本記事は、つちやけいこ氏の著書『不動産10物件 株100銘柄 保有の元証券ママと学ぶ 女性のためのお金の増やし方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

投資の入口としての投資信託とETF

投資信託
(画像=PIXTA)

数ある金融商品のなかで、まず何から始めてみるのがいいでしょうか。

投資の「入口」に立つという意味では、「投資信託」や「ETF(上場投資信託)」が始めやすいと思います。

投資信託とは、運用会社が国内外の株や債券などに幅広く投資したものがパッケージ化されているものです。文字通り、「運用のプロ」と言われるファンドマネージャーの投資を信じて託す金融商品です。

ETFは"Exchange Traded Funds"の略で、東京証券取引所などの株式市場に上場する投資信託を指します。一般的な投資信託は株式市場に上場していなくて、証券会社や銀行といった投資信託の販売会社を通じて売買しますが、ETFは個別株と同様、株式市場で売買されます(厳密には自分の取引している証券口座で売買)。

一般的な投資信託は1日に1回、売買価格が決まるのに対し、ETFは個別株同様、売買価格は1日のなかで刻々と変わるので、換金性や流動性が高いです。

また投資信託は運用方法によって大きく2つに分かれます。1つが、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といったインデックス(株価指数)に連動するように運用される「インデックス型」。もう1つが、ファンドマネージャーの裁量によって自由に運用される「アクティブ型」です。

日経平均株価は日本を代表するような225銘柄(トヨタ自動車、ファーストリテイリング、ソフトバンクなど)で構成されていて、TOPIXは東証一部に上場する全銘柄で構成されています。

そして、米国を代表する株指数として耳にしている「ニューヨークダウ」はニューヨーク証券取引所に上場する、わずか30銘柄の平均株価となっています。

このように投資信託はさまざまな株や債券で幅広く運用しているため、大きく上昇する可能性のある個別株に比べれば、大きな上昇は望めないかもしれません。

ただ投資先を分散している分、リスクも分散されて、大きく下がることも少ないため、あまり大きなリターンは望みにくいが、リスクも小さいことから、投資の「入口」としてはやりやすい商品です。

ほかにも、メリットとしては、投資信託やETFは毎月積み立てていくことができます。最初からいきなり大きな資金を投資するのではなく、1000円から毎月コツコツ積み立てていけます。

急に大きくは増えないかもしれませんが、株や債券がどういう時にどういう値動きをして、相場全体がどう動くかということがわかってくるので、最初に投資の基礎知識を学んでいくにはいいでしょう。

投資信託では手数料に注意

投資信託で忘れてならないのが、手数料です。販売会社(証券会社や銀行など)で買う時に「販売手数料」がかかるほか、運用をファンドマネージャーに任せるため、「信託報酬」という経費がかかります。

この信託報酬は、基本的に自由裁量の「アクティブ型」が高く、機械的に運用される「インデックス型」の方が安くなっていることがほとんどです。

ここで注意することは、投資信託の買付手数料が高いことと投資リターンが、連動するものではないということです。

自由に運用できるアクティブ型の方がパフォーマンス(運用成績)がいいかと言うと、必ずしもそうではありません。

もちろんアクティブ型でもいいものはあります。ただ、アクティブ運用を謳って高い手数料をとっている割に、インデックスのパフォーマンス(運用成績)に勝てない投資信託はいくつもあるのが実態です。

インデックス型の投資信託には、今はノーロード型で買付手数料が無料のものも多く出てきているので、それを利用することをお勧めします。

私自身は投資信託に、苦いと甘いの両方の思い出があります。

苦いと言えば、私が証券会社に勤めていた頃は、バブル崩壊後ということで、株価連動の投資信託は儲からないものの代名詞でした。

当時は、手数料無料のノーロード型株式投資信託はほとんどなく、手数料も高かったのです。1992年に入社した時、証券会社で販売していた日本株投資信託はほとんどが元本割れ。信託報酬や販売手数料をとる会社側が儲かり、買ったお客様は損をしている状況でした。正直、当時は自分で投資信託を買おうとは思っていませんでした。

あれから時間が経って、手数料の安いさまざまな投資信託が出てきて、儲かるものももちろんありますし、良い商品もたくさんあります。

実際、今では私も毎月の積み立てで、ノーロード型株式投資信託を買っています。

反対に甘い思い出では、知人が購入していた投資信託の「チャイナオープン(HSBC投信)」という商品が、私の身近で一番上がりました。

これは中国市場に上場している株式やその関連株に投資していくもので、2002年に1万円で募集し、スタートしました。

2002年~今までの19年の内に上がったり調整したりを繰り返しながら、今年2021年2月に基準価格は5万円を超え、分配金を再投資していたとすると、8万2000円になりました。

わかりやすく説明すると、100万円を2002年に投資していたら、19年後の今には820万円になったということです。

その方は300万円を投資していたので、あのまま保有されていたら、2400万円になっていると思います。

もちろん、ずっと保有し続けていれば......の話ですが。そのくらい投資信託でも「差」が出るということです。

現時点でチャイナオープンをお勧めするわけではありませんが、長期で投資を考えると、投資信託でもこれだけの大きなリターンが得られる可能性があるということを、覚えておいてください。

よい投資信託・ETFの選び方

自分でしっかり勉強して、なるべくコストのかからない手数料の安い投資信託やETFを選んでほしいと思います。

同じ100万円を投じても、先に手数料分を運用資金から差し引かれてしまうのと、コストが限りなくゼロに近いものとではお金の増え方が違ってきます。

手数料の安さで言えば、投資信託よりもETFに軍配が上がります。投資信託は販売会社である証券会社や銀行に支払う販売手数料がかかるのに対し、ETFは個別株と同様、証券口座で買えるので、証券会社に払う売買手数料で済みます。大手ネット証券の場合、10万円までの売買なら100円以下、50万円までの売買なら300円以下、100万円まででも500円くらいの低いコストで取引できます。

毎日ニュースになっている、日経平均の値動きならわかりやすいと思う人もいるでしょう。日経平均に連動するETFなどの、自分がわかりやすいものであれば、まずはETFで探してみる。

そしてETFで買えないものを投資信託で探してみる。(1)ETF、(2)投資信託という順番で見ていけばいいと思います。

自分で探してみると、米国株や中国株で運用するものや金(ゴールド)、債券、あるいは特定の業種やテーマに絞って運用するものなど、実にいろいろなETFや投資信託があります。

こんなにあるの? と迷うかもしれませんが、何より自分にとってわかりやすく、理解できるものから選ぶことをお勧めします。

そして、肝心なのは手数料。投資信託なら、なるべくノーロード(販売手数料ゼロ)を選びたいですし、信託報酬も「0.3%以下」を目安にしてみてください。

それから、その投資信託にどれだけお金が集まっているかを示す「純資産総額」もチェックしましょう。

純資産という母体の大きなものは、人気があるからそれだけお金が集まっていると考えると、安心です。母体が小さいものは思うようにパフォーマンス(運用成績)が上がらなかったり、やがて「繰上償還」と言って、運用の途中で商品自体が継続できずに終わってしまったりすることもあるので、要注意です。

銀行選びなどもそうだと思いますが、大手銀行と小さな信用金庫のどちらに預けるかと考えた時に、やはり安心感から大手銀行を選ぶ人が多いと思います。投資の第一歩を踏み出すのであれば、まずは「コストの安さ」と「安心感」で選ぶのが良いと思います。

私自身、投資信託を買う時は、純資産総額の大きなものをランキングでチェックして、そこから手数料を見て、「規模が大きくて手数料もかからない」というものから運用実績をよく見て選ぶようにしています。

たとえば、これは一例ですが、「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称・雪だるま(全世界株式))」はノーロードで信託報酬が0.11%、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称・楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))」もノーロードで信託報酬は0.21%など、探せば出てきます。

これらの投資信託をお勧めしているわけではなく、ぜひ投資信託選びの基準にしてほしいと思います。

そのような全世界の株式に丸ごと投資することができて、コストも安い投資信託を20年といった長期で運用していくことができればいいでしょう。

手数料の数%の違いは小さいように思われるかもしれませんが、信託報酬0.2%というのは、仮に100万円投資したとしたら年間2000円。それが1%なら1万円になり、毎年かかってくるわけですから、10年、20年と長期投資していくうえではとても大きな差になります。

私が「信託報酬0.3%以下」を目安にしているのは、言い換えれば「100万円投資して年3000円以上のコストを払うのはどうですか?」と言っているのと同じです。

みなさんもいかにコストをかけないでいい投資信託を選ぶか、というところに目を向けてみてください。

不動産10物件 株100銘柄 保有の元証券ママと学ぶ 女性のためのお金の増やし方
つちやけいこ
ファイナンシャルプランナー(2級ファイナンシャル・プランニング技能士・AFP) 兵庫県姫路市出身。大和証券8年、三菱証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)4年、FP事務所開業(証券仲介業者)4年など証券業界16年の経歴を持つ。そのなかで多くの富裕層と出会い、資産家特有の習慣や考え方を学ぶ。また自らも株式投資や不動産投資を実践。優待株(100銘柄以上)や都内不動産(10物件)などを保有し、経済的自由を達成。現在は都内在住で3人(小学生・中学生・高校生)の子育てをするママ投資家として、周囲のママ友・知人から投資全般について相談を受けることも多く、幅広くアドバイスを行っている。今後、多くの女性が経済的自由を達成するための啓蒙活動をライフワークとすることに決める。趣味は書道・ジョギング。

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