知らないと恥をかく「暗黙の口元マナー」

暗黙の口元マナー,生澤右子
(画像=THE21オンライン)

グローバルビジネスでまず重要なのは、異文化の壁を超えて、相手の信頼を得ることである。しかしその前に「暗黙の口元マナー」を知らないと、恥ずかしい状況になるという。

グローバル・エグゼクティブ専門の「暗黙の口元マナー」伝道師として活動する生澤右子氏は、米国歯内療法学会会員で、ペンシルバニア大学で学んだ世界の歯科事情を知る現役歯科医師だ。同氏に、歯とビジネスの間にどんな関係があるのかを聞いた。

グローバルビジネスで恥をかかないための「暗黙の口元マナー」

国境を超えたビジネスでは、文化や習慣の違いを学んで、相手の信頼を得るのが重要である。そういった類の指南書には、国ごとに注意すべきことが挙げられている。

例えば、欧米人向けの指南書には、日本人は 「NO」と思っていても「YES」と答えることがあること、握手や会議での上司・部下の座り方についての注意点などが書かれている。ビジネスパーソンにとって、数字を知っていることや、会社の製品を売ることが全てではない。相手と良い関係性を作り、信頼をおいてもらうことが大前提なのだ。

このとき、意外な落とし穴になるのが「暗黙の口元マナー」である。これを知らないとビジネスのスタートラインに立つことができない。そこで、世界の歯科事情を知る歯科医の立場から、私はグローバルビジネスに不可欠な「暗黙の口元マナー」をビジネスパーソンに教えている。

外国人が指摘する“残念な”日本人の口への意識

電車の中で、あるいは職場で、他人の口のニオイにハッとした経験はないだろうか。

実は、興味深い調査がある。日本人の口臭について在日欧米人に聞いたところ、7割の人が「口臭にガッカリした経験がある」と答えたのだ(註1)。

さらには、「オリンピックまでに口臭を改善すべき」という厳しい意見が4割に上った。

そんな中、当の日本人の9割が「自分は(口臭の原因の一つである)歯周病ではない」と答えた。日本人の30代以上の3人に2人が歯周病であるという厚労省の統計(註2)があるので、どうやら日本人の大部分の方は、口の状況に自覚がないようである。