2022年1月25日、セブン-イレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂などを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ) <3382> の株価が前日比で一時3.4%高の5,461円まで買われる場面が見られた。セブン&アイ株の5,400円台は2016年2月以来、約6年ぶりの高値水準だ。
ちなみに、同日の日経平均株価は終値で2万7,011円と約1年1カ月ぶり(2020年12月末以来)の安値に沈んだ。米国の金融引き締めへの警戒や、ウクライナ情勢の緊迫化への懸念から、幅広い銘柄で売りが先行したが、そうしたなかでセブン&アイの株価が上昇したのは海外コンビニ事業の好調や、海外メディアの会社分割に関する報道などがある。
今回はセブン&アイの話題をお届けしよう。
業績好調、アナリストの目標株価引き上げが相次ぐ
1月13日、セブン&アイは2022年2月期・第3四半期累計(2021年3月~11月)決算を発表した。売上高に相当する営業収益は前年同期比43.8%増の6兆1,494億円、本業の利益を示す営業利益は同6.1%増の3,029億円と好決算だった。
今回、営業収益が急増したのは2021年5月に米石油精製会社のマラソン・ペトロリアムから「スピードウェイ」ブランドのコンビニ事業を獲得したことが主因である。これにより、2022年2月期・第3四半期までの海外コンビニ事業の営業収益は前年同期(1兆6,864億円)に比べて2.1倍の3兆5,207億円に急増した。
一方、同期の国内コンビニ事業の営業収益は同2.1%増の6,619億円だった。セブン&アイのコンビニ事業の営業収益は、海外が国内の5.3倍に達している。
セブン&アイは2022年2月期(通期)の業績について、営業収益を前年比51.2%増の8兆7,220億円、本業の利益を示す営業利益を同9.2%増の4,000億円となる見通しを示した。営業収益で4,130億円、営業利益で200億円の上方修正である。決算発表を受けて、翌1月14日のセブン&アイの株価は前日比で一時8.3%高の5,330円と急伸する場面も見られた。
また、上記の好決算を背景にアナリストの目標株価引き上げが相次いだことも、セブン&アイ株に追い風となった。1月14日にモルガン・スタンレーが目標株価を6,060円から6,230円に引き上げたほか、1月18日にはジェフリーズも5,300円から6,200円に、1月24日には岩井コスモ証券が5,500円から6,050円にそれぞれ引き上げた。1月25日にはクレディスイスが目標株価を6,900円から6,700円に引き下げたものの、いずれの目標株価も2015年8月6日に記録した上場来高値(5,998円)を上回っているのが実情だ。
こうした状況のなか、セブン&アイ株は1月25日に約6年ぶりの高値となる5,461円まで買われる場面も観測されている。2021年1月4日の安値3,588円から1年ほどで52.2%の上昇である。
気になるセブンプレミアムの減速
しかし、一方で気になる情報もある。『セブンPB、コロナで失速』そんなタイトルが日経電子版のヘッドラインに並んだのは2021年12月7日のことだった。新型コロナ禍の消費行動の変化を受けて、セブン&アイのPB(プライベートブランド)の「セブンプレミアム」が苦戦を強いられていると記事は伝えていた。