(写真=PIXTA)
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旅行予約サイトのエクスペディアがリリースした「世界26ヵ国有給休暇・国際比較調査2015」によると、日本は有休消化率ランキングで2年連続ワースト2位、最下位は韓国だった。

2015年調査では日本の有休消化率は60%。2014年の50%に比較すると増加傾向にあるものの、世界の中ではまだまだ休みを取らずに働いている国のようだ。

同調査の結果をみると、日本の有給休暇に対する課題が浮き彫りになっている。有休消化率が低いにもかかわらず、休み不足だと感じている人の割合は39%と低い。また、自分の有休支給日数を知らない人が53%あり、これは26ヵ国中で圧倒的に多い割合だ。

さらに、有給休暇を取得することに罪悪感をもつ人は18%となっており、後ろめたいと思う理由には人手不足が挙げられている。最下位である韓国では、休むことに罪悪感を持つ人の割合は低い。これらの結果から、有給休暇への罪悪感は日本特有のものといえるだろう。

しかし一方で、仕事に満足している人の割合では日本は26ヶ国中最下位の17%であった。単純に休暇に無頓着、あるいは働くことが当たり前の仕事人間が多いことが理由とはいえないようだ。

小売業、住宅販売業、広告代理店はとりわけ低い

Vorkersが行った「2015年しっかり休めた会社・ガッツリ働いた会社〜今年1年の有休消化率ランキング」では、有休消化率が低い会社の1位にはオートバイの販売を行う株式会社レッドバロン、2位に積水ハウス株式会社という結果になった。

有休消化率が低い業種では、小売業、住宅販売業、広告代理店が多くみられる。これらの理由には、土日の休みを取りにくい、クライアントに合わせて動くため休日返上することが多い、人員不足などが挙げられ、有休消化率は30%未満となっている。業務内容や多忙が有給休暇の取りにくさにつながっているようだ。

有休の取りやすさを促進する法改正とは?

以上の結果から、休みを取りたくても取りやすい環境が整っていないということが、有休消化率を下げている大きな原因といえるだろう。休暇を取りにくい環境には業務内容のほかにも、周囲への遠慮や上下関係の圧力など心理的な要素も大きく影響している。

こうしたなかで注目すべきは、労働組合など第3機関の介入が手段のひとつとして成功していることだ。職場環境を変えるのは一朝一夕とはいかず、とくに心理的な要因である場合には当事者同士の解決は難しいといえるだろう。

厚生労働省は、労働基準法改正案のひとつとして有休消化の義務化を提出していたが、2016年春の施行は見送られる見込みとなった。

厚労省が提出した内容は、年次有給休暇が10日以上付与される管理職を含めた一般社員、パート・アルバイトに対して、時季を指定して毎年5日を与えなくてはいけないとされ、有休未消化の社員が多い会社には罰則規定を設けるとされていた。

ただし、これらの法案は引き続き検討される見込みとなっている。労働者としては待ち遠しいともいえる法案だが、経営サイドでは様々な準備が必要となるだろう。業務の効率化など、業績を確保するための改革も同時に求められるといえるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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