本記事は、坂本翔氏の著書『独学脳』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

学校の勉強は自分のキャパを増やす訓練

学校
(画像=PIXTA)

まずは「勉強の捉え方」を変える

インターネットとGoogleなどの検索エンジンの普及によって、昔のように情報を知っていること自体には価値がなくなりました。検索をすれば、知りたい情報には、誰でも簡単にアクセスできるため、検索をして得られる情報は覚える必要もありません。

しかし、まだまだ日本の学校教育は、調べれば分かることを暗記させて、それをテストに出して競わせる傾向があります。

勘違いしてほしくないのですが、「学校が無駄だ」とか、「行かなくていい」と言いたいわけではありません。私も、母校を始めとした学校から講演のご依頼をいただくことも多く、今でも大好きな場所です。高校までしか行っていませんが、学校で学んだことは計り知れず、楽しかった思い出ばかりです。

ここでお伝えしたいのは、学校での「勉強の捉え方」を変えるだけで、勉強を将来社会に出たときに必要な能力と結びつけることができるということです。

学生期間の勉強で自分のキャパシティを増やせる

その捉え方というのは、自分の頭のキャパシティ・容量を大きくする訓練として捉えるということです。そうすることで、ビジネスの世界で必要なマルチタスク能力が鍛えられます。

マルチタスクとは、複数の作業を同時に並行して切り替えながら行うことです。社会に出ると、同時に複数の仕事を動かしたり、並行してタスクを処理したりなど、マルチタスクが日々発生します。それを毎日こなしていくためには、そもそもの頭の容量が必要です。パソコンでいうところのCPUのコア数を増やすイメージです。CPUはパソコンの頭脳ともいえる部分で、コア数が多いほど並列処理に有利になります。

たとえば、中学や高校の場合、多くは1日に計5〜6時間、約1時間おきに異なる科目の勉強を行う毎日を過ごします。

これをビジネスに例えると、1日5〜6件の打ち合わせをこなしながら、帰宅後は宿題として、その案件の企画や事務処理をする、というような状況と似ています。

学生の期間に、このような将来の仕事を想像しながら毎日を過ごすことは難しいかもしれないですが、今もしあなたが学生で、学校の勉強が嫌、もしくは、辛いと感じている場合、ぜひこの捉え方をして乗り越えてください。きっと将来に役立つはずです。

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(画像=『独学脳』より)

完璧主義は独学の敵

完璧なインプットなど存在しない

「情報を収集する力」は、「検索力」「読解力」「捨てる力」に分けることができます。

検索力は、とにかく情報検索の数をこなすことで少しずつ身につき、読解力は、書籍などを要約して訓練することで身についてきます。

ここでお伝えする「完璧主義をやめよう」という話は、情報を収集する力の中でも、特に「捨てる力」に関連します。完璧主義は独学の敵です。

必要なことだけ学べばOKというマインドが、独学には絶対に必要なのです。

たとえば、ギターなどの楽器を独学で学ぶ場合、「コードを全て覚えてから弾きたい曲の楽譜を買おう」というやり方では、いつまで経ってもその曲は弾けません(ギターのコードは数百種類あると言われています)。

楽器を独学で覚える順序としては、まずは弾きたい曲の楽譜を買って、その曲に使われているコードを覚える、という順序が正しいと言えます。それを繰り返して、いろんな曲を覚えていくうちに、多くのコードを習得しているはずです。

資格試験の勉強なども同じです。歴史や法律など、全てを覚えてから試験を受けるという考え方では、いったい、いつになったら試験を受けられるのでしょうか。

まずは、その試験の過去問や模試などを解いてみて、そこで出てきたものから1つずつ覚えていくべきと言えます。

どの試験も、ある程度の傾向があるはずです。よく出題される歴史上の出来事や条文があるので、そこを重点的に勉強するなど、独学では完璧主義を捨てて、効率よく、要領よく勉強を進めていくという考え方を持ってください。

最も効率の良い学習方法は「走りながら学ぶ」こと

起業や会社づくりでも同じです。

学問としての「経営学」も存在しますが、教科書通りのことなんて、世の中で起こることの方が珍しいです。

将来、起業を考えているという人によくあるパターンに、「3年間は今の会社で頑張って起業の準備をします」という方がいます。これも一種の完璧主義マインドだと、私は感じています。

起業をして経営者になるなら、雇用されている状態で学べることは本当に少ないと、まずは理解すべきです。

たとえば、「将来起業を計画している業界の、先頭を走っている会社に勤めて、3年間で可能な限りのノウハウを学び、人脈づくりをする」というような、明確な期限と目的を定めているなら別ですが、そうではない状態では、単に時間を無駄にしかねません。

結局のところ、将来必要になる全てのことを学んでから行動に移すというのは、ほぼ不可能です。最低限の情報把握とリスクヘッジだけ完了したら、あとは走りながら学んでいく形が、最も効率が良い学び方と言えます。

趣味や研究として勉強をする場合でない限り、勉強は何かの目的を達成するためにあるものです。勉強が目的になってはいけません。完璧主義を捨てて、ゴールからの逆算で必要なものだけ取り入れる力を身につけてください。

独学脳
坂本翔(さかもと・しょう)
株式会社ROC代表取締役CEO。行政書士オフィス23代表。 1990年生まれ。高卒バンドマンから、独学で行政書士試験に合格。経営者向け音楽イベントを主催し、SNSを活用して費用をかけずに延べ1,100名以上の集客を達成。23歳で兵庫県内最年少の行政書士として起業するも、この実績などをきっかけにSNSマーケティング事業を創業。25歳で商業出版を実現。著書は全て海外翻訳され、累計発行部数は12万部を突破。SNSマーケティングを伝えるセミナーや企業内部のSNS研修、学生向け起業講演など、年間50本以上の講演をこなす。著書や監修書籍に、『Facebookを最強の営業ツールに変える本』(技術評論社)、『Instagramでビジネスを変える最強の思考法』(技術評論社)、『SNSマーケティング見るだけノート』(宝島社)などがある。

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