたように、キャッシュレス化により、支出が気づかないうちに増えてしまっている人にとって、まずは支出を「視える化」し、必要な支出、不要な支出を洗い出す必要があります。

その最適な手段が家計簿です。「家計簿を制するものはお金を制す」といっても過言ではないくらいの効果を発揮してくれます。

例えば、家計相談をしていて「1か月にいくらくらい使っているか、把握していますか?」と聞くことがあります。

すると、多くの方が「赤字にはなっていないはず」と言いながら、月の収入の8割か、9割くらいの額を「これくらいかな」と答えてくれます。

最近、相談を受けたCさんは、月の収入が25万円で、「家賃と生活費もろもろ全部で、20万円くらいだと思います。でも、貯金はなかなか増えないですね」とのこと。

感覚的には収入の中に支出が収まっているという認識ながら、「言われてみると、お金が残っていないな」と首を傾げていました。

実際に、Cさんの1年間の貯金額の推移を見てみると、減ってこそいないものの、増えてもいません。

Cさんの家計で何が起きているかというと、ご本人の認識とは違い、実際は毎月の収入以上に支出があり、そこで出た赤字をボーナスで補っていたのです。

その結果、気づくとボーナスは過去の支払いの補填のために消えていき、貯金が増えないまま、月日が流れていたのです。

一般的な家計簿では対応できない。まずは、1項目だけつけてみる

家計簿
(画像=PIXTA)

Cさんのように隠れ赤字に悩む家計はめずらしくありません。そして、こうした家計を立て直すとき、一般的な家計簿はあまり役に立ちません。

なぜなら、管理する費目が多すぎて書き続けることが難しく、継続しないからです。

そこで、家計簿に苦手意識がある人は、次の3つのステップで家計の支出を「視える化」していきましょう。

ステップ1:変動費のうち、1項目だけ1週間記録する
ステップ2:1か月分のレシートを取っておき、ひと月の支出を把握する
ステップ3:支出を「現金」「電子マネー」「クレジットカード」の支払い別に記録

1つ目のステップは日々、財布から出ていく変動費のうち、1項目だけ1週間記録するというもの。私が100円ショップのミニノートにメモしているように、「これを記録しよう」と決めた1つの費目だけ、お金を使ったら金額を記入していきます。

どの費目にするかは、日頃、自分が浪費していると自覚のあるものがいいでしょう。

外食が多いなと感じている人は食費、スマホゲームの課金など趣味の買い物が増えている人は趣味娯楽費、飲み代が多いと思っているなら交際費。

そんなふうに1つの費目に絞り、1週間の支出を記録します。

ちなみに、とくに「この費目」が思い当たらない方は、つい浪費してしまいがちな「食費」で試してみましょう。

理想は、買い物をした後、外食をした後に、レシートを見てすぐにメモするやり方ですが、1日の終わりに思い出せる範囲で書き記す方法でもかまいません。

これを1週間続けると、「食費」をはじめ、あなたが「浪費しすぎかも」と自覚している費目の支出額がほぼ正確に「視える化」されます。

この1つ目のステップで感じて欲しいのは、記録すると問題が把握できるという実感です。お金を貯められない人は、「毎月の携帯代はいくらですか?」「水道代は?」「月初めに支出が増えるのはなぜ?」といった質問に即答することができません。

それは自分が、いつ、何に、どれくらいのお金を使っているか把握できていないからです。「家計はなんとなく回っているのでいいか」とそのまま放置していると、いつまでも問題が表面化しません。

そんな状況を打破するために、1つの費目について「視える化」しましょう。

まずは手を動かすこと。部屋の掃除も、1つの場所をきれいにすると他も気になり始めるように、家計の支出も1つがわかると他も知りたくなっていきます。

可能なら、次の週は他の費目で同じやり方をやってみてください。

1つ目のステップを踏むことで、家計を把握する力が育まれ始めます。

家計簿アプリを使えばいい?ただし、向いていない人がいる

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(画像=PIXTA)

ここまで読んで「家計簿アプリ」を使って家計簿をつければ、楽になるのでは?と思われたかもしれません。また、すでにアプリをダウンロードして使っているかもしれません。

スマートフォン向けの家計簿アプリは有料、無料のものが提供されており、口座の出し入れを自動で記録する機能や、レシートの写真を撮るだけでデータ入力が済んでしまう機能など、日々進化しています。

しかも、つねに持ち歩いているスマホならば、いつでもどこでも入力できるという利点もあります。

しかし、私は家計簿アプリをしっかりと活用できるのは、家計管理の上級者だと考えています。機能面はたしかに便利ですが、支出を把握する力を鍛えるとき、それも基礎から鍛える場合には、ベストな選択とはいえません。

というのも、家計簿アプリの多くは、月々の予算や詳細な項目の振り分けを前提として作られています。つまり、「完璧な家計の記録」を目指して設計されているのです。

初心者にとっては、記録はできたとしても、振り返ってチェックするのは難しい面があるようです。

その点、1つの費目だけ1週間記録するという支出メモは手軽で、振り返りも容易です。

シンプルだからこそ、「視える化」の効果も高い。家計簿への挫折経験がある人、はじめての家計簿へのチャレンジという人ほど、紙のメモからスタートを切ることをおすすめします。

「隠れ赤字」を改善するには、手書きの家計簿が一番です!

キャッシュレス貧乏にならないお金の整理術
横山 光昭(よこやま・みつあき)

株式会社マイエフピー代表、家計再生コンサルタント。
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。
これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆講演も多数。
著書は60万部突破の『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は120冊、累計330万部となる。
個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

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