本記事は、土井英司氏の著書『人生で読んでおいた方がいいビジネス書75冊』(エムディエヌコーポレーション)の中から一部を抜粋・編集しています。

節約
(画像=Bordinthorn / stock.adobe.com)

節約する

『年収200万円からの貯金生活宣言』

(横山光昭/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

デジデリウス・エラスムスは、「節約はかなりの収入なり」という名言を残したそうですが、お金持ちの方程式を見る限り、収入と費用は同じだけのインパクトがあります。要するに、あなたが今月1万円節約したら、それは数字的には1万円の収入アップと同じ、ということです。

サラリーマンの場合、税金は給与天引きですから、もらった手取りの給料から1万円節約することには、月収1万円アップ以上のインパクトがある。節約をバカにしてはいけない理由です。

節約に関していうなら、『年収200万円からの貯金生活宣言』が、現状いちばん苦労せずにお金が貯まる、最強の節約術だと思います。

著者は、3,800人の貯金ゼロ家計を再生させてきた家計再生コンサルタント。

リバウンドしやすい変動費チマチマ系の節約ではなく、固定費をダイナミックに削って、苦労せずに貯金体質に変わる、画期的なやり方を提案しています。

固定費を節約するのは、企業なら王道の節約術ですが、個人でこれをやっている人は少ない。タバコの本数を減らすより、タバコそのものをやめた方がラクですし、もっと家賃の安いところに引っ越した方が、長い目で見てラクに貯められます。タバコが吸いづらい環境に引っ越して、かつ家賃も安ければ最高でしょうね。

この本には、3,800人の家計診断でわかった「ムダな固定費ワースト10」が紹介されています。具体的に見ていきましょう。

ムダな固定費ワースト10

1位 ムダな会話やメールのもととなる携帯電話代
2位 意味のない飲み会の交際
3位 ぜいたくなまでの食費
4位 保障内容も知らない高額な生命保険料
5位 不健康のもととなるタバコ・お酒などの嗜好品
6位 近所をうろつくための車のローン・ガソリン代
7位 意味のない飲み会の帰りのタクシー代
8位 毎日の高カロリーな外食ランチ
9位 自分の口座なのに下ろすたびに引かれるATM手数料
10位 惰性で買う雑誌やマンガ

このリストが、出てくるのがすごい。なぜかというと、これらのほとんどはテレビの大手スポンサーだからです。携帯電話、お酒、タバコ、保険、車、銀行、外食、マンガ …… 。あなたもこれらの広告を見たことがあると思います。

つまり、やめられたら困るものは、普通、メディアでは取り扱われません。インターネットもほぼ100%広告ですから、結局は同じことです。これを知っておくだけでも、人生は随分と有利になります。

要するに、「儲かっている会社に儲けさせなければ、お金は貯まる」。シンプルなことです。

もちろん、ビジネスをする上では、人気のサービスやメディアは使っておく必要がありますから、そう単純な話ではないのですが、貧しいときにもこれらとお付き合いしているとしたら、ちょっと問題かもしれません。

この本のなかで著者は、こんなアドバイスもしています。参考にしてみてください。

  • 生命保険に求めるものは「保障」部分のみでいい
  • たとえば独身の方の場合。比較的たくさん使ってしまう通信費(携帯電話代)は、多くても月収の5%まで。そして住居費(家賃)も、27%程度にしたい
  • 家の中にある不要なものを売ってくる。売れなければ捨てる

賢くお金を使う

『お金の大学』

(両@りべ大学長/朝日新聞出版)

亡き父はがらくた屋に行くのが好きでした。がらくた屋とは、要するに中古家具屋のこと。多くは潰れた会社やお店の不用品を二足三文で仕入れたもので、そのなかに、従業員の着替え用のロッカーがありました。ロッカーを開けると、チャリンと音がしました。100円玉が3枚落ちていたのです。それを見た父のセリフを、僕は生涯忘れたことがありません。

「こんなことにも気づかないから、会社が潰れるんだ」

家具は、中古になると急に価格が落ちる商品です。であれば、お店やオフィスを開く際には、中古を検討するといい。どうしても何かを新品で買うなら、リセール価格を調べるといい。このリセールの重要性を訴えたのが、ベストセラーになった『お金の大学』です。

『お金の大学』では、「車は買うな! 買うなら中古!」と、お金持ちの教えを伝えています。この本では、車を所有すると、生涯で約4,000万円かかると述べており、その内訳は以下のようになっています。

  • 車体代金等:1,750万円(7年に1回程度買い替え)
  • ガソリン代:520万円
  • 保険代(自動車保険、車両保険):490万円
  • 駐車代金:720万円
  • 自動車税、自動車重量税(車検時):470万円
  • その他消耗品費

それでも車が必要な人へ、この本では、リセールの良い車を一括で買うことをおすすめしています

車であれば、ポルシェやアバルトはリセール価格が高いことで知られています。不動産も、銀座のビルや東京都23区の一部のブランドマンションは値下がりしないことで有名です。使うだけ使って、価格は下がらない。お金持ちはそんな物を好んで買う。

だからお金が減らないのです。

「株で一儲け」みたいなことを考える前に、普段の買い物にムダがないか、この本を読んで見直すといいでしょう。

人生で読んでおいた方がいいビジネス書75冊
土井英司
1974年生まれ。エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。
メールマガジン『ビジネスブックマラソン』編集長。
慶應義塾大学総合政策学部卒業。ゲーム会社、編集者・取材記者・ライターを経て、Amazon.co.jp立ち上げに参画。27歳で同社の社長賞にあたる「Company Award」を受賞。数々のベストセラーを仕掛け、「アマゾンのカリスマバイヤー」と呼ばれる。2004年、30歳で独立。国内160万部、世界1400万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』の近藤麻理恵氏をはじめ、多くの著者の出版プロデュースに携わる。
2004年7月に発行開始した日刊のメルマガ「ビジネスブックマラソン」は読者数5万3000人。著書に『「伝説の社員」になれ! 』(草思社文庫)など多数。これまでに読破したビジネス書は30,000冊を超え、日本随一のビジネス書の目利きとして知られる。(数字は2023年12月現在)

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