本記事は、浅田尚希氏の著書『2代目歯科医こそ副業を始めなさい 副業で学ぶビジネスの仕組み!』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。
副業における「狩猟型・農耕型」
狩猟型
副業を考えるときにも、狩猟型か農耕型かというのは重要な視点です。物販の場合、古物やせどり、国内転売は狩猟型になりがちです。
お店に見に行って、安い商品があれば買ってきて売る。しかし、次に仕入れに行っても、同じ商品が売られているとは限りません。まさに一期一会です。たとえ同じ商品が売られていても、同じ値段ではないかも知れません。
皆さんも、ブックオフでせどりをしている人を見かけたことがあるかも知れません。棚を片っ端からチェックして、カゴに大量に本を放り込んでいる人たちです。あれは相場をチェックして、格安の商品をピックアップしているのです。あの人たちは狩人です。狩猟型の物販では、常に新しい獲物を狙わなければならないのです。
農耕型
一方で、同じ物販でも農耕型のものがあります。OEMや中国輸入、定期販売などです。
中国輸入というと、中国に商品を買い付けに行くイメージがあるかも知れません。しかし実際には、中国に行かなくても在宅でできてしまいます。つまり、ネットを介して中国のメーカーから商品を仕入れて、日本で販売するビジネスです。間に入ってわずらわしい手続きを代行してくれる会社もあります。この中国輸入なら、一度売れる仕組みをつくってしまえば、あとはそこに商品を流すだけです。
国内転売や古物販売は自分独自の商品ではありませんが、中国輸入で自分の独自商品をつくってストックしておけば、着実に収入を得ることができます。中国輸入なら、よほどのことがない限り、同じ商品の仕入れと販売の繰り返しです。
もちろん、不測のハプニングもあります。農業も同じで、虫が来たり、天候が悪かったりすることもあります。そうした劣化に対応する能力は必要ですが、基本的には年に1回、実がなるような仕組みをつくっておけばいいのです。コツコツ耕していれば、一定の売上が立ちます。
とはいえ、ジャガイモだけつくっていても、収入は大きくは伸びません。別の作物との二毛作にするか、新しく別の畑を耕していくか。あるいは、最初は普通のイチゴをつくっていても、もっと甘くておいしいイチゴをつくっていくか。ビジネスを拡大していくには、展開を考えながら、次のステップに進んでいかなければなりません。
農耕型の副業の頂上に位置するものはなんでしょうか。代表的なものがサプリメントや健康食品の通販です。私は「単品通販型」と呼んでいますが、わかりやすいのが「すっきりフルーツ青汁」で一世を風靡した青汁王子です。青汁というひとつの商品の通販によるリピート購入で成功しました。
万田酵素やドモホルンリンクルも単品のリピート通販の成功例です。最初は無料や安価のオファーを出して、その後、定期的に使ってもらうという手法。化粧品の場合、1回気に入れば、それがなくなったらまた同じものを買う人も多い。こうしてリピートが続くのです。
副業するなら、最終的には農耕型を目指したほうがいい。狩猟型より農耕型。この考え方を副業でしっかり培って、歯科に戻ってこられるかが重要です。
あなたが歯科医なら、歯科医向けのセミナーに足を運んだことがあるかも知れません。歯科医院コンサルタントも同じように、農耕型にすべきだというようなことを話しているかも知れません。しかし、話で聞くのと、実際に副業として体験するのとでは大違い。副業を経験すれば、農耕型のコツを実体験をとおしてつかむことができるのです。
それに、歯科医院コンサルタントはあくまで歯科にフォーカスした話しかしません。しかし、歯科業界では常識でも、他のビジネスでは非常識ということもあるでしょう。副業経験には、歯科業界にいるだけでは気付かない差別化のヒントもあるはずです。
ただ、誤解してもらいたくないのは、狩猟型が悪くて、農耕型がいいという単純な話ではない、ということです。安定性や継続性の面では農耕型が優れていますが、全ての人が農耕型に向いているというわけではありません。
例えば、世の中の営業マンには、新規開拓が得意な人と、既存顧客のフォローが得意な人がいます。人には得手不得手があります。それに、先ほど触れたように、インプラントのように狩猟型と農耕型のハイブリッドになっている分野もあります。
狩猟型が得意なのか、農耕型が向いているのか、はたまたハイブリッドを目指すのか。本業の歯科医で、いきなりいろんな手法を試すのは抵抗があるでしょう。それではリスクが大きすぎます。副業だからこそ、いろんなやり方を試してみて、さまざまな失敗を繰り返しながら、自分に合った手法を見つけられるのです。