こんにちは、今回からこちらでも記事を書かせて頂きますM.Kです。
第一回として、ラグジュアリービジネスというテーマで記事をお届けしたいと思います。

ラグジュアリービジネスといえば、ルイ・ヴィトンやエルメスなど、様々なブランドビジネスがあげられますが、各社のアイテムに関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
また、あまり知られていませんが、ラグジュアリービジネス発展の歴史は、欧州の富裕層の歴史と密接な関わりを持っています。

今回の記事では、ラグジュアリービジネスの概要をまとめつつ、日欧の富裕層の比較についてお届けします。

【参考:欧州富裕層の関連記事】

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◉そもそもラグジュアリービジネスとは

海外から見たとき、日本のビジネスのポイントは「良いものを安く売ること」にあると言われています。例えば高度経済成長期では、不良品や無駄を出さないトヨタ(リーン)生産方式によって、良いものを安く製造することに成功しました。

一方、ラグジュアリービジネスは先進国の商売と言われ、少ない商品を高額で販売するモデルです。これにより、大量生産かつ薄利多売の発展途上国や新興国との、際限のない価格競争を回避しています。
ラグジュアリーブランドは人々の評価から生まれ、その期待を裏切らないという約束をすることで価値を保つものです。

では、何のために裕福層はラグジュアリーブランドを買うのでしょうか。人々がラグジュアリーブランドを買う理由は大きく分けて2つあげられます。
1つ目は機能的な価値で、ラグジュアリーブランドの伝統、デザイン、材料、サービスの質に価値を見出すものです。そして、2つ目は情緒的な価値で、ブランドを持つことによる自信、成功、喜びに価値を見出します。

◉欧州の富裕層の歴史とラグジュアリーブランドの歴史の関係

そもそも何故ラグジュアリーブランドは誕生したのでしょうか。話は欧州で近代化や民主化が始まり出した18世紀にまで遡ります。

1789年のフランス革命で王政が廃止され、フランスは民主化の道を進みました。そして、民主化の進展に伴い、それまでの裕福層=貴族は職人を抱えられなくなります。また当時の新興富裕層=実業家や金融家などの市民は、新たなステータスシンボルを必要としていました。
その結果として、新旧富裕層のための唯一無二のものづくりがブランドとして発展していったのです。ブランドが家族姓やデザイナーの名を冠しているのはこのためです。

例えばルイ・ヴィトンは19世紀前半にトランク工場として誕生しました。当時、欧州の富裕層は船で旅行をしており、荷物を入れるトランクは必需品でした。しかし、従来のトランクがあまりにも重く、より軽いトランクのニーズが高まったので、ルイ・ヴィトンが誕生したというわけです。

◉欧州の富裕層がラグジュアリーブランドに求めるもの

欧州の富裕層は機能的な価値を重要視する傾向にあります。欧州の富裕層の多くはブランド品に対し、高額なものを所有するというステータスだけに価値を置くのではなく、「芸術や文化の集合体」として価値を見出しています。富裕層がオートクチュールで職人や生産者に多額の資金を投資することで芸術的文化が継承され、その価値は高まり続けます。
このような芸術や文化の継続的な発展は欧州の裕福層社会を形成しました。

そして、このソサイエティーに入るためには、資産を持っているだけではなく、文化や芸能に精通し、立ち振る舞いやたしなみ、コミュニケーション能力が要求されます。欧州の裕福層は、このようなソサエティーでブランド品を身につけて参加します。