この記事は2021年12月6日に「株式新聞」で公開された「<中原圭介の相場観>オミクロン株は経済再開と共存可能か」を一部編集し、転載したものです。


新型コロナウイルスのイメージ
(caLibro / PIXTA(ピクスタ))

世界を大きく動揺させている新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」について、各国の専門家の間で研究・解析が進んでいる。まだ分からないことが多く油断はできないものの、株式市場には薄日が差してきたように思う。

これまでに分かってきているオミクロン株の特徴の1つが、感染力の強さ。その一方で毒性は弱いようだ。報道によれば南アフリカを含めて重症者はほとんど報告されておらず、欧州疾病予防管理センターによれば、12月3日時点のEU(欧州連合)域内の感染者数109人すべてが軽症か無症状だという。

詳しくは後の統計データが証明するだろうが、感染者の重症化率が極めて低いとなれば経済再開との共存も可能になる。欧米などで猛威を振るうデルタ株からの置き換えが進めば、むしろインフルエンザや風邪と同等の扱いになっていくかもしれない。

弱毒性のオミクロン株の拡大により、新型コロナと経済再開がいわゆる「トレードオフ」の関係ではなくなるのであれば、世界を混乱に陥れてきたパンデミック(世界的規模での流行)のとらえ方が一変する可能性がある。残る懸念材料は世界的なインフレに絞られるが、これについてもFRB(米連邦準備制度理事会)が一転してタカ派に転じる中で、コロナ禍収束に伴うサプライチェーンの正常化が、物価の高止まりを沈静化させる展開も意識される。

アセットベストパートナーズ 中原圭介