本記事は、つちやけいこ氏の著書『不動産10物件 株100銘柄 保有の元証券ママと学ぶ 女性のためのお金の増やし方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
リスクを減らす「買い方」
一方、株のデメリットは、やはり値下がりしてしまうリスクでしょう。
自分がわからないものに投資する時に、大きなリスクになるというのは、前述しました。
逆に自分がよくわかっていれば、リスクを減らして大きなリターンにつなげることができるのです。
私が証券会社に勤めていた頃、そんな光景を何度か目の当たりにしました。
当時お客様のなかでも、とくに株の上級者が「大きく」儲けていた買い方とは、「一極集中投資」でした。
とことん自分が調べ尽くした1つの銘柄に集中して投資をするのです。ある人はNTTドコモだったり、別のある人は金融株だったり、その人の得意な銘柄です。
一度に数千万円を投資した人もいれば、2~3回に分けて、株価が下がったら買い増すような手法で1つの銘柄に資金を集中させている人もいました。
本来、いくつもの銘柄に分散投資することでリスクを分散させるやり方が基本だと思います。ただ、大きく資産を増やそうとする人たちは、1つに特化して集中投資することで、大きなリターンを手にする傾向が強かったのです。
そこから学べることは、やはりとことん調べ尽くして、自分がよくわかるようになれば、極端な話、リスクはとても小さくなるということです。
それだけ勉強していれば、むしろ買い方を工夫することで、よりリスクを減らすことができます。
たとえば「この銘柄」と自分で確信できた会社の株価が下がっても、「この先また上がるはず」と考えて買い増すことで、後で株価が上がった時に「安値で買うことができた」と考えられるでしょう。
そこまで自分がわかっていれば、銘柄を分散するよりも買うタイミングを分散することでリスクを減らすこともあると思います。
株投資の最大のリスクは倒産して価値がゼロになることです。それだけは避けたいので、会社が潰れないような経営者が率いる会社に投資することが重要です。
今は企業の情報開示はオンラインでも見られると思いますので、ぜひ興味のある会社が見つかったら、投資する前に経営者の話を聞いてみてください。
リスクを減らす「売り方」
リスクを減らす「買い方」があるように、リスクを減らす「売り方」もあります。
売り方を考える時に気をつけたいのが、投資する期間です。私は中長期で投資することをお勧めしていますが、その時の状況によっては、半年~1年の期間で投資する時もあります。
最近では、コロナ禍によるステイホーム、リモートワークの増加でIT関連の株が上がってきましたが、そのようなブームがきた時でした。その場合は、頻繁に株価をチェックして、売り時となる「出口」を考えておく必要があります。
株の世界では○○祭りと称され、短期で株価が高騰することがしばしばありますが、「○○祭り」のブームが去ってしまえば株価は下がってしまうからです。
一般的な株価チャートを見ると、折れ線グラフのようになっているのが「株価」で、棒グラフのようになっているのが「出来高」です。
出来高というのは、その日に取引された株の数量で、それが増えていれば売買が活発で、人気のバロメーターとなっています。
それまで出来高が多かったのに少なくなってくると、ブームの終わりかけのサインとなることが多いです。
しかし、人によって仕事、家事、育児があるなかで、それを毎日チェックし続けることは大変で、仮にチェックできたとしても、常に株価をチェックしている専門のプロたちにはなかなか勝てません。
1日、2日の値動きに一喜一憂することなく、中長期で大きな果実を実らせる方が、安心して保有できるでしょう。
リスクを減らすための売り方として、最近の私自身の体験を挙げます。
ウェブ会議などを提供するブイキューブ(3681)という会社に投資しました。
コロナ禍でリモートワークが増えたことに注目し、検討し買ったところ、そこから3か月くらいで株価が2倍になり、投資金額が2倍に増えました。
そこで半分を売りました。もちろん、コロナ禍でウェブ会議はブームというよりもこれから定着していくと思うので、まだブイキューブは有望と見ていますが、そこで半分を売り、投資した元金を回収したことになります。
そうするとあとは損することはありません。残りの半分で長期的な株価上昇を待つことができます。万が一倒産しても、損したことにはなりません。
もうこうなるとノーリスクで放っておいてもよい余裕が生まれて、あとはリターンが大きくなるのを楽しみに待っていればいい状態です。
これは私だからできたわけでなく、誰でもできます。株価が上がったから喜んですべて売るだけでなく、元手の分を売って損するリスクをなくしたうえで、より大きなリターンを狙う。リスクをなくす売り方と言えるでしょう。
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