負担増はどれくらい?
社会保険料の負担額は、配偶者が会社員であるケースと自営業では大きく異なる。では、夫が会社員の場合、どれくらい社会保険料の負担が発生するのだろうか。
40歳の妻がパートタイマーで月10万円ずつ、年収120万円で20年間働くと仮定。東京都での協会けんぽ管掌では、介護保険料も含めた健康保険料は月約5700円、厚生年金保険料は月に約8500円。月14200円、年間17万400円の支出増となる(給与所得から社会保険料控除などで所得税が減額される分は考慮せず)。
また、将来支給される老齢厚生年金は、20年間加入していたとして額面で年間約13万8000円。受給開始時の65歳女性の平均余命約23年として、約317万円の年金支給を受けることになる。20年間での総支出が約340万円であるため、総支出が受給額を上回りメリットはない。
一方、夫が自営業のケースでは、妻は国民年金に加入して保険料を支払う第1号被保険者だ。上記のケースと同じ収入で考えると、2014年度の国民年金第1号被保険者の月額保険料は15250円。健康保険料と厚生年金保険料で月14200円支払うほうが、国民年金保険料より1050円安い。
また、夫の支払っていた国民健康保険料は妻の所得割額と均等割額が減額される分、安くなる。65歳からは老齢厚生年金の給付も受けられるため、夫が自営業のケースでは厚生年金に加入するメリットは大きいといえるだろう。
厚生年金加入のメリット
厚生年金に加入する一番のメリットは、保険料が会社と折半になる点だ。国民年金では定額保険料を個人で負担しなければならないが、厚生年金では標準報酬月額の17%超にあたる厚生年金保険料を会社と半額ずつ支払う。
いわゆる基礎年金に上乗せされる報酬比例部分も会社が半分負担する。また、老齢基礎年金の受給資格を満たせば、厚生年金に加入した期間に関係なく納付保険料に合わせた老齢厚生年金が支給されるのもメリットだ。ただし、現在は65歳未満の人が老齢厚生年金を受給する場合には1年以上の被保険者期間が必要となる。
計画的な働き方を
2016年10月の厚生年金適用拡大後にパートタイマーとして勤務を続けるには、大きく2つの選択肢があるだろう。
ひとつは、厚生年金に加入せずにパートタイマーを続けるという方法。年収を106万円以下にする、労働時間を週20時間未満に減らす、従業員500人以下の会社に就職するという選択肢が考えられる。ただし、従業員500人以下の会社でも、従来通り年収130万円を超えると、夫が会社員の場合は健康保険の扶養を外れるケースがあるので注意。基本的に厚生年金に加入しないケースでは、働く時間を減らすことや年収を制限する対応となるだろう。
もうひとつは、厚生年金に加入してパートタイマーを続けるという方法だ。社会保険料の負担増で手取額は減少するが、将来の年金受給額は増える。ポジティブに考えれば、労働時間を増やして社会保険料の負担増を補うこともできるだろう。
いずれの選択肢でも、労働時間、収入、社会保険料負担は必ず検討したい。厚生年金の適用範囲拡大はパートタイマーとしての働き方を見直す良い機会となるのではないだろうか。
(ZUU online)
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