本記事は、菅谷信雄氏の著書『あなたの経営力10倍アップの極意 大激変の時代を勝ち抜く最強の経営の羅針盤』(セルバ出版)の中から一部を抜粋・編集しています

社長の器を大きくすることが会社成長の原動力

社長
(画像=PIXTA)

企業の目的

ドラッカーの定義

ドラッカーによると、企業の目的は、顧客の創造とマーケティング&イノベーションと定義しています。

何のために起業したのか?

まずは何のために起業したのかを自ら問うてみることです。

例えば大企業という歯車にいると、自分の思い通りに行かないことも多いです。自分ならお客様のために、こうしたい、ああしたいという想いが強かったとします。

その想いを実現するために、自分の強みが活かせるかどうかがポイントとなります。

経営の基本概念を押さえる

まず経営の基本概念を押さえておくことが極めて重要です。

経営とは、企業が長期間にわたって、顧客の要求する付加価値を創造して、提供し続け、市場での競争力を維持する営みです。

したがって、売上の上昇期は、顧客の要求する付加価値に合っている訳ですし、下降期は顧客の要求する付加価値に合わなくなっていることになります。

音楽1つとってもそのことがよくわかります。

私の子どもの頃は、45回転のシングル盤レコードが中心でした。その後33回転のLPが流行りました。ビートルズ全盛期の頃でした。

しかし、その後、アナログのLPは廃れ、デジタルのCDのほうが、音質がよいのでCDにとって代わられました。さらにMDが流行りました。そして、iPodが流行り、音楽はダウンロードして聞く流れとなりました。

しかし、今またアナログの音質が見直され、LPの人気が復活しつつあります。

このような時流の変化はどの業界でも起こり、顧客の要求に素直に耳を傾け、それをキャッチし、経営に反映させていくことが社長の仕事です。

経営とは5要素の最適化

経営とは人、モノ、金の3要素の最適化と言われています。私はさらにこれに時間と情報の2要素を加えた、5要素の最適化と思っています。

人に関しては従業員を大切にする経営の項で解説します。また、モノに関しては自社の強みの分析のUSP(Unique Selling Proposition)を参照願います。

情報に関しては、先見力と世界情勢の項で詳しく解説するので、そちらを参照願います。

ここでは金について解説します。会社設立時、資本金の額をいくらにするか考える社長が多いと思います。

商法上は確かに1円でもできます。しかし、これでは設立費用も賄えません。私は少なくとも1,000万円で起業すべきと考えます。

起業しても、すぐには収入にならないことが多いです。仮に売上が上がっても、代金回収までに1~3か月はかかります。社長の役員報酬を手弁当としても、先行経費はどんどん出ていきます。

起業の際に注意すべきことは、できるだけスリム化することです。スタート時、事務所はレンタル・オフィスにして、経営が軌道に乗ったら事務所を借りるとよいです。

起業するまでの準備期間、取扱商品の市場性、顧客ニーズに合っているのかの調査等も必要です。そういう準備期間を踏み、資金も1,000万円程度貯めてから起業するほうが成功する確率は高いといえます。

なお、1,000万円を1円でも超えると、事業税が東京都の場合で、7万円から18万円に一気に跳ね上がります。したがって、それ以上の額は、資本準備金にしておけばよいと思います。これなら事業税は7万円で済みます。

起業して数年間で自社の商品の評価が高く、将来上場もできるような商品なら友人知人の資金を投入する段階です。

そのときの資料として、経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略が重要です。しかし、最後のマーケティング戦略がない企業も多いので、マーケティング戦略は重要です。

8つの罠の1番目に掲げたマーケティング戦略の欠如で説明しましたが、これがない限り友人知人に出資を依頼すべきでないと考えます。

増資のときに陥る罠として、これまで100%ワンマン経営でやってきたので、増資資金を自分のお金と勘違いして、使ってしまうことです。その際、脇甘になることが多く、増資金額を直ぐに使い切ってしまう社長も多いようです。

株主に対しては、株主総会で説明すればよいことになっていますが、株主の信頼を継続的に得るには、定期的に業務報告をすることが必要です。今はZoomが普及し、Zoomでオンライン会議をやれば、時間とコストをセーブできます。

タイムマネジメントの重要性

時間に関しては、安倍内閣以来、働き方改革による時短が世の中の流れになっています。

昭和の時代は、長時間労働が美徳とされ、長時間働く従業員が評価されていました。しかし、令和の時代では、いかに短時間で成果を上げることが求められます。コロナ禍で、リモートで仕事することが当たり前になってきました。そして、仕事をする人とそうでない人の差が顕著になってきました。

したがって、今の時代では、時間の重要性を経営者自らが認識したタイムマネジメントも重要な経営資源です。多くの中小企業ではサービス残業が常態化していましたが、それは過去の話となりつつあります。

また、営業パーソンの場合、営業手当をもらう代わりに残業代を支給されないケースが多々あります。営業パーソンの中には昼間喫茶店等で油を売る方もいました。しかし、今やスマホ、タブレット端末等が普及している時代です。すきま時間をいかに有効活用するかも従業員に求められる能力と言えます。

したがって、令和の経営は、原則残業なしの経営を心がけるべきと考えます。

三井物産に勤務していた頃、毎週水曜日は残業なしデーでした。毎日5時半になると、社内アナウンスが流れ、退社を促します。これに呼応して各部の総務担当者がやってきて、居残り残業している人の退社を促します。そのとき、各自机の上にA4の書類が入る書類整理箱が置かれていました。当時はまだパソコンが普及する前でした。机の上を整理整頓し、書類を整理箱に入れてから帰ることがルールでした。

残業なしデーの日は、皆時間を気にしながら、業務に集中します。その結果、残業しないでも業務を終えることがわかりました。

社内で残業なしの雰囲気をつくるのも社長の仕事です。社長がいつまでも社内に残っていると従業員も帰りづらくなります。もし残業が必要な場合、事前承認制にします。これにより残業は必要最低限という意識が働き、生産性向上につながっていきます。

また、社長は従業員の帰宅を促します。ワークライフバランスを認識させるのも社長の仕事です。独身者は自分の趣味の時間を見つけるようにするのも大切です。

昔は上司とのノミニケーションが盛んな時代でした。今は時代が変わりました。従業員の性格に配慮しながら社長とのノミニケーションが必要なら適宜実施するとよいと思います。

一方、残業がないと従業員の生活に影響してきます。そこで、残業なしでも生活できる給与体系にすることが必要です。その代わり従業員には生産性の向上の徹底を求めます。

私はサラリーマン生活を25年送りましたが、かなり無駄が多いと感じていました。

また、日本企業の場合、会議が多すぎます。会議も必要最小限に絞り込むことで、生産性を向上させることができます。

意外と、不必要なメルマガを読んだり、仕事以外のことでインターネット検索したりしていることもあります。

たばこ全盛の時代は、愛煙家は1時間に1回喫煙休憩をとっていました。しかし、今はそのような時代ではありません。社内禁煙は当然ですし、社長も健康のために禁煙が必須です。喫煙者をゼロにするために、禁煙者には禁煙手当を支給するのも福利厚生の一環としてよいと思います。

経営の基本理念

一方、前述のように変化する時流にばかり合わせていると、経営の本質を見失うことにもなりかねません。

そこで、重要なのが、経営の基本理念です。これが企業のミッション(使命感)です。このミッションを社員に浸透し、実践している企業ほど長期の成長、発展につながっていくと言えます。

あなたの経営力10倍アップの極意 大激変の時代を勝ち抜く最強の経営の羅針盤
菅谷信雄(すがや・のぶお)
昭和24年生まれ。高校2年生の時に、「世界を股に掛けるビジネスマンになる」ことを決意。その夢を実現するために一橋大学商学部マーケティング専攻、卒業して三井物産に入社。31歳のとき、カナダ三井物産駐在により、「世界を股に掛けるビジネスマンになる」という夢は実現。カナダから帰国後の38歳のときに企業内起業家として東証一部上場企業の㈱もしもしホットラインをゼロから立ち上げる。10年後、その経験を活かし、1997年5月同社を早期退職。退職後、世界最小の総合商社、有限会社マーキュリー物産(資本金1,000万円)を創業。その後25年間で18社に数千万円を投資。うち1社が上場。現在も、シニア事業家として現役続行中。「生涯現役社会」構築の一環として、シニアとシングルマザー、ファーザーが協生するシェアハウス「ユートピア館」を本年末に完成予定。将来はFC化も検討。事業承継することで1万棟建設を構想中。

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