(本記事は、本間卓哉氏の著書『売上が上がるバックオフィス最適化マップ ーーテレワーク・コスト減・利益増・DXを一気に実現する経営戦略』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)

その採用、かけたコストに見合っていますか?―採用管理

採用
(画像=PIXTA)

ここからは、個々の項目について、よくある悩みや課題、それをITによってどのように解決できるのか―といった点を解説します。

まずは、アナログな採用活動に多い問題点について見ていきましょう。

問題点① 採用の人的リソース・人的コストが多くかかっている
問題点② 応募者への対応スピードや歩留まり率が上がらない
問題点③ 応募者情報の管理・共有が適切に行えていない

IT活用に着手していない企業の多くが、このような悩みを抱えています。①から順番に説明します。

採用は、単に求人を出して終わりではなく、応募者の情報・書類等の管理、スケジューリング、内定者の研修、求人媒体との打ち合わせ等々、さまざまなタスクが発生します。

さらに、大手企業なら人事部等が専門で行うタスクですが、中小企業は専門の採用担当者が不在のケースも多く、並行してやるべき本業への負担も大きなものがあります。

売り手市場の場合、採用にはスピーディーな対応が必要です。特に中小企業は、内定後であっても、こまめな連絡をできずにいると、心が離れて内定辞退をされてしまい、歩留まり率(内定者が入社する率)がなかなか上がらない悩みを抱えています。

そして、③のように応募者情報の管理・共有に問題があると、さまざまな問題が発生してしまいます。

たとえば、どの応募者が現在どの段階にあるのか、それぞれの応募者に対して、次にやるべきことは何なのか―といった情報がわからなくなってしまいます。これが、応募者への対応スピードを下げる理由でもあります。

②と③に共通する問題ですが、よくあるのは「管理はしているものの、その情報は担当者の頭の中」というパターンです。こうした状態だと、複数の担当者がいる場合や、引き継ぎが必要な場合の情報共有に手間がかかりますし、正確な情報共有にも不安があります。

また、個人情報のかたまりと言える「履歴書の管理」がおざなりになるケースも非常に多くみられます。

それでは、ITによって、これらの問題をどのように解決できるのかを見ていきましょう。

①「採用の人的リソース・人的コストが多くかかっている」の解決方法

採用管理にITを活用すると、大きな省力化が期待できます。一例を挙げるなら、採用管理システム「HRMOS(ハーモス)採用」は、実際に同サービスを導入した企業の実感値をベースに、日々の採用業務工数を75%削減できると試算しています。我々のような外部の専門家の目から見ても、大袈裟な数字とは感じません。

採用管理システムの大きな利点は、システム上にすべての情報を集約できることです。応募者や、人材紹介サービス・就職情報サイトなどの担当者とのやりとりもシステム上で完結できます。

近年は、リクナビやマイナビ、Indeed、自社サイト等々、採用チャンネルは多岐にわたります。それら各サービスに一つひとつアクセスして情報確認・連絡をする手間が減る上に、応募者との面接等の日程調整も一元化できるため、スケジューリングのミスも減ります。

②「応募者への対応スピードや歩留まり率が上がらない」の解決方法

IT活用による省力化で、業務全体のスピードが劇的に上がります。応募者とのやり取りがスピーディーになれば機会損失も抑えられます。

これは内定辞退に限った話ではありません。アルバイトを採用したい企業にとってもスピードは重要課題です。時給や日給で働く方は、待たされる分だけダイレクトに収入が減るので、社員以上に連絡の早さが採用率に直結します。

画面の見せ方はサービスによってさまざまですが、基本的にはどの採用管理システムも、応募者ごとに、「今どの段階にあるのか」「これまでのコミュニケーション履歴」「次にやるべきタスク」といった情報が画面上で簡単にわかります。

そのため、「○○さんへの連絡が2日空いているから、早く次のフェーズに進めないと」といった点に気づきやすく、スピードアップに加え、より丁寧なやり取りが可能となり、コミュニケーションの質が全面的に向上します。連絡の間が空くのも問題ですが、それ以前に連絡の必要があること自体を忘れるケースもあるので、この効果は大きいです。

③「応募者情報の管理・共有が適切に行えていない」の解決方法

採用管理システムを導入すると、社員同士で情報を共有できます。複数の担当者がいて、自分以外の同僚が進めるタスクがあっても、その進捗をシステム上で確認できるので、情報共有も簡単かつ正確になります。

加えて、この機会に強く意識していただきたいのが、個人情報の管理です。

問題点③の「応募者情報の管理」には2つの側面があります。

1つは、社内で応募者の情報に効率よくアクセスできるようにして、ムダな作業を減らすための管理です。これは、採用管理システムの導入で基本的には解決できます。

バックオフィス最適化マップ
(画像=バックオフィス最適化マップ)

そしてもう1つが、応募者の個人情報の管理です。

先述したように、滅多に採用をしない企業の場合、採用管理自体をする必要がなく、システム化も不要かもしれませんが、そのような企業でも、履歴書をただ保管しておくだけ、といった管理はおすすめできません。この時代に、個人情報に対する意識が低い企業は、それだけで問題があると言えます。先日、喫茶店で、履歴書の入ったファイルが、私に読める形で隣のテーブルに置かれていたことがありましたが、このような取り扱いは危険です。

採用管理システムを使えば、各チャンネルで入力された個人情報が、そのままシステム上に記録されます。システム化が不要な企業も、最低限履歴書の情報はスキャンしてPDFにする、エクセルに入力してパスワード付きのファイルで保存する―といった方法で、担当者以外は簡単にアクセスできない状態にすることをおすすめします。その上で、履歴書そのものは返却するか、シュレッダーにかけて処分しましょう。もしくは、そもそも履歴書をメール等でもらうというのもひとつの手段です。

さらに、もうひとつお伝えしたいのが、採用管理の最適化は、売上アップにつながる「攻めの施策」でもあるという点です。IT活用は、省力化や効率化を実現し、ムダなコストを削減します。ただ、採用管理の本質は、その先にあります。

人事担当者は、採用のための広報活動や、面接等の日程調整に忙殺され、ただ「人を採用するための業務」に追われがちです。人事部等の専門部署のない企業ならなおさらです。

しかし、本来の人事業務とは、社内の情報を把握して、広く人材を管理し、社員の成長やモチベーションの維持にコミットすることであるはずです。

採用業務はあくまでもその一環で、採用にしても、本来は単なる「人を採用するための業務」だけでなく、より自社に合った人材、魅力的な人材に出会うための施策を考えたり、採用後の教育を充実させる業務に時間を割くのが理想です。

逆に言えば、IT活用によってムダな作業を減らせば、そのような採用以外の人材管理に注力する余裕が生まれるかもしれないのです。

また、そんな人事業務を可能にする環境づくりが、採用そのものにもプラスになります。

あまりの売り手市場に、「採用できれば文句はない」と割り切る中小企業の経営者も少なくありませんが、そんな社会情勢であるからこそ、IT活用を推進して、ムダな作業の少ない企業であること、教育やモチベーション維持に対する意識も高い企業だとアピールできれば、優秀な若者にもリーチできるかもしれません。

このような観点からも、採用管理システムの利用の是非はともかく、第1章でたびたび触れたように、まずは現場を把握することが大切です。自社の採用プロセスを可視化・分析して、減らせるムダな作業は減らし、個人情報が履歴書の完全なアナログ管理だったら、採用管理システムは使わずとも、最低限のデータ化は行ってください。

サービス紹介

HRMOS 採用
株式会社ビズリーチが提供するクラウドサービスです。情報の一元化、分析可能なデータの見える化、情報の管理を安全に、共有を簡単にする―といった、本項で触れた採用活動の問題を過不足なく解消できるツールです。
HERP Hire
近年、現場のニーズとのミスマッチから起こる退職を防ぐために、採用活動に人事担当者以外のメンバーを積極的に参加させる企業が増えています。
この「HERP Hire(ハープ・ハイアー)」は、基本的な機能はしっかり押さえた上で、すべての採用業務を採用担当者が担うのではなく、現場の社員が採用に積極的に参加する「スクラム採用」をサポートする機能を多く備えたツールです。
エントリーポケット
マイナビバイトが提供する、アルバイトやパート向けの採用管理システムです。マイナビバイトだけでなく、その他の求人媒体や、自社採用サイトからの応募情報も一元管理できます。

採用管理システムの注目機能

さまざまな機能があり、使い勝手も人それぞれのITツール選びにおいて、現場を知らずに「これ」と1つおすすめするのは難しいです。基本的には、資料請求等も行っていろいろなツールを試していただきたいのですが、それだけでは芸がないので、選ぶ際の参考になる注目機能をピックアップします。とはいえ、その機能がない採用管理システムが、御社にとって最適なツールである可能性もあります(他の項目でも言えることです)。その点はご承知おきください。

採用管理システムで注目したいのは、SEO対策等も施された、自社サイトの採用ページ作成をサポートする機能です。

すべての採用管理システムに備わっているわけではありませんが、この機能を活用すれば、母集団形成の効果も期待できます。さらに、同様の機能を持つシステムの多くは、Indeedなどの媒体に自社の求人情報を出せる連携機能を持っています。イチからIndeed上で情報を登録する必要がなく、システム上で登録した情報を援用できます。

Indeedは無料で出稿できる点で話題になっていますが、そのために必要な条件があります。それを自前でクリアするよりも、採用管理システムを使うほうが効果的と考えて、サイト作成機能や、連携媒体への掲載を目的にIT導入をする企業も増えています。

バックオフィス最適化マップ
本間 卓哉
1981年秋田県生まれ。一般社団法人IT顧問化協会 代表理事、株式会社IT経営ワークス 代表取締役、株式会社DXソリューション 代表取締役。使命は「人×IT=笑顔に」。中小企業に向けて、その企業に適切なITツールの選定から導入・サポート、ウェブマーケティング支援までを担うITの総合専門機関として、「IT顧問サービス」を主軸に、数多くの企業で業務効率化と売上アップを実現。これらのノウハウを共有し、より多くの企業での活用促進を図るために、2015年にIT顧問化協会(eCIO)を発足。「経営にITを活かし、企業利益を上げる架け橋に」を理念に、専門家向けにeCIO認定講座を開始。これにより、IT活用の専門家ネットワークを形成し、IT活用・デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を望む全国の企業からの相談を受け、中立的な立場で的確な支援ができる体制を構築している。2020年には、経済産業省より「情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)」として認定を受ける。著書に『全社員生産性10倍計画』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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  1. ツール導入に立ちはだかる「部門の壁」、回避するポイント
  2. リソース、コスト、スピード…採用の問題点をITで解決する方法
  3. SlackやZoomなど「グループウェア」が重要視される理由
  4. 営業が抱える課題「管理や引き継ぎが大変」を解決する方法
  5. 経営者が気にするITの「投資対効果」、1人あたりいくら必要か
  6. 経営者が実践すべきIT化でのファシリテーションのポイント
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