本記事は、堤 藤成氏の著書『制約をチャンスに変える アイデアの紡ぎかた』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

閃き
(画像=snowdrop / stock.adobe.com)

アイデアは、整える、奏でる、叶えるの順で

突然ですが、あなたは、以下の2つの人生のうち、どちらを選びますか。

『夢は叶うけれど不幸な人生』
『夢は叶わないが幸せな人生』

AかB、どちらか一択を選んだ人。あなたはとても素直な良い人ですが、まだ『選択と集中タイプ』の罠にハマっているとも言えます。

夢を追いかけ始めると、どうしても視野が狭くなって、心や体を犠牲にして無理をしてしまいがちです。とはいえ、最初から夢なんて叶わなくていいなんて、安定した幸せだけを求めると、死ぬときに「自分は、本当はもっとできたのでは?」なんて後悔してしまうことになります。

もちろん、夢も幸せも叶わない人生を目指す人はいないと思いますが、ただ惰性で生きていると、こうした人生に陥りやすいのです。

あなたには、アイデアを通じて単に『夢を叶える人』でも、『幸せを感じる人』でもなく、第3の道である『幸せに夢を叶える人』になってほしいのです。とはいえ、この第3の道は、夢か幸せかのどちらかだけを追うよりも何倍も難しい道であることは確かです。例えばそれは、X軸だけでもY軸だけでもない、三次元のZ軸で捉える生き方だと言えます。この『幸せに夢を叶える人』として生きるために、何かヒントはあるでしょうか。

それは樺沢紫苑氏が提唱している『幸せの三段重理論』がヒントになるでしょう。そのポイントをお話しします(参考『精神科医が見つけた3つの幸福』飛鳥新社)。

脳科学的に言えば、人間が幸せを感じるのは、脳内ホルモンであるセロトニン、オキシトシン、ドーパミンが分泌されている瞬間だそうです。

まずは『心と体の健康』を整えることでセロトニンを。次に『つながり・愛』を実感することで、オキシトシンを。最後に『成功・お金』を得てドーパミンを。

さらに幸せを積み上げる順序は、必ずセロトニン、オキシトシン、ドーパミンの順であるべきだといいます。


1. セロトニン的幸福:感情の安定・食事・運動・睡眠など「心と体の健康」を整える
2. オキシトシン的幸福:家族・友人・職場・自然など「つながり・愛」を感じられる
3. ドーパミン的幸福:日々の仕事の目標達成や夢実現など「成功・お金」を得られる

このように、いくら仕事でノルマを達成したり、お金持ちになって社会的名声を得られたとしても、その前提として心を病んだり体を壊したり、孤独で誰とも心を通わせることができなかったら、それは幸せではないでしょう。

だからこそあなたはぜひ、この『幸せの三段重理論』を応用して次の3つのアイデアの領域を意識し、アイデアをカタチにしていきましょう。


1. セロトニン的アイデア:睡眠、運動、食事など、心と体の健康を『整えるアイデア』
2. オキシトシン的アイデア:家族や友人知人など、愛・つながりを『奏でるアイデア』
3. ドーパミン的アイデア:仕事や目標の達成・成功・お金など夢を『叶えるアイデア』

ここでは、整えるアイデアと奏でるアイデア、叶えるアイデアの順が大切です。

どうしても、『アイデアをカタチにする』といえば、商品開発や新規事業など『ドーパミン的幸福』だけにフォーカスしてしまいがちです。

しかし、アイデアとは本来は、一部のクリエーターや経営者だけのものではありません。まだ社会に出ていない学生にも、子育て中の主婦・主夫にも、リタイアした高齢者にも必要なものなのです。

それぞれの暮らしの中で、『心と体の健康』のために美味しい食事の献立を工夫したり、通学や通勤に散歩を取り入れたりするアイデア。『つながりと愛』を実感するために、家族や友人と仲良くなれるパーティを企画したり、地域や趣味のコミュニティに貢献したりするアイデア。もちろん、自分がやりがいを持てる趣味のゲートボールを継続したり、ちょっとした節約法を編み出したりといった、自分なりの小さな『成功やお金』の積み上げにつながるアイデアもあります。

あなたならきっと、アイデアによって心と体を整え、人とのつながりを奏でながら、夢を叶えられるはずです。

アイデアのサイン■●▲の法則 ポイント

  1. セロトニン的アイデア
    睡眠、運動、食事など、心と体の健康を『整えるアイデア』
  2. オキシトシン的アイデア
    家族や友人知人など、愛・つながりを『奏でるアイデア』
  3. ドーパミン的アイデア
    仕事や目標の達成・成功・お金など夢を『叶えるアイデア』

この順番でアイデアをカタチにしていくと、『幸せな叶え方』へつながりやすい

「自信がない」という価値
堤 藤成(つつみ・ふじなり)
『つむぐ塾』塾長/コピーライター 

生まれつき右耳が聞こえず、コミュニケーションにコンプレックスを抱えた結果、言葉で魅了するコピーライターに憧れる。中学の卒業文集に「CMをつくりたい」と記し行動を続け、新卒で電通に入社。新人時代はアイデアが採用されずにもがき苦しむ。しかし制約を味方にしてアイデアを導くための思想を身につけたことで、国語の教科書に掲載される広告をつくるなど徐々に結果を出せるようになる。クリエイティブやデジタルなどの部署を経て、マレーシアのELM Graduate SchoolでMBA取得。スタートアップ転職後はオランダと日本を行き来し、クリエイティブ視点でのブランディングを担当。言葉やアイデアで『幸せに叶えるを紡ぐ』を実践するコミュニティ『つむぐ塾』主宰。カンヌGOLD、日本新聞協会新聞広告クリエーティブコンテスト・グランプリ&コピー賞、宣伝会議Advertimes(アドタイ)第1回コラムニストグランプリなど受賞多数。
著書に『ほしいを引き出す 言葉の信号機の法則』(ぱる出版)がある。

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