medium_7223384344

貸株サービスとは?

株式の取引をしていると、値上がりを見込んで買付けた株式が、予想に反して値下がりしてしまい、そのまま長期間もち続けることがあります。もちろん配当を受けたり、株主優待のサービスを受けたり、といった株主に固有の利益を受けることはできます。しかし、そのような株式でも、現在と同様に株主固有の利益をうけつつ、同時に別のかたちでも利益を受ける方法が存在します。それが「貸株サービス」です。

預けるだけで稼げる貸株料

「貸株サービス」とは、株式をもっている投資家が、その株式を証券会社に貸すことにより、貸株料を受けとることができる制度です。もともと投資の世界では「貸株」という用語がありました。これは株式へ投資をしている投資家が、信用取引をおこなうさいに、証券会社から株式を借りる対価として、証券会社に対して貸株料を支払う仕組みです。

このような取引は、以前から、機関投資家と証券会社との間では、頻繁におこなわれていました。これまでは、個人投資家には提供されていなかったこの貸株制度ですが、ネット証券によっては、個人の投資家を対象として、貸株制度に類似した制度である「貸株サービス」をはじめる証券会社がでてきました。

このサービスにより証券会社が借り受けた株式を、機関投資家が参加する貸株市場に、貸し出します。そして、その対価として機関投資家から貸株料をうけとり、最初に株式を貸出した投資家へ還元することになります。貸株サービスの良い所は、株を預けているだけで、株式の配当や株主優待とは別に、貸株料がもらえる点です。

配当金・株主優待・売却益も得られる

貸し出している株式の配当金については、証券会社から、源泉徴収税額を差し引いた残金に相当する額が、後日取引口座へ入金されます(直接受けとる手段もあります。)。また、株主優待権についても、原則として、自動で取得できるサービスを提供している証券会社がほとんどですので、特に自分で名義を戻す必要がありません。

また、貸株サービスを利用中であっても、売りたいときには、いつでも売ることができるます。つまり、この貸株サービスを上手に利用すれば、株式の配当金、株主優待権、貸株金利、および売却益の4点を得ることができます。中長期保有することで利益をあげるつもりで買付けた株式や、株価の低迷により、長期間、取引のチャンスをまっているような株式に向いているサービスといえます。

いわゆる含み損がある株式であっても、そのまま持っているよりは、このサービスを利用して、少しでも貸株料を取得して損失を減らしたいところです。なお、証券会社によっては、信用取引口座を開設している場合は、貸株サービスを利用できないところがあります。最近は、一部のネット証券で、貸株サービスを利用している株式を、信用取引の担保とすることまでを可能とするサービスの提供を開始したところもあります(振替指示をおこなって、貸株からは外します。)。

貸株の利用の注意点

貸株のデメリットとして、まず考えられるのが、貸株の名義変更による問題です。たとえば、名義を変更しなければ、株主総会での議決権を行使できないので、総会に参加できる株主が確定される時期だけは、名義を投資家へ戻す必要があります。しかし、一度でも名義を変更してしまうと、長期間その株式を保有した株主だけに提供される優遇措置を受けられません(株主番号が変更されると名義をもどしても効果がありません。)。そのような銘柄は、貸株にしない方が良いかもしれません。

最後に、貸株料に対する課税の関係ですが、これは株式を売却したことにより得る売却益とことなり、雑所得となります。他の雑所得と合わせて年間20万円をこえるときは、確定申告をする必要があります。

貸株で得するポイント

貸株サービスを利用するときは、証券会社のウェブページから簡単に申し込むことができます。他の証券会社で買付けた株式を貸株とすることもできます。これは、他の証券会社から、保管振替機構を利用して、移管することで可能となります(株式の入庫)。貸株料の額は、総合取引口座を管理しているインターネット上の画面から確認出来ます。

また、貸株サービスを利用している最中でも、株価の状況から売り時だと思えば、すぐに売却することができるため、売りのタイミングを逃すことがありません。通常の取引画面から簡単に操作できるため、感覚としては、銀行の普通預金を利用したお金の出し入れに近いものがあります。

貸株取引で気をつけるポイントとしては、株式の名義を変更することで、なんらかの不利益(株主優待権の喪失など)をうけるような銘柄は、対象からはずすことです。また、ほとんどのネット証券は、株主優待権の確定日にあわせて、自動的に貸株の名義を戻してくれるサービスを提供しています。

貸株サービスを選ぶポイントは、証券会社ごとの貸株料の差です。詳しい利率は、証券会社ごとに公式サイトなどで確認する必要がありますが、やはり少しでも率の高い証券会社を選択する方が好ましいのは、いうまでもありません。その他にも、単なる株式の取引とはことなる、このサービスに特有の決まりなどもありますので、利用する前に、各証券会社の公式サイトで、貸株サービスにかんする注意事項を確認することをおすすめします。

眠っている株式を利用して、株主固有の権利を確保しながら、さらなる利益を受けとることができる貸株サービスは、一株で二度おいしい、と表現できるような大変魅力的なサービスといえるのではないでしょうか?

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)

photo credit: paul bica via photopin cc